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学園タロットカード  作者: チンピラゲーマー
16/50

16.魔術 『マジック』

闘技場のとある観覧席。


「おや?君がわざわざこんな所まで来るなんて…珍しい事もあるんだね『隠者(ハーミット)』?」


隠者と呼ばれた黒のローブを纏った者は、教皇のもとへ歩みを進める。


「『愚者(フール)』の実力をこの目で見るだけダ…」


「君も興味あるんだね」


「…………」


教皇は視線を前に向ける。

その先は観覧席の中でも、4大アルカナ専用のスペースだった。

四方にそれぞれ設置された席に座っているのは、恐らく自分と法皇、そして女教皇(プリーステス)

視線の先にいる法皇は一体何が目的でこんな所にいるのか、と教皇は思考を巡らせた。


—————


闘技場のリングの上。

初めて立ったがこんな感じなのか。


……にしても。

さっきから聞こえてくる野次馬のうるさい声が止まらない。

オイオイ、見世物にしたつもりはないぞ

すると歓声に包まれ、向かい側から歩いてくる死神(デーモン)の姿が見えた。


「まさか……」


「ああ、ここにいるヤツらは俺の派閥のヤツらがほとんどだ」


なるほど………。

どうやら死神は本気で俺の事を潰したいらしい。


「開戦の前に、勝者側の要求を確認しておこう。後でいざこざを起こす可能性もあるからな」


元々リングの上に審判として立っていた赤髪の騎士団長(ナイトリーダー)が言う。

アルカナ戦争では勝者側は敗者にほとんど何でも要求を行うことが出来る。


「では死神派。そちらの要求を聞こう」


「決まってんだろ、愚者。お前の退学だ……もちろんその大アルカナのカードは置いて行ってもらうぜ」


退学……か、また大きく出たな。

だからといって俺も死神の退学を望んでいる訳ではない。

俺が望むもの、それは。


「それでは愚者派。要求を」


「死神派の解散だ」


「ほう……?」


そう、死神派の解散。

小さいとは言え、闘技場を埋め尽くしてしまうような大きい派閥だ。

今後も派閥に所属している誰かが、俺の事を面倒事に巻き込むなんて可能性も捨てきれない。

念のため改めて強調しておくが、俺は平和主義だ。


「双方の要求は呑まれたという事でいいな?それでは間もなく開戦だ。体勢を整えておけ」


死神は余裕の表情でこちらを見つめる。

俺を倒せる秘策を持っているという事なのだろうか。


………どちらにせよ、俺はこんな所で負けられない。

少しだけ『お遊び』に付き合ってやる事にはしたが、勝ちを譲るつもりはない。


「それではただいまより!!死神派・愚者派のアルカナ戦争を開戦するッ!!」


騎士団長の口から発された開戦の合図。

それと同時に死神はこちらに突っ込んできた。


「先手必勝ってヤツだ、悪く思うなよ」


死神の勢いのあるタックルが俺の胴を揺さぶった。

しかし、瞬時に俺は右足を死神の頭目掛けて蹴り上げる。

惜しくもそれは死神の左腕が防御。

命中しなかったことを確認した俺は、後方へ大きく下がった。


(なんだこれ……戦争なんて言うよりかは、ただのタイマン勝負だな)


「もう疲れちまったのか?序の口にすぎねえぞ」


そう言うと、死神は地面から大鎌を出現させた。

それを右手で握り、もう一度こちらへ突っ込んでくる。

武器を持つ死神と、ただ素手で戦う俺。

観客からすれば明らかに俺の方が不利に見えるだろうな。


「ああっ!このままじゃ負けちゃうよ!」


「なんでアンタがそんなにはしゃいでるのよ……」


「だ、だって!私は……」


あの人に命を救われた。

あの人はこんな私を、全てを許してくれた人。

本気で応援しないわけには……!


少女は拳をぎゅっと握り締め、食い入るようにして戦いを見つめた。


——————


依然として俺が不利な状況は変わらないまま。

ただひたすらに、死神が振り回す大鎌を避けていた。


「オイオイ、避けてるだけじゃ俺に勝つなんて無理だぜ?まあ避けてなくても無理だがなァ!!」


大きく振り下ろされたその鎌を、あと少しの所で避けた。


「チッ……ちょこまかとウゼェ野郎だな」


「これも戦い方だ」


もう一度鎌を振り下ろそうとしたその瞬間。


「!?」


俺はすぐさま懐に入り、人間の弱点である部分。『みぞおち』に一発殴りを入れる。


「ガハッ……!!」


死神は怯みを見せる。

俺はその隙を逃しはしなかった。


「悪いが畳みかけさせてもらう」


「調子乗んなクソが!!」


突如として、死神の足元に魔法陣が現れた。

赤と黒の混色で、それは何とも形容しがたいものだった。


「これは……?」


「お前にもあるんだろ?大アルカナ専用の魔術(マジック)がよ」


魔術……か。

確かに俺にも存在する。

大アルカナ22名には、それぞれ特有の魔術が与えられている。

例えば悪魔(デビル)の翼。

あの翼は天使(エンジェル)のものよりも性能が高いだろう。

そして目の前に広がる禍々しい魔法陣、それこそが死神の秘策という事か。



さて、もう時は満ちただろうか。


「……いいだろう、見せてやるとしよう」


愚かなる者の反撃とやらを、な。








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