第11話
すみません……更新が遅くなりました。不定期ですが投稿します
俺たちに向かってくる大きな男たちはざっと数えると5人だが……うち2人は顔が真っ赤でかなり酔いが回っているようだ。
「おいおい!そんなひょろっちぃ男が冒険者ギルドに何の用だ?」
「……仕事だよ」
正直な話こんなテンプレに巻き込まれるとは思っていなく面倒な話にしか感じない。正面の男たちは俺ではなくアリシアとニナに目を向けていた。
「お嬢ちゃんたち~!こんな奴より俺たちと良いことしようぜ?」
「違いねぇ!俺たちが天国にイカせてやるよ?」
下衆な言葉をかけてくるがアリシアとニナは全く動じることなく俺の両腕にしがみついた。
「残念なことに既に心に決めた人がいますので♪」
アリシアはこれ見よがしに体を密着させてくる。感触を楽しもうとするが目の前の男たちはこけにされて相当ご立腹のようだ。
「こ、このぉ……!黙って聞いてりゃいい気になりやがって!!」
そして目の前の男は自分の得物であろう斧を抜いた。……これは『ギルド内での武器の使用を禁ずる』に違反してるわけか。
「やめとけよ、それ……規則違反だろ?」
「規則だぁ~?そんなの気にしてられっかよ!!そんな減らず口を叩けなくしてやるよ!」
そして男は斧を振りかぶって俺を真っ二つにしようとした。俺は武器を抜かずに『破壊属性付与』を右腕だけに使用して、降りてくる斧を横から殴った。
パキンという小気味のいい音と一緒に折れた斧の先が壁に飛んでいって突き刺さった。その光景に他のやつらも皆呆然としていて言葉もでないようだ。
俺も体に倦怠感を少し感じたがすぐにそれは消え去り、何食わぬ顔で男を見ていた。
「そんなへなちょこな武器でよく生き残れたな」
それは武器にとってもこの男にとっても屈辱でしかない言葉であり当然のことながらこの男は頭に血が昇って激情する。
「おい、テメェ俺と決闘しろ!Cランクの『コウ・アッシュ』に喧嘩を売ったことを後悔させてやる!!」
コウと名乗った男はそう言うと受付に行って何やら物凄い剣幕で捲し立てていた。
「おいあのルーキー大丈夫かよ……」
「あいつに喧嘩売るとは……生きて帰ってこれるか?」
周囲のギャラリーがそんなことを言っているが俺は特には気にしてはいなかった。
「コウはそんなに強いのか?」
「そうですね、ランクはCですが倒してきた魔物の数は多いですよ。それに……対人戦においても勝利数はかなり多いです」
情報収集をしていると相変わらず激情しているコウがこちらにやって来た。
「決闘は明日の昼、ここの闘技場で行う!尻尾を巻いて逃げるんじゃねぇぞ」
「むしろそっちが逃げるんじゃねぇか?」
「くくっ、ほざいてろ」
そう言ってコウは体を怒りで震わせながらギルドを出ていった。
「……まったく厄介なことになった」
「まぁこれもギルドの通例みたいなものですけどね」
流石経験者ということだけあってアリシアは分かっているようだった。最もそれに巻き込まれた本人はたまったものではないが。
「それでどうするのですか?」
「ここで逃げるわけにいかねぇよな……」
内心ため息をつきながら受付で決闘に関するルールを確認してそれから宿に戻ることにした。勿論アリシアとニナは俺の後をついてくる。
宿につくと俺はすぐにベッドに飛び込んだ。
「初日から厄介事に巻き込まれましたね」
「全くだ……こういうときは続くんだよな」
とその時、宿のドアが蹴破られた。咄嗟に俺は魔力を展開して『榛名』と『浜風』を抜き襲撃してきた奴に斬りかかる。だが、攻撃は剣で受け止められそのままに胴体に蹴りを食らった。
「ぐっ……!」
蹴られた勢いを利用して地面を転がりそのまま体勢を立て直して剣を握る手に力を入れ直す。
「アリシアッ!ニナを頼む!」
「はい!!」
だがニナはこの場に居なかった。おかしい……さっきまで居たはずなんだが……!
「悪いが……お姫さまは預かった」
俺の攻撃を受け止めて反撃をしてきた男がそう言った。それを聞いて大体の事情は何となく察することが出来てしまった。
「ニナを連れていってどうするつもりだ?」
「それは貴様には教えられないな」
そして男は剣を俺に向け直してそのまま飛び込んできた。その速度はかなり早く目で追うのはやっとだが俺も剣で受け止める。
「ほう?」
「その余裕を打ち砕いてやるよ」
相手の剣を払って『榛名』で胴体を突くが紙一重で避けられる。そして相手の拳が迫ってくるがそれを『浜風』のほうで迎撃する。するとそのまま蹴りを放つが今度は体を回転扉のようにして衝撃を受け流す。
相手の勢いを利用して今度は俺が蹴りを放つ。相手の背中を勢いが乗った蹴りが襲いそのまま壁まで飛んでいった。俺は追撃をせずにアリシアの方へ近づいた。
「こいつらは並みの奴じゃない……一旦逃げるぞ」
「で、ですが……ニナが」
「このまま戦ってもどうにもならん……ここは一度退いて解決策を考えなければ」
「……分かりました」
そして俺はアリシアをお姫さま抱っこして周囲に収縮させた魔力を放出させた。まるで嵐のように吹き荒れる魔力で相手の認識力を低下させてから窓を飛び出し、そのまま通りの方へ逃げた。
しばらく通りを走り抜けて裏路地に入ったところでアリシアを地面に降ろした。アリシアは顔が真っ赤になり言葉が出ないようだ。
「あ、あの……!急にされるとすごく恥ずかしいです……」
「あぁ……すまない」
真っ赤になったアリシアが細い声で訴えてきた。確かに緊急手段とはいえ、流石にやりすぎだったか。
「や、やるなら……一言だけ言ってもらえれば全然大丈夫ですけど……」
「そうか、じゃあ次からは事前に言ってからやるから……早速だが、始めるぞ」
俺はアリシアを再び抱っこしてその場から一気に加速する。遅れてさっきまで居た場所に何かが突き刺さった。
「まったく……しつこいったらありゃしねぇぜ」
そこに居たのは撒いたはずの男だったのだ。




