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不器用な冒険者、最凶の遺物を拾う  作者: 夏悠


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2話 拾った少女が規格外すぎる

「私はエリシア。今日からあなたは私の主様」

落ち着いた声で言い放つ少女を前に僕は困惑する。


「いやいやいやいや! そんな急に言われても困るよ! 僕はただのGランク冒険者で封印されてた箱触っちゃっただけで……ってか、君は一体何者!?」

あんな場所に封印されていたことを思えば、この少女はただ事ではない存在なのは明らかだ。


「私は古代文明の英雄たちによって作られた守護者。あなたは私の封印を解いてくれた。だから今度は私が主様を守る」


(ど、どうすればいい……? あまりにもこの子は危険すぎる……!)

一応、街の頼れる先輩冒険者やギルドに相談するか? しかし下手に公表すると大ごとになりかねない。

それに、こんな美少女に慕われるのなんて初めての経験だし……。


(……いやいやいや、ダメだろ! 今はそういう問題じゃない!)

僕は頭を振って気を取り直す。

封印を解いてしまった以上彼女を野放しにするわけにはいかないし、どうすればいいか考えるんだ。


「あー、えっと……じゃあ、あんまり無茶はしないでね。危険なことは止めてほしいし、人に見つからないように静かに過ごそう。それでいいかな?」

「了解した。主様が望むのならそうする」


(まずはここから無事に脱出しなければ…)

僕はエリシアを連れて、落盤した入口へ向かう。


そう決意した矢先のことだった。

崩れた地上への坑道から、地響きのような唸り声が響き渡った。


「グルルルル……!」

何か大きなものが近づいてくる。

「な、何だこの音!?」


嫌な予感がする。


――ヴォオオオオオオッ!!


「何故ここまで強そうな魔物が……!?」

崩落音と魔力に引き寄せられたのか、地下の暗闇から体長数メートルはあろうかという魔物が姿を現す。

僕の力では、到底勝てるはずもないレベルの化け物だ。


「エリシア、君は隠れて……っ!」


僕は腰の安物ナイフを構え、震える足でエリシアの前に立ちふさがった。

勝てるわけがないと思う、それでもここで女の子を見捨てるなんてできるわけがない。


「主様が手を出すまでもない、私に任せて」

エリシアは静かに告げ、手を前に出した。


次の瞬間、エリシアの手の先に青白い光が集約する。

それは、閃光となって魔物へと向かって一直線に飛んだ。


――ドゴオオオンッ!!


それは魔物の身体を貫通し爆散させた。

同時に地下空間に土煙が舞い上がり、魔物は見るも無残な姿で倒れ伏した。


「……え?」

目の前で起きた事態に、しばらく呆然としていた。

エリシアは何事もなかったかのようにこちらのほうへ戻ってくる。


「倒した。これでいい?」


「あ、うん……じゃあ、戻ろうか……」

信じられない展開を見た僕は返答に困ってしまう。

エリシアに警戒心を抱きつつも、来た道の方に歩みを再び進める。


結局、無事に地上へと脱出できた。

日が落ちる前に急いで街に戻り、エリシアを宿屋に連れて行く。


「ふぅ……助かったよ、エリシア。ここなら一晩中休めるから」

「感謝する、主様。今夜はここで休ませてもらう」


部屋に入り、ベッドに横になったエリシアは静かに目を閉じる。

外から見れば少女と同じだが、内側に隠された力は明らかに僕の手に余る代物だ。


(こんな子を手元に置いて大丈夫なのか……?)

ギルドに相談しようか、専門家に引き渡そうか、いや、そもそも自分に相応しいのか……。

考えに耽るうち、僕も深い眠りに落ちていった。


「主様、起きて。もう朝」

翌朝、エリシアに呼び起こされる。

どうやら彼女は僕の隣で眠っていたのだろう。

隣で……? 今更そのことに気づく。

「なんで隣にいるんだ!? あ、いや、僕は何もしてないからね!?」


慌てて飛び起きてエリシアから離れる。

彼女は小首を傾げると、得意げに答えた。

「問題ない。私はあなたを主として認めている。主様を近くで守るのは当然」


(うぅ……か、かわいい……)

その一言は心臓に悪い。

でも、そういう問題じゃないんだよな……。


それにしても、今日の予定はどうしようか。

とりあえずエリシアをなんとかする方法を探さねばならない。


まずエリシアがとんでもない存在であることは秘密だ。

その上でこの街の暮らしに少しずつ慣れてもらうことにしよう。


少しずつ普通の暮らし方を知って、問題を起こさない立ち回りを覚えてもらえばいいはず。

とりあえず、エリシアには身の回りのこと、この街の施設について一通り説明した。

市場でも食堂でも、エリシアは目に入ったものの前で立ち止まって、僕の袖を引っ張る。

そのたびに、僕は「あれは後で」と言って先へ進んだ。


まあ、ざっとこんなところだろう。

……そうだ、急いで帰ったからギルドへの依頼報告を忘れていたんだった。


依頼報告をしていなかったことを思い出した僕は、冒険者ギルドへ入る。

辺りから視線を感じる。普段はGランクの僕でも、隣に見知らぬ美少女を連れていると流石に注目を浴びるようだ。


「おはようございます、ロストさん! 廃材の回収の方はどうでしたか……あら、そちらのかわいい子は?」


受付嬢が不思議そうな顔でエリシアを見る。

「ああ、この子はエリシア。昨日の旧遺跡で見つけたんだ。訳あって一緒に暮らすことになった」


「えーっ!? また何やってんですか!?」

周りの冒険者たちが一斉にこちらを向く。

「いや、本当なんだって! 信じてくれ!」

とにかく誤魔化すしかない。

受付嬢は納得できてなさそうだが、とりあえず報酬を渡してくれた。


「あ、そうだ。エリシアは冒険者登録できるのかな?」

「この子ですか……? かなり幼く見えますが大丈夫ですか?」

彼女を指差して聞いてみると、受付嬢は眉をひそめた。


「登録自体は可能かと思います、ですが実力を測る試験も受けないといけません」

「今日はもう遅いですから、明日にでもどうですか?」


「分かった、そうするよ」

これ以上ギルドにいて怪しまれても困る。

僕は急いで簡単な雑用依頼をいくつか受け取り、早々にギルドをあとにした。


その後、宿屋へ戻ってエリシアと明日の準備を整える。


「主様。明日の試験とは、何をすればよいのですか? 敵対者の全消滅ですか?」

「全消滅させないで!? 普通に実力を示すだけだからね!?」


相変わらずズレた意気込みを見せるエリシアを必死になだめながら、ベッドに横たわる。

明日、無事に冒険者試験を終えられるだろうか。いや、絶対に何かやらかす気がする……。


全くもって明日の試験が恐ろしい。無事に終わってくれよ…?

前回に引き続き2話を読んでいただきありがとうございます。

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