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学園タロットカード  作者: チンピラゲーマー
43/50

43.炎の傷

この学園では、生徒の選択で『剣術』と『術式』の授業を選択することが出来る。

剣術は『武道館』、術式は『大聖堂』にて行われる。


その大聖堂の中に、一人の女が居た。


髪は緑色で長く、彼女は神に向かって祈りを捧げていた。


「明日はどうか…我らに祝勝を。あの『愚かなる者』に鉄槌を…!」



また別の場所。

一人の男がトランプのカードをシャッフルしていた。

顔にはまるでピエロのようなメイク、彼の使う道具もマジシャンを彷彿させるものばかりだった。


「楽しみですねぇ…明日はどんな方々に出会えるのでしょう!」



――――――――――――


学園内のとある場所。

部屋の扉の前に置かれた二つの椅子に、男女が一人ずつ座っていた。


やがて、その男女の元に一人の男が現れる。


「陽太、月子。遅くなってすまない」


「気にするな、『審判』。それで、学園内は今どんな状況なんだ?」


オレンジ色の髪の青年が、現れた男、審判に訊ねる。


「節制派による四大アルカナの席の奪取と、それを止めようとする教皇・女教皇派。巻き込まれるようにして事件に関わる事になるであろう愚者派。大まかな構造はこんな感じだ」


「……大まか?という事は、他にもあるのね」


今度は少女の方が訊ねる。


「ああ。実はそれに加えて、第三の勢力がちらほらと顔を出し始めているようなんだ。まだ尻尾を掴めてもない奴らもいるんだけどね」


「ソイツらの狙いは何だ?おこぼれで四大アルカナの席を貰おうってのか」


「それは分からない。がしかし、もう既に四大アルカナの席は()()()()()()()()ようだからね」



「審判。その話、詳しく聞かせろ」


――――――――――――


同日、愚者派では会議が行われていた。

優雅に紅茶を飲む天使。

眠そうに欠伸をする悪魔。

風船ガムを膨らませている死神。


「お前ら…俺の話聞いてるか?」


「聞いているさ。節制派と闘うことになるんだろう?」


「俺ァ誰が相手でもいいぜ。強ければなァ」


「ハッ、本当に大丈夫かよ」


(相変わらずというか…まあいい)


愚者はため息をついた後、席を立つ。


「どこに行くんだい?」


「伝えたいことは伝えた。パーシヴァルを探して来る」


「アイツなら確か教皇に会いにいくとか言ってたなァ」


(教皇に?パーシヴァルが一体何の用なんだろうか)


「分かった。ありがとう」



俺はゆっくりと、教皇の間へと歩き出す。



――――――――――――


教皇の間は、校舎の奥の方にある。

その前まで行くと、壁にもたれながらも一人の男が立っているのに気がついた。


男は顔の左半分を包帯で覆っていて、もう片方の目は(つむ)っている。


(こんな所で寝てるのか?)


すると、男は目をぱちりと開けた。

こちらの方を少し見ると、少し微笑んでこう言う。


「やあ、愚者」


「俺の事を知ってらっしゃるんですね」


「君は今や時の人じゃないか。知らない人の方が少ないだろうに」


「かく言う貴方は一体?」


俺はストレートに、『お前は誰だ』と聞いた。

教皇の間の前に偶然立っているとは考えにくい。


「俺か?そうだな…『名もなき包帯男』とでも言っておこうか」


(名もなきなのに名前つけてるが)


「は、はあ…」


次の瞬間男は、自分の包帯を外し始めた。


「何を…?」


左目の周りに、とても大きな火傷の跡が残っていた。

それの原因はやはり聞きづらいというものだ。

俺は自然に目を離す。


すると、男はこう言ってきた。


「お前は聞かないんだな。これのこと」


「ええ。踏み込むべきでは無いかと思いました」


すると、彼は高笑いをする。


「ハハハッ!そんな事言った奴、久しぶりだ。別に俺は気にしちゃいないんだけどな」


そう言うと、彼は着ていたハイネックの首を少しずらす。

露出した肌には、同じく火傷の跡。

この火傷は彼の胴体をも蝕んでいるんだろうか。


「俺の能力はさ、炎なんだ」


彼は左手に、赤く燃え上がる炎を出してみせた。

……まさか。


「薄々気付いたかもしれないが、最初はこの能力に身体が順応しなかった。だからこそ、できた火傷なんだ」


自らの炎に…自らの身を焼かれたと。

彼の手の中の炎は、どんどん勢いよく燃え上がり始めていた。


「不便なモンだよ……おっといけねえ。時間だ、そろそろ行かなくちゃいけないんだ」


「そうでしたか」


「すまねえな!また会おう」


彼は足早にこの場を去って行く。

学園によって与えられる力は、時に人の身体を壊し兼ねない……か。


――――――――――――――――――



「四大アルカナの席は埋まってるんだ。それに、あの方が欲してやまない()()()()()()()も出たようだよ。とても運が良いと仰っていた」


「四大アルカナは『教皇』、『女教皇』、それに『女帝』が居たな。つまり、『法皇』の後が出たって事か」


「ウン。そういう事になるね」


「単刀直入に聞こう。どいつが新しい四大アルカナで……節制派の火種なんだ?」


審判は、部屋の扉の前まで歩みを進めて言う。


「……皮肉なものだよ。外からやって来た『彼』に与えられるなんてね」


その言葉は、陽太と月子に状況を理解させるには十分だった。

審判は扉をノックし、中へと入る。


「決まったのね…次の大アルカナが」


「ああ。どんなショーを見せてくれんのか楽しみだ」


陽太は席を立ち上がり、その場を後にしようとする。



「なあ…『黒崎 戒斗』?」



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