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学園タロットカード  作者: チンピラゲーマー
12/50

12.愚者の策

研修が終わり、早くも3週間が経つ頃。

俺のもとには二人の男が来ていた。


「だから言ってンだろうがァ!アイツをぶっ殺すンだよ!」


物騒な事を大声で叫ぶ黒髪の男。


「口が悪いなあ君は……けど、ボクも少し賛成だよ」


それとは反対に、冷静な口調だがしかし賛同する金髪の男。


「……で、お前ら。もう一度聞くが何故俺の所に来た?」


そう、宿泊研修で見事なまでに死神(デーモン)に叩きのめされた二人。

天使(エンジェル)悪魔(デビル)の二人だった。


「お前、あン時現場にいただろうがァ!」


「つまりはこういう事か。自分では勝てませんから俺に仇を取ってくれと?」


「あァ!?ちげェよ!」


「不甲斐ないよ……。騎士(ナイト)君に頼みすがるとは」


しかし、正直俺にとってはこの状況はとても有難い。

こちらから出向く必要がなくなったからな。


「場所を変えるぞ」


俺は座っていた席を立ちあがり、とある場所へと向かう。


「お、おい。どこに行くんだい?」


「とりあえず着いて来てくれ」


—————


俺が来たのは屋上。そう、いつぞやの屋上だ。


「なぜこんな所に来る必要がある。あそこで良かっただろ」


「決まってるだろ、誰かに聞かれたら困るからだ」


今から話す事は俺が宿泊研修中に考えた策だ。

そう、その全てはこの二人と、そして死神を引き入れるためのもの。


この学園において、大アルカナには『派閥』が存在する。

例えば教皇の下には騎士団長を始めとした騎士団がいる。


「お前……本気か?」


「ハハハッ!本当に面白い、面白いよ君は!」


天使は高笑いし、悪魔は疑いの目を向ける。

俺の話した策はこうだ。


「死神は最後、行方をくらませる前にこう言った。


『俺はお前らの命を刈り取る』


と。つまり、この言葉通りなら近いうちにお前らをもう一度狙う可能性が高いってことだ。

そのタイミングさえ分かれば、俺が乱入することが出来る。」


「そうは言ってもだ。俺達がいつ死神と出くわすかも分からねェ。そんな中でどうやってお前は乱入するつもりだ?」


「お前らにはあるだろ。立派な(めじるし)が」


つまり俺は、天使と悪魔の翼を頼りに駆け付けるという事になる。


「君がボクらと一緒に行動していてはいけないのかい?騎士」


確かにもっともらしい意見だが、これは正直リスクが高い。

死神はいつ現れるかも分からないという不確定要素の上、天使や悪魔という学年でもある程度知名度のある連中と一緒に行動するのは、愚者(フール)の俺としては得策とは言えない。


「俺もいつでも一緒にいられるわけでもないし、できれば面倒事は避けたい。不用意に目立ちたいわけじゃないしな」


「確かに俺達が行動を共にしていることを知れば、死神の野郎も勘付きやがるかもしれねェしなァ」


「そうだね……。だとすればやはり、僕等は騎士の作戦で動くしかないという事になる。悪魔、やるしかないね」


「チッ、手駒に取られてンのがムカつくが……死神の野郎よかマシだ。仕方ねェ」


「騎士君……。君の本当の役職、この作戦が上手くいけばボクらに教えてくれるかい?」


「まァそうだな。俺達を引き入れるってことは、何かの大アルカナなんだろ。テメェは」


まあ流石に嘘は突き通せない。

正直、この場で明かそうとも考えてはいたが。


「上手くいけばな」


かくして俺達は死神撃破の作戦を決行することになった。

今回の問題は二つ。

一つ目は、死神がいつ現れるか分からない事。

二つ目は、天使と悪魔が二人でいるという状況をうまく作り出せるかどうかだ。


博打に近い策かつ強引ではあるが……まあいい。

死神はこちらの大根役者による演技にも乗ってくれそうだ。


—————


「シルヴァ、面白そうな事がありそうねぇ。(フール)は何を考えているのかしら?」


玉座に座る1人の女。

そのすぐ後ろに仕えている『シルヴァ』と呼ばれた大男は、女に紅茶を注ぎながらこう返答する。


「貴方がお気になさる程の事ではありますまい。精々、派閥の拡大に乗り出したといった所でしょう」


女はティーカップを手に取り、紅茶を一口。

そしてゆっくりとソーサーへカップを置いた。


「目的は3人。ずいぶんと強欲なのね。シルヴァ、万が一のことがあれば……分かってるわね?」


「勿論ですとも。我ら女教皇(プリーステス)派、ご指示一つで皆動きます」


女教皇はにやりと笑みを浮かべ、玉座から立ち上がった。


—————


「フン、くだらねえ見え見えの策だな……。大方下手くそな演技でもしてんだろ」


大きな鎌を肩にもたれかけさせている、灰色の髪の男は猿芝居を見るかのような目で二人を見ていた。

彼の目が捉えるものは純白の翼と暗黒の翼。


「狩りの時間だ」


彼はそう言って屋上から飛び降りるのだった。







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