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学園タロットカード  作者: チンピラゲーマー
44/50

44. 『ムクロ』

旧校舎のとある一室に、一人の男が入って行く。


「さて、始めようか」


そこには彼を除く、8人の人物が居た。


「と。その前に、ちょいと久しぶりに全員揃った事だ。どうだお前ら?変わりないか?」


「ああ、変わりない」


髪を赤く染め上げた、腰に剣を帯刀している女が答える。


「皆変わらず、元気そうだな」


「さっさと始めようぜェ?俺ァウズウズしてんだ」


教室の後ろにかためられた机の上。

そこに座っていたのは、『クラウド』だった。


「そう焦るなってクラウド。ユーはせっかちだなぁ…そう思うだろ?『ロックベル』?」


緑色の髪の好青年、『フウ』が答える。

彼の隣に立っている屈強な大男、『ロックベル』は静かに頷いた。


「ケッ!ガキは黙ってなァ」


「オイラも今年で17だぜ!?ガキじゃないもんね!」


「話が逸れてるぞお前達」


リーダーの男は話を戻そうと、両者を律する。


「さて、今日は例の計画の最終確認だ。お前ら、全員、持ち場は覚えてるな?」


「もちろんでございますわ。私は『ダウリン』さんに付いて行けば、よろしいのですわよね?」


シスターの恰好をした少女、アイシャは『ダウリン』と呼ばれる男の方を見る。

その男は身体中に鎖を巻いており、ロックベルと同じように屈強な肉体をしていた。


「ああ、そうだ。しっかりアイシャの援護頼むぞダウリン」


「承知」


「所で、リーダーはどうするのさ?」


フウが尋ねる。


「俺か?しばらくすれば参戦させてもらうさ」


「オイ、美味しいとこ持っていこうとしてんじゃねェぞ」


「安心しろ、そんなつもりはねえよ」


男は再び部屋を出ようとする。

それは革命派の団員にとって解散の合図であり、同時に明日に備えての準備を始める時間でもあった。


「そうだ、言い忘れてた事があったんだ」


「ん?なんだい?」


「お前ら、明日は期待してるぜ」


にやりと男は笑う。

ほとんどが再び、気を引き締めた。


そんな中一人、部屋を出ていこうとする人物が居た。



「クラウド!どこ行くんだい?」


「ちょっくら夜風に当たってくらァ」


クラウドは足早に部屋を出る。


「ロックベル、クラウドはリーダーを狙ってるんだね」


ロックベルは静かに頷く。

彼は話すのが得意ではなかった。



「気になるけど……!まあいいか。とにかく明日はオイラとロックベルで頑張ろうね!」


再度、ロックベルは深く頷いた。


――――――――――――


「待て、『ムクロ』」


クラウドは、リーダーの男を『ムクロ』と呼んだ。


「……その名で呼ばれんのは久しぶりだな」


「明日、アイツらのうちの誰かが現れるなんて保証はねェだろ。どうして明日に攻めンだ」


「どうして俺やお前が、教皇派と法皇派のアルカナ戦争に乱入したのか、その意味は分かってるんだろ?」


ムクロは教皇派の『隠者』として。


クラウドは法皇派の『ホークス』として。


「『審判』の能力をこの目で見ておく為だろ」


「ああ、そうだ。どういうわけか、アイツは俺達の予想の斜め上の対応をしてきやがった」


「予定では俺の参戦時に、異変に気づいたアイツと闘うはずだったンだがなァ…チャンス逃したか」


ムクロは外に出て、夜空を見上げた。

クラウドも後に続いて外に出る。


「俺は明日、行かなきゃならない所がある」


「あァ?どこだ」


「お世話になった『主』のもとにな」


クラウドは悟った。

ムクロの言う主、それは教皇だ。


同時に、クラウドはムクロの過去を知っている。

だからこそ、彼は何も言わなかった。


「…………そうかよ。ンじゃあ先に始めさせてもらうぜ」


「ああ。頼んだ」


クラウドは引き返していった。


ムクロはそのまま月を見上げていた。


「明日は大一番になりそうだ」


――――――――――――――――


校内には、まだ明かりの灯る部屋があった。

その部屋の中には、3人の男女が居た。


「じゃあ……アンタはそれを知ってたのね」


戦宮司 アヤノは北条 悠馬に問い詰める。

北条は静かに頷き、椅子に座っている黒崎の方を見つめた。


「まあそういう事になるな」


「……呆れたものだわ」


アヤノは大きくため息をつく。

北条はごめんごめんと頭をかきながら謝罪をする。


「すまないね。立場上、あまり多くの人間には明かせなかったんだ」


「それについてはもういいわ。けれど、貴方はどのようにして役職を授かったわけ?」


「僕は編入して来た初日、理事長室へ呼ばれていたんだ。そしてそこで、理事長先生がこう仰ってね」



――――――――――――――――――


「これは一つの占いのようなものなんだがね」


そう言って、目の前に座っている理事長はタロットカードを取り出した。


「ここに、計78枚のタロットカードがある。今から君を占ってみせよう」


そう言うと、理事長はカードを全て裏向きにして机の上にばらばらに並べ始める。


「では、私が今からシャッフルをするから君が良いと思った所で止めてくれたまえ」


理事長は机の上のカードをぐるぐると混ぜ始める。

僕はその手が5周ほど回った所で止めた。


「君の運命となる一枚をここから決めよう。本来のタロットカードのやり方とは大きく異なるが、これが私流の占いの仕方なんだよ」


この中から一枚取れ、要するにそう言われていた。

僕は混ざったカードの中央にある一枚を取り、それをめくる。


「おお……それは!!」


僕が取ったカードには、玉座に座る『皇帝』が描かれていた。


――――――――――――――――――



……私は『あの男』に間違いなく恋をしていただろう。


あの馬鹿げた笑顔、真っ直ぐな性格に惹かれていた。


だが、私はどこで道を踏み外してしまったと言うのだ?


憎い。


あの男を失わせたこの学園が。


だから私は、アイツと組むことにした。


あの金髪頭の男、『節制』と。


この私、『魔術師』が。


明日は私の手で、この学園に終わりを告げさせよう。


もうあんな事は体験したくもない。


あんな地獄は……二度とごめんだ。


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