第10話
書き溜めが無くなったのとリアルが忙しくて更新が不定期になりますが、よろしくお願いしますm(__)m
怒濤のフリーフォールを体験した二人は完全に気絶してしまっていた。このまま気絶させたままだと周囲の目も怖いので起こしてみるが目を覚まさなかった。
「……はぁ」
覚悟を決めてニナとアリシアをそれぞれ背負って抱き抱えて手近な宿まで運ぶことにした。幸いにして一件目の宿でそれなりにいいところを取ることができた。
「ここまで来れば大丈夫だろ」
二部屋とり、広めの部屋をニナとアリシアに渡し、俺は狭い一部屋を借りることにした。ちなみに無一文だったが、何とか交渉して後払いにしてもらっていた。
「……っん」
「目が覚めたか」
まずアリシアが目を覚まし周りをキョロキョロと見渡す。
「ここは……?」
「冒険者向けの宿だ。恥ずかしいことに後払いでお金を払うけどな……」
少しだけ涙が出そうになった。流石にあれは恥ずかしい。
「……本当にごめんなさい、私がもっと早く目が覚めれば」
「そこはしょうがないだろ……とまぁその話は置いといてだ、そろそろ俺もお金を持たないといけないと思ってな」
このままだとアリシアのヒモだ……それだけは避けなければならない。そう思いお金を稼げる方法をアリシアに聞いた。
「でしたらギルドに所属しましょう。これも立派な仕事ですから」
ギルドということはやはりイメージ通りの仕事内容なのだろう。
「でしたら私が案内します。一応拠点で活動していたこともありますから」
「任せた、よろしく頼む」
こういうときに現地人が居ると助かる。一応出発準備をして最後にもう一度ニナを起こしてみると今度は目を覚ましてくれた。
「うみゅ……」
「気分は?」
「……まだ少し震えてる……」
ニナはあれが完全にトラウマになってしまったようだ。しばらくはあんな無謀なことはよそう。
「俺とアリシアはこれからギルドに行くが、一緒に来るか?」
「行く!!」
さっきまで沈んでいたのが嘘のように元気な声をあげて俺に引っ付いてきた。引っ付く体は未発達ながら柔らかく……
そんな発想に至った俺はすぐに正気を取り戻す。
「んー?どうしたのー?」
ニナは村での一件以降妙に年相応っぽくなってきて甘えてくる。それはいいんだが……時々アリシアの目が怖い。
「とりあえず準備が出来次第出発だな」
そう言って準備させると俺は一足先に外に出ることにした。
数十分後
人通りがそこそこ多い通りで俺はアリシアとニナに手を握られていた。ニナは皇女ということもあり正体がバレないように目深のローブを着ていた。アリシアも狐耳と尻尾は隠している。
「それにしても……人が多いんだな」
「当然ですよ?この近辺でも有数の商業都市ですから」
それならば納得できる話だな。商業が発達しないことには街は成り立たないし。
「本当ですと色々見て回りたいのですが……まずはゼロ様の職を得ることからですね」
「……それを言われると本当に申し訳ないんだが」
言い方がどうにもクズ男を指しているようにしか聞こえない。と、そんな風に話をしていると通りの奥に巨大な施設が見えてきた。
周りにある他の建物とは作りも纏うオーラのようなものも全てが異なっていた。
「ここがギルドの本部です」
「規模がすごいな……」
「これでもまだ小さいんだよー」
どうやらこれよりもさらに大きいギルドもあるらしい。ここまで来るとどうやって建造しているのか気になるところだが……
「とりあえずは中に入って登録しましょう」
俺らはギルドの扉を開けて中に入る。扉を開けるとそこには酒場のように大きなテーブルと椅子が広がっていた。奥にはカウンターもありその横に依頼掲示板と思われる物が立て掛けてあった。
「基本的にはあの掲示板で依頼を見つけて、少し離れた所の受付に持っていくんですよ」
そう言ってアリシアが指を指す方向を見るとその先にはいくつかの受付とその中に数人の担当者がいた。受付の全員が綺麗な女の人、もしくはイケメンの人しかいなかった。
「……力入ってるな」
「普段から命のやり取りをしてる以上これくらいの報酬はあってもいいですよね?ということでこの制度になりました」
「中には受付嬢とかと結婚する人もいるしねー」
そんな風に説明を受けていると奥にいた受付嬢が手招きをしていた。どうやらアリシアとニナも気づいたらしい。
「……あからさまですね」
「あからさまだねー」
「……」
敵愾心を持つのも分からんでもないが……もう少し控えてもいいんじゃないかと思ってしまった。
「ともかくだ、俺は手続きを済ませてくるから」
「……私もついていきます」
警戒しながらもついてくる二人は俺を離すまいと両腕にしがみついてきた。しっかりと確認できる脹らみと未成熟ながらも微かに感じる柔らかさのサンドイッチに感動を覚えたがそれを表には出さず何食わぬ顔で受付に向かった。
「いらっしゃいませー!新入りの方ですか?」
「ああ、登録しにきた」
「それでしたら、こちらに必要事項を記入してください、代筆はよろしいですか?」
「自分で出来るから大丈夫だ」
記入事項として名前や出身、得意武器等を次々と埋めていく。ちなみにほとんどが嘘と空白だ。
「ではこちらが身分を証明するものになります。紛失されると手数料として銀貨1枚をいただきます」
「分かった、早速だが依頼を受けたい」
「かしこまりました、今ゼロさんのランクはFランクですので
一つ上のEランクの依頼までしか受けられません」
このギルドもランクせいらしくFからSまであるらしく、Sランクともなると世界で数人しか居ないようだ。
「昇格方法は?」
「具体的に言えば『ポイント制』です。難易度に応じたポイントと換金した素材でポイントを貯めて一定値以上になるとランクが上がります
ですが、Dランクからは『昇給試験』がありますのでそれに合格しないとランクは上がりません」
その他にも色々と説明を聞いたが、規則はあるが律儀に守る輩が少ないらしくギルドも頭を悩ませているらしい。
「とりあえず依頼を受けたいんだが……おすすめなものとかあるか?」
「そうですね……『ネリー草』10本採取とかどうですか?」
『ネリー草』というのはポーションに使われる素材の一つらしく、ルーミアからそれなりの距離がある森のなかでしかとれない薬草らしい。
大体は泊まり込みでこの草を取りに行くようだが、その森は時々ランクDの魔物が出るらしい。
「分かったこの依頼を受けさせてくれ」
依頼書に受注した人の名前とパーティー登録でアリシアを登録して依頼を受けた。
「なんでニナはお留守番なのー?」
俺はニナの耳元に顔を近づけてこっそりと言った。
「……お迎えが来てるぞ、気づかれないように尾行しているようだがおあいにく様だな」
「だから私を置いていくの……?」
ニナは瞳に涙を貯めてプルプル震えていた。それはまるで捨てられた子犬が主人を見るような目にそっくりだった。
「……分かった一緒に行くぞ」
「ありがとー!お兄ちゃん大好き!!」
「お、お兄ちゃん……?」
「うん!兄さんとは違うけどよく似てるからそう呼ぶことにしたー!」
兄弟が居たこともなくこんな風に呼ばれるのは初めてでとても新鮮な感じがするな……そう思いながらニナの名前もパーティー登録しておいた。
「では契約完了しました。依頼達成の報告するときはこの写しも持ってきてくださいね?」
「分かった」
写しを受け取って俺たちはギルドを去ろうとしたが、その時酒場の方から大きな男たちがこっちにくるのが見えた。




