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学園タロットカード  作者: チンピラゲーマー
48/50

48.偽愚者

「さて、面白いことになっているね…」


審判は学園内の地図に、赤ペンで丸を付けた。

グラウンド、校舎、そして大聖堂。


「オイ、それは何だ?」


「これかい?これはね――――」



――――――――――――――――


同時刻、大聖堂。

本来、術式の授業で使われるこの場所だが、今日は違う。

そう、そこには黒崎達、『皇帝派(仮)』が潜んでいた。


「それで、戒斗。さっきは誰に電話してたんだ?」


「ああ、それはね………」


黒崎がその続きを言おうした、その時。

ドガァァァァァァン!!と大きな音を立てて扉が壊される。


「まさか……!?」


アヤノ、悠馬共に警戒体勢に移る。

戒斗はゆっくりと立ち上がり、扉の方を見る。


「『皇帝』の居場所はここか」


現れたのは、右手に真っ黒な大剣を持った男。

女教皇の付き人、シルヴァだった。


「『正義』……貴様まで一緒であったか」


「ごきげんよう、なんて事を言ってる暇はなさそうだ」


シルヴァはゆっくりと、大聖堂の中を歩く。

ただ見て回っているなんてことは無い。

間合いを詰めているのだと、三人全員が理解する。


「安心しろ、戦闘の意思はない。ただ、警告をしに来たのであるよ」


「警告?」


初めて戒斗が口を開く。


「皇帝、貴様の姉を名乗る人物が現れた」


戒斗の心が揺れる。

これがたとえ(ブラフ)だったとしても、確かめる価値のあるものだったからだ。

そして何より、姉を巻き込むわけにはいかないという、使命に近いものがあった。


「…………姉は今、どこに?」


しかし、戒斗はそれを表情には出さない。

何故なら彼は今まで、『表情を殺して生きてきた』のだから。


「今は非常事態という事もあり、女教皇の間に非難させている」


「配慮に感謝します。ところで、貴方のお名前は?」


「……シルヴァだ。皇帝よ、どうする?我に付いて来るであるか?」


戒斗は今、選択を強いられていた。

節制に見つかるというリスクを冒して姉の元へ行くか。

それともシルヴァの話が嘘だと判断してここに留まるか。


「戒斗、俺はいいぜ?お姉さんが心配だしな。アヤノは?」


「……別に何でも構わないわ」


悠馬、アヤノの二人は快諾した。

そして、戒斗の心も決まっていたようだ。


「よし、なら話は早いね。行こう」


「決まりであるな」


――――――――――――――――


愚者は、思わず後ろを振り返っていた。


「あれは?」


彼の目線の先にあったのは、ただの砂煙。

しかし、愚者はその中に人影を見ていた。

シルエットから性別の判別は付かないが、人数は二人。


やがてゆっくりと砂煙が晴れ、視界が明けてきた頃。

愚者の目の前に広がっていたのは、驚愕すべき風景だった。


「おいおい……冗談だろ」


先程まで数十人といた、節制の部下達が血を流して倒れていたのだ。


「そんであいつは確か……『法皇派』にいたはずだが…」


そこに立っていたのは、髪を赤く染めた女と、桃色の髪の少女。

赤い女は刀、桃色の少女は剣を握っており、剣先には赤い鮮血が付着していた。


「お……おい!やべえぞコイツら……」


節制の部下たちの中で、生き残った数人が逃げ出そうとする。

しかし、赤い髪の女はそれを逃がそうとはしなかった。


その手の内にある刀で、とどめを刺そうとしたその時。


ガキィィィィィィン!!!


と大きな音が鳴った。

金属と金属がぶつかり合う音だ。


「すまないお前達、遅れたなあ?」


「…………!?」


突如として現れた二人の男に、俺は動揺を隠せなかった。



何故なら俺はその二人をよく知っているからだ。



「俺の偽物、それに…………『死神』………?」


眼を真っ赤に充血させ、大鎌を振るう死神の姿がそこにはあった。


(優先順位を考えろ……今は戒斗だ。…………クソッ!)


死神の方へと走りだしそうな身体を律し、俺は再び戒斗を探して違う方向へと走り出す。


「すぐに戻って来るからな……待ってろよ」


――――――――――――――――


「おやあ?愚者のニオイがしたんだがなあ……ハズレか」


偽愚者はポリポリと頬をかく。


「オイ貴様、この私の刀を止めるとは中々の腕ではないか!心躍るぞ!!」


赤い髪の女、『ノブナガ』は笑っていた。

彼女が革命派(レジスタンス)の一部から『狂戦士』と呼ばれている理由はこれであった。


「『イオリア』!下がっていろ……こいつらは私が仕留める!」


「は、はい!」


桃色の髪の少女、イオリアは一歩後退する。


睨み合うノブナガと死神。

その気迫に、もはや節制の部下達は脅える他無かった。


「お前達、先に校舎ん中行っといてもらえる?こちとら黒崎って男探さなきゃいけないからさあ」


偽愚者は部下の数十人に指示を出す。

そして、それを受けた者達は皆走り出した。


「ノブナガ、私は奴らを追います!」


イオリアも後を追うようにして走り出した。


「逃がすと思うなよ!!」


しかし、偽愚者派当然イオリアを逃そうとはしなかった。

そして俺もまた。


勝手に足が動いていたんだ。



「待ちやがれ、偽物」



「お前は…………!!会いたかったぞ!!」



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