15.第一歩
学園のとある一室で、その会議は開かれようとしていた。
議題は『死神』と『愚者』のアルカナ戦争についてだ。
白髪の好青年、教皇は話を進める。
「今回は僕が許可を出した。4大アルカナが持つ権利に従ってね」
室内にいるのは他に五人。
一人は教皇の隣に座っている赤髪の騎士、騎士団長。
彼は教皇の側近であり、このような会議は教皇とともに出席することが多かった。
そして教皇の向かい側、鋭い視線でこちらを見る人物。
かけている眼鏡の向こう側の瞳は、全てを見通しているかのようだった。
そう、彼こそが『法皇』だ。
法皇は側近を連れて来てはいなかった。
手の内を見せたくないといった所だろうか。
そして教皇から見て右側、一人の女性が座っていた。
彼女は『女教皇』。
正直、教皇は彼女の事を考えが読めない人物として扱っていた。
普段、彼女は会議に出席する事は数少ない。
いつもは代理として、彼女のすぐ後ろに立っているシルヴァという大男が出席している。
「愚者は戦争に反対していたのかしら?」
「そうだね。彼は乗り気ではなかったよ」
「だったら何故、アナタは権限を使用してまで推し進めたわけ?」
「彼は『派閥』を作ろうとしているのさ。僕はその後押しをしてあげたに過ぎない」
そう、愚者の狙いは死神。
そしてあの時、屋上に居た天使と悪魔。
あの三人が一気に愚者派に加入したとすれば、大分と厄介な派閥が出来上がる。
「どちらにせよ、アルカナ戦争は決定された。後は双方が何を賭けるのか……楽しみだね」
「もう会議は終わっただろう」
向かいの法皇が立ち上がる。
しかし、教皇はそれを制止した。
「まあ待ちなよ。あと一つだけ話しておきたいことがある」
「何だ?速やかに願いたいが」
「異常アルカナについてさ」
「……!!」
室内の空気は、教皇が発したその一言で突如として変化を見せた。
—————
「ついに明日か……」
愚者は自室で休息を取っていた。
携帯電話の画面で時間を確認しようとした時だった。
(メッセージ……?誰からだ?)
見てみると、騎士団長からだった。
『明日のアルカナ戦争で審判を務めることになった。しかし、私は公平なジャッジを行う。全力を尽くして頑張ってくれ、愚者』
励ましの言葉か、わざわざ時間を割いてまでありがたいものだ。
明日勝つか負けるか。
迷うことは無い。勝利一択だ。
というよりも……だ。
俺にはその選択肢しか残されていない。
あの日の約束を果たすためにな。
—————
翌日の放課後。
俺はすぐに教室を出て、指定された会場へと向かう。
学園の敷地内にある、大きな建造物。
『第二闘技場』へと足を運んだ。
控室に行こうとした時だった。
「愚者!!」
振り返るとそこには、天使と悪魔の二人がいた。
「オイ、負けンじゃねェぞ」
「キミの勝利を祈っているよ」
二人からかけられた応援の言葉。
悪魔に関しては若干脅しに近いような気が…。
まあいい。
俺は俺のやるべき事をやるだけだ。
「まあ頑張ってみるよ」
そして数分後、いよいよその時はやって来る。
控室から呼ばれて、闘技場のリングへと向かう。
一歩一歩確実に、落ち着いて歩いた。
冷静さを欠くと負けてしまいそうだからな。
「さあて……やりますか」
約束への第一歩。
今————開戦する……!!
序盤はいよいよ次回辺りでクライマックスです




