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学園タロットカード  作者: チンピラゲーマー
33/50

33.見せる魔術

ほぼ同時刻。


「早く見せてくれよ!?お前の愚かなる者の闘い方ってヤツをよォ!!」


当然、今まで愚者はただやられているだけでは無かった。

クラウドの油断、一瞬の隙。

その二つのどれかを見逃さない為に、防御や受け身に回っていたのだ。


同時に愚者は、おおよそクラウドの能力を予想していた。

高所から飛び降りても無傷のその身体。


何らかの能力ではあるだろう。例えば身体強化などが一番考えやすい。


そして、何より厄介なのはそのスタミナだ。

本気のパンチを何度も繰り出すことが出来る。

疲労を見せる気配はまずない。


様々な分析を行い、愚者の決断の時はやって来る。


(さて…コイツを相手に俺の『魔術』がどこまで通用するだろうか。正直、出来れば使いたくはなかったが…どうせいつか使う事になるからな……)


「なあクラウド。お前は何者なんだ?」


「あァ?ンだよいきなり」


「いいから。答えろ」


「…………お前に話してやる事は何もねェよ!!」


クラウドが走り出す。

どうやら最後の和解の手段も失敗したようだ。


そうして『愚かなる者』は力を開放する。

彼の眼が一瞬だけ赤く染まったのを、クラウドは見逃さなかった。


(今一瞬、愚者の眼が……!?)


次の瞬間、クラウドは衝撃波によって吹き飛ばされる。


「……ッッ!?」


大きく後方へと飛ばされたクラウドは、何とかして体制を整えた。


(何が起こりやがった…?まさか…)


前方を見た彼が目にしたのは、背中から『何か』を出現させた()()だった。

それは言葉では言い表せない、強いて言うならば『翼』だろうか?

左右対称に二つ、クラウドから見て左側は真っ白。右側は真っ黒に染まっていた。


「ンだこりゃァ……………ハハハッ!!いいモン持ってんじゃァねェか!?!あァ!!?」


クラウドは、この状況でも笑っていた。

それは決して強がりな笑いなんかじゃない。

勝負を楽しんでいる者の笑いだった。


――――――――


ある所に、孤児として引き取られた少年がいた。

彼は生まれてすぐ、両親を失っていた。

そんな事に気づく事すらなく、彼はとある孤児院で育っていった。


しかし、彼を待ち受けていたのは『人体実験』と言う名の地獄であった。


毎日孤児の子供たちが運ばれ、機械に縛り付けられていた。

自分もいつかああなってしまう。

これから逃げる事は出来ない、幼い彼はそう悟った。


そして、いよいよ彼の番が来た。

白衣を身に纏った研究員が、こちらに向かって歩いてくる。


「さあ、始めようね」


実験が終了し、彼は生き残ってしまった。

辺りには、実験に失敗した子供達。


彼に残っていたのは、強い憎悪。


そして、



『硬化』の能力だった。



「いつか……いつか絶対に!!お前ら全員ぶっ殺してやるからなァ!!見てやがれ!!」


彼は、ただ激しい憎悪に身を焼かれるのだった。


――――――――


「見に来てみたはいいものの。随分と激しい闘いになってるなあ」


水斗は、屋上から愚者とクラウドの闘いを見下ろしていた。


(それより…………あんな奴いたか?乱入したならまず審判(ジャッジ)が見逃すはずがない。だとすれば、俺の知らない間に追加の法皇派が増えた?……いや、考えにくい)


彼は、着実に迫っていた。



足を踏み入れてはならない、学園の闇に。

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