Part41 僕の選択
ご飯の後、俺はノアをホテルの外のベンチに呼び出した。
「それで、意識してみて、どうだった…?」
「それがね…。リオンくんのいう通り、なのかな…。レオのことが全然頭から離れなくなっちゃった…。」
赤くなった顔を隠すようにして、手を顔に当てるノアの姿。普通に可愛い。
恋する乙女って感じだ。
「そっか…。」
「ねえ教えてよリオンくん。僕はどうすればいい…?」
俺は少し待ってから答えた。
「選択肢は二つ。一つは、素直に自分の気持ちを打ち明けること。」
「打ち明ける…、その、告白ってこと?」
「うん。そうすれば、今心にあるモヤモヤは消えてすっきりする。」
胸に手を当てるノアを横目に、俺はその選択肢におけるデメリットを話した。
「でも、もし相手が同じ気持ちじゃなかったら…。」
心臓の鼓動がどんどん速くなっていくのがわかった。
やっぱりトラウマの影響で、そこから先は何も言葉が出ない。
「も、もう一つの選択肢は…?」
「もう一つは、告白をせずに、数年間待ってみること。」
「数年間…?じゃあ、その間、この気持ちはそのまま…?」
「うん。でも、相手との関係は変わらない。今のままだ。」
「…」
ノアは少し考え込んだ様子だった。
難しい選択だ。
俺は前者を選び、気持ちを打ち明けた。
でも、相手はそうじゃなかったから、関係が崩壊した。
「…僕は」
静寂を突き破って、ノアが口を開いた。
「僕は、レオにしっかり気持ちを伝えたい。」
しっかり、力強い口調で、そう言い放った。
そこにはノアなりの覚悟と勇気が込められている気がした。
「今日の朝、リュイとも話したんだ。」
「二人で…?」
二人きりで話…!?そんなの聞いてないが…???
リュイは俺のものなんだから、勝手にとっちゃだめなんだぞ!
なんて、嫉妬めいた冗談はさておき。
「『好きっていうことに悩んでいたら、好きなものも好きじゃなくなっちゃう。』リュイにそう言われた」
「リュイが、そんなことを…。」
「好きってことをどれだけ悩んで考えても、答えは好きか好きじゃないかしかない…。なら、思い切って好きって言った方がいいって、思った…。」
そう言い切るノアは、今までで一番かっこよかった。
瞳がキラキラしてて、恋心が燃え上がってる。眩しいぐらいの恋するショタそのものだった。
「…」
「決めた。リオンくん。僕、レオに、僕の気持ちを伝える…。」
それが、ノアの選択だった。
「…わかった。応援してる。」
俺はそう言って、ノアの背中を押した。
「相談、乗ってくれてありがとう。あと、リュイくんにも、そう伝えといて。」
「おう。」
その会話を最後に、ノアは食事会場へと戻っていった。
俺は、ベンチに再度腰掛け、遠くに輝く海を見ていた。
ーーー
「レオ、ちょっといい…?」
「んへぇ?ひゃひ?」(んえ?なに?)
「話したいことがあるんだ。」
「…」
レオは、何かを感じ取ったのか、急いでおやつのバナナを飲み込み、ノアの方についていった。
食事会場に戻ってきた俺は、会場の外に走っていくノアとレオの姿を遠目に、食後の片付けを進めていた。
「ノアくん、気持ちを伝えることにしたんだ…。」
「そういえば、リュイってば…。俺のこと置いといて、ノアと二人きりでお話しするなんてずるい…!」
「もう!ノアくん、今から大事なところなんだから、そんなことはいいのー!」
「そんなこと…?」
そんなことと一蹴され、俺の心が粉々に砕け散る音が聞こえた。
これだからNTRモノは嫌いなんだ…!
ーーー
レオの手を引いて、僕はさっき、リュイとお話をした小高い丘にやってきた。
「どしたのー?」
「…」
「ここめっちゃすごいね…!海も見えるし、草にダイブしていいかな?」
「…」
「ノア…?」
ふう、と一つ息をついて、僕はレオに向き合った。
「レオ、今からすごく真面目なお話をするから、聞いて」
「う、うん…」
「レオにとっては、変な話かもしれないけど…。」
「へんな話…?どゆこと、、、」
「…僕、ずっとレオのことが好きでした。」
「…」
レオは、その言葉を聞くと、少し固まって、そして
「ぷ、ぷぷぷっ、ふははははは!」
すぐに大笑いし出した。でも、またすぐにこう言った。
「ノアが僕のことを好きなんて、当たり前じゃん!」
何もわかってなさそうな顔で、レオはそう言った。
いつものバカみたいな、でもすっごく元気になる笑顔。
それを見てると、なんで僕はこんなことで悩んでたんだろうってなるぐらい。
「ふふふっ、ふはははっ、はははっ」
それにつられて、僕も思わず笑い出してしまった。
レオも同じように、二人で大笑いした。
やっぱり、僕はレオのことが好きだった。
続く




