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第25話 破壊

剣が落ちる。


赤い光へ。


一直線に。


クロウが笑う。


「いいね」


ログの巨人が腕を振り下ろす。


間に合わない。


それでも俺は止めない。


エリシアの声。


「アーカ――」


届く前に。


刃が、


コアに触れた。


ドクン。


世界が止まる。


音が消える。


光が止まる。


ログが止まる。


クロウの笑みも、


巨人の腕も、


空の裂け目も、


全部が静止する。


俺だけが動ける。


剣は、


コアに刺さっている。


赤い光。


その奥。


白い光。


混ざっている。


ゆっくりと、


滲むように。


俺は見る。


「……これが」


コアの内側。


ログじゃない何か。


記録でも、


管理でもない。


もっと別のもの。


それに触れた瞬間。


記憶が流れ込む。


見たことのない景色。


空がない場所。


光だけの空間。


無数の世界。


並んでいる。


浮かんでいる。


一つずつ、


壊れている。


リセットされている。


繰り返されている。


その中心に、


“これ”がある。


白い核。


すべての起点。


声がする。


知らない声。


近い。


遠い。


「観測中」


「ログ取得」


「再構成」


誰かが、


世界を“見ている”。


俺は呟く。


「……外」


その瞬間。


世界が動き出した。


コアが割れる。


ヒビが走る。


赤い光が崩れる。


白い光が溢れる。


クロウが目を見開く。


「おい」


巨人が止まる。


ログが崩れる。


エリシアの声。


「……やった」


だが。


次の瞬間。


異音。


ドクン。


ドクン。


ドクン。


コアの奥。


白い光が、


強く脈打つ。


クロウが言う。


「……おかしい」


俺も分かる。


壊したはずだ。


だが。


終わっていない。


むしろ――


起動している。


空に文字が出る。


SYSTEM REWRITE


INITIALIZE


エリシアが叫ぶ。


「違う!」


「それ破壊じゃない!」


クロウが笑う。


「は?」


エリシアが言う。


「それ」


少し間。


「起動キー!」


俺はコアを見る。


白い光が広がる。


赤が消えていく。


ログが書き換わる。


クロウが言う。


「……やったな」


俺は答える。


「……ああ」


クロウが笑う。


「世界」


空を見る。


裂け目が閉じていく。


ログが消える。


「書き換えられるぞ」


エリシアが言う。


「待って」


少し間。


「それ制御できるのは」


俺は聞く。


「誰だ」


エリシアは答える。


「……あなただけ」


クロウが言う。


「そりゃそうだ」


俺を見る。


「刺したのはお前だ」


白い光が広がる。


世界が揺れる。


王都が、


一瞬で書き換わる。


崩れていた建物が戻る。


消えていた場所が現れる。


そして。


“なかったはずのもの”が、


生まれる。


俺は呟く。


「……再構成」


エリシアが言う。


「違う」


少し間。


「選択」


俺はコアに触れる。


白い光。


無数の世界。


無数の可能性。


クロウが言う。


「さて」


少し笑う。


「どうする?」


俺は答えない。


ただ見る。


壊れた世界。


消えた街。


消えた人。


全部が、


戻せる。


かもしれない。


エリシアが言う。


「アーカ」


静かに。


「選んで」


クロウが言う。


「全部救うか」


少し間。


「全部終わらせるか」


白い光が、


さらに強く脈打つ。


世界が、


書き換えを始める。


俺は剣を握る。


そして、


言った。


「――まだ終わらせない」

読んでいただきありがとうございます。


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