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不器用な冒険者、最凶の遺物を拾う  作者: 夏悠


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1話 底辺冒険者、とんでもない少女と出会う

「うーん、やっぱり今回もひび割れてる。魔力がほとんど抜けててあまり使い物にならなそうね。はい、少ないけど今回の報酬ね」

受付嬢は依頼品を見て残念そうにしながらも、報酬を渡してくれた。


「うう…すみません…」

冒険者ギルドの受付窓口で、数枚の銅貨を受け取る。

今回の依頼は魔道具用の特殊な魔石の採取だったが、肝心な魔石の状態が悪く依頼報酬も半分以下だった。


危険な魔物を避け、奥地の洞窟でなんとか掘り出した質の良い魔石。

壊れないように細心の注意を払って持ち帰ってきたはず…

なのにいざ提出してみれば、魔石の表面には薄いひびが入り、使い物にならないときた。


(やっぱり魔石はムリだったか…)

思えば昔から貴重なものをよく壊していたな…特殊な魔法のビンや、今回の魔石、特に魔力に関連するものとは相性が悪いのかもしれない。


「お前は縁起が悪い。触るもの全てを腐らせる呪いの子だ」

ふと、過去の光景が頭をよぎる。故郷の村ではそう忌み嫌われ、弾き出されるように追い出されてしまった。


この街に来てからも、手にする依頼品や道具の調子を悪くさせてしまい、まともに依頼を終えられたためしがない。おかげで万年Gランクの底辺冒険者のままずっと足踏みさせられている。


だからこそ、普段からトラブルを起こさないよう慎重に取り扱っているが、触ることすら難しいのではやってられない。


「まあ落ち込まないでよロスト。あなた、この街に来たばかりで家賃も怪しいんでしょ?」


「はい…今日の宿代も厳しいです…」


「なら、ちょうどあなたにピッタリの依頼があるわ」

受付嬢のお姉さんが苦笑いしながら出してきたのは、一枚の依頼書だった。


「はいこれ。東の旧遺跡に放置された、古い廃材回収の依頼」


「廃材回収ですか?」


「そうね。昔から長く調査されてきた場所だけど、今じゃすっかり見向きもされてないわ。解けない封印があるなんて噂もあったけど、大きな魔力反応もないし、魔物も少ない安全な場所よ」


受付嬢は地図の端を指差しながら続ける。


「あそこに転がってる古い鉄くずを欲しがってる人がいてね。ただのゴミ拾いみたいなものだから、あなたでも失敗しようがないでしょ?」


「確かに……! それなら流石に僕でも壊しようがないですね」


「でしょ? 報酬は少ないけど、今夜のパンとベッド代くらいにはなるわよ」


「分かりました、この依頼、今すぐ行ってきます!」

そう言って、僕はギルドを飛び出した。


街の外れ、草木に埋もれた旧遺跡。

そこは本当に忘れ去られたかのように静かだった。

「よし、ここなら魔導具の気配もないし、ただの廃材だから触れても大丈夫なはずだ、慎重に集めていこう」


入り口近くの崩れた一角。そこには、大昔の魔道具などの残骸と思われる廃材がゴロゴロと転がっていた。


作業用の手袋を着けて、極力よけいな力を入れないようにしながら麻袋に入れようとする。

(この調子なら問題ないな。十分な量が集まったらそのままギルドに帰ろう)


随分と廃材も集まってきたので、一旦休もうとその場に手をついて座り込んだ。

(ん…? この床、変な模様があるな)


僕が手を触れた床には魔法陣のような複雑な幾何学模様が施されていた。よく見ると少し模様が光っている…?

ふと、周囲の様子に違和感を覚えた。

…そうだ、足元から振動が伝わってくるような気がする。


バリバリバリッ!!


その瞬間、先ほどまでとは比較にならないほどの衝撃が、全身を走った。


「な、なんだ!?」

慌てていると、ズドンッ!! と豪快な音とともに、遺跡の床が盛大に崩落。


「うわぁぁぁぁっ!?」

僕は自らの体質を心の底から後悔しながら、暗闇の中へと真っ逆さまに落下していった。


「痛た…うぐぐ…まさか床が崩れるなんて…どうしてあんな所に触っちゃったんだよ……」

幸い骨折はないが、見上げれば落ちてきた穴は遥か頭上。壁は崩れやすく、とても登れる高さではない。


とりあえず出られそうな場所はないか、よく見ると奥の方からほんのりと青白い光が漏れていた。

僕は腰の安物ナイフを握り締め、おそるおそるその光の方へと歩く。


そこには驚きの光景が広がっていた。

「なんだ、これ……?」

そこは、まるで神殿のように神秘的な地下空間だった。


その中央には、見たこともない素材で作られた巨大な箱が静かに鎮座していた。

表面には、素人の僕が見てもわかるほど異常な密度で、複雑な模様や高度そうな封印回路が刻み込まれている。


「見るからにやばいやつだ…絶対に近づかないようにしよう」

冷や汗を流しながら、僕はそろりそろりと後ずさる。

しかし、足元に転がっていた何かを踏んだらしく、バランスを崩してふらつく。


「っとと…!」

体勢を立て直そうと思わず手をバタつかせたが、目の前にある箱の重要そうな部分にペタッと触れてしまった。


パシッ…!


「やべっ!」

指先が触れた途端、目の前にある巨大な箱が急速にひび割れ始める。


「うわっ!あーあ、どうすんだこれ…」

額に手を当てて嘆いていると、全体に聞いたこともないような不協和音が響き渡る。


―――パリィィィィィン!!!!


まるで巨大なガラスが砕け散るように箱が弾けた。

凄まじい衝撃波に押し戻されて地面に尻餅をつく。


「待て待て待て……ガチでやばいことになってないかこれ!?」

衝撃が収まり、やがて眩い光とともに煙がスーッと晴れていく。

砕け散った箱の破片の真ん中で、ゆっくりと何かが立ち上がった。


それは一人の少女だった。


白銀の髪に、透き通るような白い肌。

どこか儚げで、神秘的な赤紫の瞳を光らせている。

少女は目の前で呆気に取られている僕を見下ろした。


「……貴方がこの結界を破壊したの?」

どこか底知れない静かな響きを持つ声が、静寂な空間に響く。


冷や汗を拭いながら、必死に言葉を絞り出す。

「け、結界!?足滑らせて触ったら勝手にバリバリって……! その、僕は何もやってないんだ、本当に!」


「隠さなくていい、この状況を見ればあなたがやったことは明確」

少女はゆっくりとこちらの目の前に立ち、まっすぐな瞳でこちらを見据えてくる。


「封印を破壊したあなたを主様だと認識した。これからは主様についていく」


「主様? いや、あの、僕ただの底辺冒険者なんだけど……!」


故郷を追われた不器用な僕と、目の前に突如現れた謎の少女。

明らかに普通じゃない封印を解いてしまったらしい、僕はいったいどうなるんだ…?

初投稿です。よろしくお願いします。

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