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学園タロットカード  作者: チンピラゲーマー
23/50

23.錬金術師 『アルケミスト』

時は少し遡る。

教皇派が法皇派に宣戦するほんの少し前の事。

二人の少女達は、校内を歩いていた。


「ねえ、彩佳。かっこよかったね?愚者(フール)!」


「もう!麻子、うるさいっ!なんでいきなりそんなこと…」


「えっへへ~分っかりやすいなあ……って痛っ!なに――」


「しっ!」


突然前を歩く彩華が足を止めたので、麻子は背中にぶつかってしまう。

彩華は壁に身を寄せ、息を殺している。

麻子も真似をした。

すると、曲がり角の向こうから話し声が聞こえてきた。



――――――――


「アンタ……隣のクラスのクラスリーダーよね?」


「ああ、そうだけど?」


放課後、クラスリーダーとしての仕事を終えた俺は一人の女子に捕まっていた。

名前は確か『戦宮司 アヤノ』。

そう言えば、こいつは愚者が大アルカナだって事を見事に見抜いていたっけか。


「アンタ……大アルカナよね?」


「おいおい、どうせ愚者の時と同じ勘だろ?」


「私の勘はよく当たるのよ。それで?どうなの」


「もし、そうだと言えばどうするんだ?」


「アンタをここで…殺させてもらうわ」


こいつ、一体大アルカナに何の恨みがあるのか…。

けど、俺もおとなしく捕まってやるわけにはいかない。


「えらく物騒だな。それに、何か大アルカナに恨みでもあるのか?」


「そんな事はどうだっていいわ、今はアンタを殺すのみ!」


戦宮司の右手には、真っ赤な色の刃物が現れた。

よく分からないが、武装系の役職なのか。

戦宮司はこちらに向かって突進して来る。


「………なら」


人の目につく場での交戦は、あまり俺の望むところじゃない。

後ろの曲がり角に人がいるのは分かる。

ここは軽くあしらって、逃げさせてもらおうか。


戦宮司の右手の刃は空を切る。

俺は上へ跳び、戦宮司を躱した。

すぐさまこちらとの距離を詰めようとするが、俺が逃げる速度の方が早い。


「悪いがここは逃げさせてもらうぞ」


「ちょっ、待ちなさい!!」


俺は階段を駆け下り、戦宮司をまいた。

……しかし危なかったな。

もし万が一、アイツにつかまっていたら面倒なことになってたかもな~。


「そう言えば明日はアルカナ戦争の日か。頑張れよ、愚者達」



――――


そして現在。

俺達愚者派は揃って朝、教皇の間にいた。


「愚者?………そこの金髪君は一体?」


そう、一人の()()()を抱えて。



そうして再び時間は遡る。

決戦の朝、俺達は四人全員集合して教皇の間に向かおうとしていた。

人目のつかない中庭に集合した俺達だったが、一つだけ誤算があった。


「そこの方々……どうか私に食料を……恵んで…………いただけないだろうか?」


そこには、今にも飢え死にしそうな金髪の男が倒れていた。


「あァ?誰だコイツ」


「キミたち、何か持っていないのかい?」


「んなモン持ってねえよ」


「仕方ないな……ならこれをあげようか」


そう言って、天使(エンジェル)は肩にかけていたカバンの中からエネルギーゼリーを取り出した。


「これしか持ち合わせがないんだ、すまないね」


「い………いえ!!感謝します……」


そう言うと、男は秒で飲み干した。

今世界記録出たな?間違いない。


「ううっ……久しく口にした…この御恩は忘れない!!いつか必ず恩返しを!!」


「構わないよ。どうする?愚者」


恩返し………か。

よし、ならば少し利用させてもらおうか。


「じゃあ学年と名前、役職と派閥を言え」


「2年のウィル・パーシヴァルだ。交換留学生でこの学園にやって来た。役職は『錬金術師(アルケミスト)』、派閥?とやらは初耳だ」


派閥を知らない…?

それにこの学園は交換留学生にまで役職を?

何か日本文化を誤解されそうだが。


まあそれはいいとして、こいつは使えそうだ。

ただでさえ人手不足だと思ってたんだよな、ちょうどいい所にいたもんだ。


「なあ、パーシヴァル。俺達に着いて来てくれるか?」


「勿論!恩人の友人の頼みを聞かないわけにはいかない。着いて行こう」


「よし、じゃあ覚悟を決めてついて来い。いいな?」


「…………え?」


そして今に至る。

パーシヴァルは初めて入る部屋だというのにも関わらず、あまり緊張はしていないようだった。

と言うか教皇の間、俺が初めて入った時はただの真っ白な空間だったんだが……。

いつの間にこんなに色んな家具や雑貨が置かれたんだ?


「はっはっは!錬金術師か……面白い人間を連れてきたねえ」


「こいつを俺の派閥に加えようと思う」


「…………は??」



少し強引すぎたか……?


ちなみに、前半の方で出てきた『彩佳』は第3話、愚者と治療者 を見て頂ければ誰かがすぐに分かります!

麻子は宿泊研修編で、彩佳と一緒にホテルのロビーにいた女子生徒の名前です。

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