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不器用な冒険者、最凶の遺物を拾う  作者: 夏悠


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4/10

4話 なぜか刺客に襲われてるんだが

冒険者登録試験ではとんでもなく目立ってしまったが、ともあれエリシアは晴れて冒険者として認定された。


エリシアの実力は常軌を逸しているが、Bランク以上になるためには実績が必要だ。

そのため、エリシアは実績がない現状で最高到達点のCランクと認定された。


しかし、これで良かったのかもしれない。

より高いランクとして認定されでもしたら、より目立ってしまうところだった。


「Cランクになった。もっと私を頼るといい」

エリシアは少し得意げな様子で胸元をぽんと叩く。


「確かにエリシアは強いけど、ちょっと目立ちすぎるから……できるだけ大人しく立ち回ってね」

「む、了解。主様」

不機嫌そうな顔をしつつもエリシアは承諾した。


「それはそうと、なぜ主様がGランク? 納得いかない。ランクを上げさせてくる」

そう言って、エリシアは受付へ向かって一直線に歩き出そうとする。


「待って待って、行かなくていいから! これには色々訳があるんだって」

慌てて止める僕。


「だとしても主様がGランクなのは明らかにおかしい」

「いやいや! 別にエリシアは強いけど、僕は実際まだまだだからね!? 魔法も使えないし…!」


必死に引き止めていると、困惑気味の受付嬢が苦笑いを浮かべながら声をかけてきた。

「あ、あの……ロストさん。エリシアさんがCランクになられましたので、早速お二人で依頼を受けられてはいかがですか?」


「あ、はい。ぜひそれでお願いします! 何か簡単なのを探してみます!」


「それでしたら、こちらの依頼はどうでしょう。森での魔物退治です」


渡された依頼書は、森でのゴブリン討伐(Fランク相当)。

本来Gランクの僕は受注できないが、Cランクのエリシアに同行する名目で行くのなら問題ないらしい。


そして、森の中。


「ギィッ!?」

襲いかかってきたゴブリンの群れに対し、エリシアはただ小さく手を一振りにしただけだった。


ドゴォォォン!!

森の一部が吹き飛び、肉片すら残らず消滅する。


「依頼完了。主様の手を汚すまでもない」

「ねえエリシア、Fランクの依頼で地形変えるのやめてもらえる……?」


胃の痛みに耐えながら依頼を終え、ギルドへ戻ろうとした、その時だった。


――ズズズズ……ッ!


突如、僕たちの頭上から赤黒い不気味な魔力の壁が垂れ下がり、周囲の空間を取り囲んだ。


「主様、気をつけて。強力な結界で閉じ込められた」


その頃、木々の影では黒装束の男が醜い笑みを浮かべていた。

(組織から渡された高級魔導具、空間封鎖の呪檻……! どんな大魔導士とて、この絶対不可侵の結界からは脱出できな――)


「何だって、本当か!?」

(試しに触れてみるか……)

僕は気になって、目の前の禍々しい魔力の壁にペタリと手を触れた。


――バチッ!


「うわっ!?」

一瞬、静電気のような痺れが走る。

次の瞬間、パリィィィィン!!とガラスが粉々に砕け散るような音が森に響き渡った。

赤黒い結界は、まるで最初から存在しなかったかのように消えていく。


「っとと…あれ、エリシア。これ大したことないんじゃないか?」

「触れるだけで構成術式を崩壊させるなんて。やはり主様は凄い」

「いやいや、僕にそんな芸当できるわけないって。多分何かのまぐれだよ」


「主様は謙遜しすぎ。もっと誇っていい」


そんな会話をしている最中、後ろから人影が襲いかかってきた。

「お、恐ろしい男だ……だが死ねぇぇ!」


「主様、伏せて」


「えっ…?」

言われるがまま地面に平伏した僕の頭上を、凄まじい熱量と圧力が通り過ぎた。


エリシアの手から放たれた青白い光線が、襲いかかってきた男を後ろの木々ごと焼き払う。


「……は?」

「ごめん主様。でも危なかったからこうするしか無かった」


待て待て待て!

完全に人間一人を塵一つ残さず消し飛ばしたよね、大丈夫なのこれ!?


「ひぃぃ!?」「化け物だー!」

「怯むなっ、行くぞ!」

悲鳴を上げながら襲いかかってくる他の暗殺者たちを、エリシアは無表情のまま薙ぎ払っていく。


「何なんだよ、こいつら……っ!」

「分からない。でも、こいつに吐かせればいい」


エリシアは、唯一息のある男の襟首を掴み、ズルズルと引きずってきた。


「ぐっ、うう……」

「目的を話して、私たちを狙う理由は何?」


「ひ、ヒィ! 組織の命令だ……お前たちを」

直後、エリシアは男の顔面を迷わず殴りつけた。


ドカッ! ズドン!


「ごほっっ!?」

「待っ、エリシアやめっ! 今喋ろうとしてたでしょ!?」


エリシアは男の口を塞ぐ勢いで、容赦なくボカボカと拳を叩き込んでいく。


「どこの組織の差し金?」

「がはっ……話す、わけ……っ」

「答えないなら、殺すだけ」

「ダメだって!! 殺したら情報が入ってこないじゃん!!」


そのまま男にとどめを刺そうとするエリシアを、僕は慌てて止めに入る。


その後もエリシアの尋問(という名のリンチ)は続いたが、男は血を吐いて白目を剥き、気絶してしまった。

完全にボロ雑巾だ。


(これは……本格的にヤバいことに巻き込まれてるかも……)


僕は頭を抱えながら、気絶した男を担ぎ、重い足取りでギルドへ向かうのだった。

第4話を読んでいただきありがとうございます。

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