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第24話 本当のコア

ログの刃が落ちる。


俺とクロウは、同時に踏み込んだ。


正面ではない。


巨人の外側でもない。


その内側へ。


ログの隙間。


一瞬だけ開いた、歪み。


そこを抜ける。


空気が変わる。


音が消える。


色が薄くなる。


クロウが小さく言う。


「……入ったな」


俺は答えない。


目の前にある。


赤い光。


その奥。


もう一つの光。


それは、さっきまでの“心臓”とは違う。


小さい。


だが。


重い。


存在が濃い。


ドクン。


一度だけ脈を打つ。


それだけで、


空間が揺れる。


クロウが言う。


「こっちが本物か」


俺は頷く。


「……ああ」


背後で音がする。


ログの巨人。


こちらに向かっている。


遅れて侵入してきた。


クロウが振り返る。


「時間ない」


俺は剣を構える。


本物のコアを見る。


「一撃で壊す」


クロウが笑う。


「できるか?」


俺は答える。


「やるしかない」


そのとき。


声がした。


「待って」


エリシアだ。


さっきより近い。


クロウが眉をひそめる。


「……近いな」


俺も感じる。


距離が、おかしい。


エリシアの声。


すぐ後ろにいるみたいだ。


「それ」


少し間。


「壊しちゃダメ」


クロウが笑う。


「またそれか」


エリシアが言う。


「違う」


「今度は本当にダメ」


俺は聞く。


「理由は」


少しの沈黙。


エリシアは答える。


「それ」


言葉を選ぶように、


ゆっくり。


「“外”と繋がってる」


クロウが止まる。


「……外?」


エリシアが言う。


「ここじゃない」


「ループでもない」


「もっと外」


俺は目を細める。


「管理層か」


エリシアは少しだけ迷う。


「……違う」


その一瞬の間。


クロウが笑う。


「今、嘘ついたな」


エリシアは何も言わない。


沈黙。


クロウが続ける。


「お前」


「どこまで知ってる?」


エリシアが答える。


「全部じゃない」


クロウが言う。


「でも知ってる」


少し間。


「俺よりも」


エリシアは否定しない。


俺はコアを見る。


赤い光。


脈。


ドクン。


ドクン。


クロウが言う。


「選べ」


俺を見る。


「壊すか」


「残すか」


俺は聞く。


「残したら?」


クロウが答える。


「ループは続く」


「世界も壊れ続ける」


俺は聞く。


「壊したら」


クロウは言う。


「全部終わる」


少し間。


「この世界も」


「お前もな」


エリシアが言う。


「違う」


クロウが笑う。


「どっちだよ」


エリシアが静かに言う。


「終わらない」


俺は聞く。


「何が」


エリシアは答える。


「あなた」


空間が揺れる。


ログの巨人が、


すぐそこまで来ている。


クロウが言う。


「時間切れだ」


俺は剣を握る。


コアを見る。


赤い光。


その奥。


わずかに、


別の色が混じっている。


――白。


一瞬だけ。


俺は目を細める。


「……これは」


エリシアが小さく言う。


「気づいた?」


クロウが言う。


「何だそれ」


俺は答える。


「ログじゃない」


エリシアが言う。


「そう」


少し間。


「それが“外”」


クロウが笑う。


「ますます壊したくなった」


巨人が突入してくる。


ログの腕が迫る。


クロウが叫ぶ。


「決めろ!」


俺は剣を振り上げる。


赤い光。


白い光。


そして――


エリシアの声。


「アーカ」


少しだけ、


震えている。


「それ」


「壊したら」


ほんの一瞬。


言葉が遅れる。


「……もう会えない」


クロウが笑う。


「感情かよ」


俺は剣を止める。


ほんの一瞬。


そして。


振り下ろした。

読んでいただきありがとうございます。


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