40.隠者 『ハーミット』
昨晩、パーシヴァルの病室へと行って来た。
その時、既に先客が訪れた後らしく、りんごがひとつ置いてあった。
俺は見舞いの品に持って来たりんごを手にしていた。
(これって置いていいのか?お見舞いかぶってるぞ)
電気がついているにも関わらず、パーシヴァルは寝息を立てて寝ている。
これ俺じゃなかったら暗殺されてもおかしくないぞ、部屋の鍵ぐらい閉めとけ…。
俺は少し罪悪感を覚えながらも、りんごを置いて帰った。
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翌日の放課後、俺は騎士団長からの呼び出しを受けた。
「教皇様がお呼びなんだ。わざわざ来てもらってすまない」
「気にするな。それより、昨日は学校に来てなかったらしいな」
「ああ…。今日も随分と疲れた顔をしてらっしゃった」
教皇の身に起こった出来事を、俺はまだよく知らない。
それは騎士団長も同じだろう。
戦争が終わった時、教皇に声をかけようと思ったが既に居なかったからな。
話すのはあれ以来か。
教皇の間の前まで来ると、騎士団長はドアをノックする。
「失礼します」
ゆっくりとドアを開き、俺を先に入れる。
「やあ愚者。少しぶりだね」
「ああ。もう大丈夫なのか?」
「心配をかけてすまないね。もう大丈夫だよ。それより、座ってくれよ」
俺はソファに腰掛ける。
俺の部屋にも欲しいな、これ。
「それで?今日はどんな用なんだ?」
「女教皇から話はあっただろう?節制について」
「…………ああ。四大アルカナの座を狙ってるらしいな」
「そうだね。彼は中々面白い人間だからねぇ……何を考えているのかいまいち読めないんだ」
教皇は一枚の書類をこちらに渡す。
俺はそれに目を通した。
「本当なのか………?これ」
「ああ、そうだ」
そこに書いてあったのは、四大アルカナについての事。
書類によると、既に四大アルカナの空席は埋まってしまったらしい。
それも節制ではない。他の者によってだ。
そして俺はその名前を見て、驚きを隠せなかった。
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学園内のとある一室。
「ついに出ちまったらしい…四大アルカナの最後の席がよォ…」
話している男は金髪で、所々に刈り上げた跡がある。
鋭い目つきで、正面にいる女を睨む。
「…………そうか。ついに出たか」
彼女の方は長髪で、綺麗な緑色をしていた。
「俺達も動く時が来たって事だな…決行は二日後だ」
この動く陰謀に気付くことの出来る人間はいるのか?
その部屋のすぐ外。
突如として何もない所から姿を現した人物が一人。
姿を消して盗聴していたというのだ。
黒いローブを身に纏った彼は歩き出した。
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教皇は、外に出ていた。
何気なく散歩をしたい、そんな気分だった。
歩いていた時、ふとある人物を見かける。
校舎から出てきた隠者だった。
(そう言えば隠者の私生活なんて、ほとんど何も知らないねえ。少し着いて行ってみるか)
教皇は気配を消して、隠者の後を追う。
少し罪悪感を覚えながらも、好奇心を抑える事は出来なかった。
隠者が歩いて行ったのは、立ち入り禁止の札が経っている旧校舎の方向だった。
(旧校舎………?あんな所で何を?)
隠者は迷わず、そこに入って行く。
教皇は一度、『縄張り』を使用する。
(この領域内に、何人いるかを把握することは容易い)
能力を旧校舎に集中させる。
するとそこには、隠者を含めて六人の人間がいることが分かった。
(隠者は他の五人の存在に気付いているのか…?それともその五人に会いに?)
だがここで、教皇は踏みとどまった。
「………やめておくか」
やがて教皇は、ゆっくりと引き返していった。
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「良イ判断ダ……教皇」
隠者は気付いていた。
気配を消している教皇が、自分を尾行していたことに。
そして敢えてこの場所に入った。
追ってくるようなら、ここで始末していたかもしれない。
そして隠者は一つの教室に入った。
「お帰り~早かったねぇ…………って、まだそんな恰好してたのかい?」
隠者は黒いローブを脱ぎ捨てた。
そして浮かび上がる、隠者の正体。
「これ、正直暑っ苦しいんだよなぁ」
両腕に巻かれた包帯。
顔の左半分にある大きな火傷の跡。
それらは彼の過去がどれだけ悲惨なものだったのかを、物語っている。
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