28.縄張り 『テリトリー』
「姉さん、今日は学園の下見に行ってきたんだったよね?」
「そう!そこでね、面白い出来事があったの」
「面白い出来事?何があったんだい?」
「空君がね?――――――――」
「へえ…それは興味深いね」
青年は立ち上がる。
そして、窓から学園を眺めて一言。
「僕は2日後が楽しみで仕方ないよ」
――――――――――――――――
「人っ子一人いねェとは……アイツらもどこに行きやがったんだァ?」
「まるで何も見えなくなっているようだ……。愚者達は、必ずどこかにいるはずだからね」
「敵の罠って事も考えれんだろ」
三人は、こんな事態にも関わらず各々で状況の分析を行っていた。
元々疑り深い死神は敵の罠を警戒し、気配の察知を怠らなかった。
しかし、天使や悪魔は違った。
彼らはまだ、味方がどこにいるのか?という事に思考の焦点を当てていたのだ。
…………だが、それが仇となる。
「ここまで面白く釣れるとは思わなかったぞ、憐れな者達よ」
「!?」
三人が警戒体勢に入る。
しかし、コンマ数秒天使と悪魔の反応が遅れていた。
「ハッ!!お前が俺達をハメたってか?」
それに気づいた死神が、すかさずフォローを入れる。
そしてまず間違いなく、敵は自分のターゲットだという事を悟っていた。
(アイツは校舎の上……それに対し俺達は上空。地の利を活かした戦いでは俺達の方が勝ってる)
死神の思考は、カラスを前にしても恐ろしく落ち着いていた。
そして大鎌を取り出し、戦闘体勢へ移る。
「遅いッ!」
敵の剣と死神の大鎌が大きな金属音を立て、空中でつばぜり合いになる。
(強ぇ……!!力は明らかに俺の方が負けてる。このままじゃ………!!)
「どけェ、死神!!」
「あぁ!?」
死神は大きく上昇し、悪魔の攻撃を通そうとする。
悪魔の黒い波動が、カラス目掛けて射出される。
「どうだァ!!」
「……中々良い攻撃だな」
「チッ、ノーダメージじゃねェか!」
あろうことか、カラスはその手に握っている剣で悪魔の波動を断絶したという。
悪魔の波動は決して遅くはなかった。
通常の剣士ならば、恐らく今頃は大ケガを負っていたはずであろう。
だが、それは同時にカラスが通常の剣士ではないという事を意味していた。
「どきたまえ!二人共!」
悪魔の更に後ろ、天使がエネルギー弾を組み上げていた。
翼に込められた魔力を一気に放出する。
「どうだ!!」
しかし、カラスは至って冷静だった。
空中へと大きく跳び、天使の攻撃を見事に躱したのだった。
「クソっ…これでも駄目か」
「結局は真っ向からやり合うしかねえ!お前ら行くぞ!」
死神が真っ先にカラスの元へ突撃して行く。
両者の武器同士の金属音がこだまする中、天使は考えていた。
(どうすれば奴の体勢を崩せる…?僕が二人の後ろで攻撃を組んでいたというのに気づかれていた。不意打ちなんかは通用しなさそうだが…)
続いて悪魔がカラスの背後に回り、波動を射出。
だが、いとも簡単に躱されてしまう。
「チッ!ちょこまかと…うぜェ奴だなァ」
「三対一でもこの程度か?底が知れているな」
(クソっ!早く…早く何か考えなければ…!!)
ーーーーーーーーー
一方校舎内では、二人の四大アルカナが正面衝突を不可避としていた。
「少しだけお話をしないかい?」
「生憎だが、そんな時間は私にはない」
「随分と時間に追われてるんだねえ。ご苦労なことだよ」
笑みを浮かべる教皇に対し、法皇は鋭い視線を送り続けるだけだった。
そして少しづつ、法皇は歩みを進める。
「始めさせてもらう」
法皇は地面に出現させた魔法陣から、一本の剣を取り出した。
それが奇形な形をしていて且つ、ただの剣ではない事が教皇に伝わる。
「それは………七支刀か」
「流石に少しの教養はあるようだ」
七支刀。
それは、古代日本に伝来したと言われている国宝である。
だが、同時に教皇は不審にも思った。
なぜならそれは、闘いに使用するためのものではない事を知っていたからだ。
「なるほど…君の霊装を施したわけか」
「その通りだ。どれほどのものか…その身で味わうと良い」
法皇は七支刀を大きく振り下ろした。
それが斬撃となって教皇を襲う。
しかし、彼はまだ微笑んでいた。
その理由は法皇にもある程度分かってはいた。
…………そう。他ではない教皇の能力を知っているからだ。
斬撃は突如として、教皇の目の前で消え去ってしまった。
「………全く不可解で面倒な能力だな」
「お褒めいただき光栄だよ」
「その『縄張り』は」
運命の時間まで、残り10分。
更新が遅れてしまい、大変申し訳ありません。
体調不良やその他もろもろがございまして………
これからも少しづつ登校していきますのでご愛読よろしくお願いいたします。




