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学園タロットカード  作者: チンピラゲーマー
30/50

30.不確かな気付き

隠者は相手を追い詰めていた。

目の前でうずくまる相手を見て、彼は手を差し伸べた。


「無駄ナ犠牲を出す必要はナイ」


「敵を前にして……そんな甘いことをよく言いよるわい……」


隠者は静かに相手へと詰め寄る。

そのゆっくりとした一歩は、確実に相手へと恐怖の感情を与えていただろう。


「殺すなら殺せ……覚悟はできておる…」


そんな相手の言い分を無視して、静かに隠者は通り過ぎていった。


「ワシを………殺さんと言うのか?」


ゆっくりと振り返って相手を見つめる。

無論、黒いローブから隠者の表情はおろか、顔は見えない。


「言ッタハズダ。無駄な犠牲を出す必要はない、ト」


「ワシは…………お前さんに殺しても……もらえんわけか……」


相手は小さく、かすれそうな声で最後に言い放った。


「…………この()()めが…………」


静かに倒れ込む。

恐らく、意識を失ったのだろう。


役割を終えた隠者は、闇と同化するかのように消えていった。



――――――――――――


愚者は考えていた。


(この男…身体能力がバケモンみたいに高い。普通の学生とは思えない……というより本当にこの学園の生徒なのか?)


突如愚者の前に現れた、クラウドという男。

彼は臆することなく愚者へと殴り掛かってくる。


愚者の推測ではあるが、彼は愚者の能力を把握しているはずだ。

それなのにどうして、闇雲にも真正面から殴って来れる?


……何がコイツを動かしている?


ただひたすらに攻撃を避け続ける愚者に対し、クラウドは攻撃の手を止めない。

校舎の屋上から飛び降りてもなお、無傷のこの男。

愚者の中には、二通りの考えがあった。


(コイツのスタミナ切れを狙って反撃するのが一番良さそうだが…、それは望めない。動きのキレが落ちない所からも、相当に闘い慣れしてることが分かる)


事実、クラウドは既にかなり愚者を攻撃している。


(だとすれば……俺の『魔術(マジック)』を使うしか無いのか?)


愚者の魔術。

それは、死神との戦争の時にほんの少しだけ見せたもの。

……そしてそれは何より、愚者本人が忌み嫌うもの。


「どうしたァ!?随分と余裕だな!!」


クラウドは一度大きくしゃがみ込んだ。

それは愚者の意識を大きく誘導し、そして。

愚者の下あごを、クラウドは勢いよく宙返りをしながら大きく蹴り上げた。



その恐ろしいまでの身体能力が、学園で初めて愚者と言う男に決定的な一打を与えたのだった。

愚者は何とか体制を立て直そうとする。


だが、クラウドの攻撃は止まらない。

すかさず愚者の顔面を目掛けてパンチを繰り出すが、ここは愚者が後方へと跳んで躱す。


「クソ……痛いな……」


「フン、まだ立ってられるとは…意外とタフなんだな。お前は」


クラウドは余裕の笑みを浮かべている。

だが油断の色は見せていない。常に相手を観察し、隙を見逃そうとしない。


(思ったよりも手強い敵だ……。さて……どうするか)


愚者は大きく息を吐いた。


「クラウド、お前に見せてやろう。愚かな者の闘い方を」



――――――――――――


時は少しだけ遡り、校舎内。


七支刀を手にした法皇は、ただひたすらに斬撃を飛ばし続けていた。

もちろん、彼は分かっている。

攻め続ける事だけでは勝てはしないと。


だが、彼には思惑があった。


縄張り(テリトリー)はその強力さ故、維持するのには恐らくかなりの体力を消耗するだろう。それに比べ、こちらの七支刀はすでに霊装を加えてある為、無限と言っていい程に斬撃を飛ばせる。いつか必ずボロを出すはずだ……。そこを徹底的に叩く!!)


法皇の考えは、大方正しい。

実際、教皇の表情には徐々に笑みが消え始めていた。


しかし、教皇にも当然考えはある。


(こちらの消耗を狙ってきてるのか……厄介だ。だけど、彼はまだ気付いてないんじゃないかな?)


教皇の思惑、それは――


「縄張りは攻撃にも応用できるのさ」


教皇が一歩大きく前へ右足を出す。

すると、透明な立体の空間が凄まじい勢いで法皇の方へと迫ってゆく。


法皇は、その立体にぶつかって初めて、それを認識する。


「何だこれは……!?」


校舎の端へと押し出されそうになる所を、間一髪で法皇は七支刀を振る事で回避した。



だがその時、彼は一つの事に気が付いてしまった。


「…………まさか」


それは、今後の展開を大きく左右する気付きであり、そして何よりも。



教皇の絶体絶命を意味していた。


――――――――


「法皇、気が付きましたか……」


審判はにやりと笑う。


「さて……どちらが強いかで、()()()の方向性は決まってしまうのでしょうねえ」


その声は、誰の耳にも届いてはいなかった。



隠者の話し方ですが、基本的には最初と最後をカタカナにしています。

確かこのアルカナ戦争が始まる前、私は『機械音的な声』とそう表現しました。


ですので、少しでもそのような雰囲気を出すためにそうしています。


(例)「今日ハ良い天気ダ」


このように、漢字の後に続く助詞や送り仮名がカタカナになります。

誤字ではないのでご安心ください。

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