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第31話 裏切り者

塔の中。


ログの光がゆっくり流れている。


静かだ。


さっきまでの戦闘が嘘みたいに。


俺はエリシアを見る。


距離は近い。


だが、


さっきまでと違う。


「……管理者側だった」


俺は言う。


エリシアは頷く。


「うん」


クロウが笑う。


「“だった”ね」


壁にもたれる。


「つまり裏切り者か」


エリシアは否定しない。


「そうだよ」


俺は聞く。


「いつから」


エリシアは少し考える。


「……途中から」


クロウが言う。


「便利な答えだな」


エリシアはクロウを見る。


「あなたもでしょ」


クロウが笑う。


「俺は最初から外だ」


俺は聞く。


「何をしてた」


エリシアは答える。


「観測」


少し間。


「ループの記録」


俺は言う。


「俺を見てたのか」


エリシアが頷く。


「ずっと」


空気が少しだけ冷える。


俺は聞く。


「全部か」


エリシアは答える。


「ほとんど」


クロウが口を挟む。


「じゃあ知ってるな」


エリシアを見る。


「何回目で壊れるか」


エリシアは少しだけ黙る。


そして言う。


「……知ってる」


俺は目を細める。


「何回だ」


エリシアは答えない。


クロウが笑う。


「言えないか」


エリシアが小さく言う。


「言うと変わる」


俺は聞く。


「何が」


エリシアは答える。


「あなた」


少し間。


「選択が」


クロウが鼻で笑う。


「因果干渉か」


エリシアが頷く。


「近い」


俺は一歩近づく。


「じゃあ聞く」


エリシアを見る。


「俺はどこで終わる」


エリシアは目を逸らさない。


まっすぐ見る。


そして言う。


「……ここじゃない」


クロウが言う。


「濁すな」


エリシアが言う。


「本当だよ」


少し間。


「もっと先」


俺は聞く。


「お前はなぜこっちにいる」


エリシアは少しだけ黙る。


そして言う。


「……失敗したから」


クロウが笑う。


「何を」


エリシアが答える。


「止められなかった」


空気が重くなる。


俺は聞く。


「何を」


エリシアは言う。


「あなたを」


一瞬、静寂。


クロウが小さく笑う。


「なるほど」


腕を組む。


「それで観測から降りたか」


エリシアは言う。


「違う」


少し間。


「降ろされた」


俺は目を細める。


「罰か」


エリシアが頷く。


「うん」


クロウが言う。


「でも生きてる」


エリシアは答える。


「中途半端だから」


俺は言う。


「管理者でもない」


「人でもない」


エリシアが頷く。


「そう」


少しだけ笑う。


「だからここにいる」


俺は聞く。


「信用できるか」


クロウが言う。


「無理だな」


エリシアは言う。


「できなくていい」


少し間。


「でも」


俺を見る。


「嘘はつかない」


クロウが笑う。


「さっきついただろ」


エリシアは少しだけ困った顔をする。


「……あれは」


少し間。


「全部じゃない」


俺は言う。


「同じだ」


エリシアは頷く。


「うん」


それでも言う。


「でも」


「敵じゃない」


沈黙。


ログの光が流れる。


俺はエリシアを見る。


その目。


揺れていない。


嘘をついている目じゃない。


全部は言ってないだけだ。


クロウが言う。


「どうする?」


俺は答える。


「使う」


クロウが笑う。


「いい判断だ」


エリシアが少しだけ息を吐く。


「……ありがと」


俺は言う。


「ただし」


一歩近づく。


「裏切ったら斬る」


エリシアが頷く。


「うん」


少しだけ笑う。


「それでいい」


そのとき。


塔の奥で、


ログが揺れた。


クロウが顔を上げる。


「……来るな」


俺は聞く。


「何が」


クロウが言う。


「上位が動いた」


エリシアが言う。


「早い」


空間が歪む。


ログが収束する。


俺は剣を握る。


「……まだ終わってないな」


クロウが笑う。


「ここからが本番だ」

読んでいただきありがとうございます。


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