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最弱ルーキーのナイト・スレイド  作者: フランジュ
冒険者ギルド編・第三章
40/61

運命交差(1)

スレイドとミライはこの町で一番の宿に泊まった。

それもセラフィーナが全て代金を出してくれたのだ。


思い返すと全てはガウナ・リナでスキル・スフィアを破壊してしまったことから始まっている。

ある意味、あの出来事が無かったらこれほど順調に進んではいないだろう。


今思えば、あれは何かの"運命"だったのだろうか。


さらに今回の依頼内容である『センセイ』と呼ばれる人物を見つけることができれば借金返済だけでなく大金が手に入るのだ。


村を出る際には予想もしなかった展開にスレイドは少し戸惑いを感じていが、これなら"騎士になる方法"も"黒竜の息吹"という場所も簡単に見つけられるのではないかと思った。


___________



リカルドに宝石を預けた翌日。


スレイドとミライは早朝から昨日、助けたエレノアという女性が営むという花屋へと向かっていた。


ミライが言うには、"お礼くれるって言うだから貰えるもんはもらいましょ!"ということで西地区のはずれへと向かうことになった。

リカルドとの約束は昼だったため、それまでに東地区に行って戻ってくればいい。



2人は朝から暑い日差しと風に舞う砂埃を浴びつつ、露天商を見てまわりながら西地区を目指していた。


早朝とあってか道には人通りはあまりないが、それでも冒険者や商人が行き交っている。

道の両サイド、家屋の前に立てられる露天商には様々な商品が並んでいた。


スレイドが不意に足を止める。

武器屋だった。


「そういえば剣をどうにかしないとな」


そう言って様々な武器が置いてある店を見る。

スレイドの武器はカルガラ・クロウ戦で折れてしまった。

その後、用意することなく、この町まで移動してきたのだ。


「あんた商売道具も無いで、どうやって稼ごうとしてたわけ?」


「仕方ないだろ、武器屋なんて来たことないんだしさ」


2人の会話を聞いていた武器屋の店主は笑顔で声をかける。


「何かお探しですか?」


「え、ええ……ショートソードがあれば欲しいんですが」


「ありますよ」


武器屋の店主は笑みを崩さず、数ある品の中からショートソードを取り出してスレイドに渡した。


しかし、それを持ったスレイドは眉を顰める。


「……重さが全然違う」


「え?」


「以前、使っていたものよりも重いんだ」


「えーと、重さは誤差程度だと思いますけど」


「いや、絶対に重い。それにグリップも違和感あるし……これだと剣を抜く時に一秒の半分くらい遅れが出る」


「い、一秒の半分……?」


スレイドの発言に顔を引き攣らせる武器屋の店主。

それを見かねたミライが、ため息混じりに口を挟む。


「これください」


「おい、勝手に決めるなよ!」


「一流の剣士ってのはね、武器になんて左右されないの。どんな剣でも関係なく強さを引き出すことができるのよ」


「そ、そうなのか?」


ミライは人差し指を口元に当て、一考ののち答えた。


「うーん、多分ね」


「は?」


戸惑うスレイドをよそに、ミライは武器屋の店主に代金を支払っていた。

あまりにもスムーズに進む取引に口を挟む余地などなかった。


「お、おい!」


「それで我慢しなさい、子供じゃないんだから」


言いつつ、武器屋を離れるとミライは他の露天商を見て騒いでいた。

なにやら"かわいいもの"や"キモいもの"を見つけては声を上げる。

恐らく彼女は武器屋という店に全く興味が無かったのだろう。


どちらが子供なのかと思っていた時、不意に後方へと目をやると見覚えのある"少年"がどこかの露天商の店主と話ているのが見えた。

かなり離れているため何を売っている露天商なのかわからず、話している内容も不明だ。


「あれって……昨日の……」


思い返すに、あれは昨日エレノアから小さな宝石のついた指輪を引ったくった"少年"で間違いない。


"少年"は露天商の店主に何かを渡した。

そして少しすると逆に店主が"少年"に布袋のようなものを渡す。


その様子をじっと見ていると、


「どうしたの?」


とミライが声を掛けてきた。

一瞬、目を離してから再び後方を見るが、遠くの露天商にはすでに少年の姿はなかった。


スレイドは首を傾げつつもミライには"なんでもない"と答え、西地区のはずれにあるエレノアの花屋へと向かった。

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