第十二話 エンキリと動き出した縁
そろそろ終わりも近づいてきたなぁと思ってますが、面白いとかいう感想がきたらちょっと引き伸ばそうかなぁと考えてます!出来たら感想のほうをよろしくお願いします!
十二、
ゲームやっててどう考えてもラスボスに勝てなかったりする。いや、その前にラスボス前の敵に勝てなかったりするのが俺なのだが、正直言って姉さんはレベルが低かろうが、武器が弱かろうがまず、勝てる。
何故かって?そりゃ、おかしいことが起きるから。敵の攻撃とか表示はされるのだが、攻撃は外れてしまったとかそういうのが出る。恐ろしいほどの運の持ち主なのだ。アクション系のゲームだったらありえないほどの腕前を見せてくれるのだ。
そんな俺の姉さんがやってきた理由、それは弟の平安をただ壊しに来ただけじゃなかった。
――――
起きた姉さんがすること、まずは顔を洗う。
「………ふぅ、これでおきたって実感するわね………」
「………先に顔洗ってた俺を庭に放り投げるのは勘弁してくれ………」
そして、次に飯を食べる。
「霧耶、ご飯がやわすぎよ。私は固めのご飯が好きなの。味噌汁はちょっと辛すぎだわ」
「……………その割には両方とももう五杯目………こりゃ、焔華と優の分は俺の分を減らしてやるしかないか………」
そして、最後に………
「ふぅ、おやすみ………昼ごはんになったら起こしてね」
「…………」
ちなみに言うが、俺が目を覚ますのは四時半だ。姉さんも同じ時間に起床。ちなみに焔華は五時ぐらいに目を覚ましてまぶたを擦ることなく、しっかりとした歩調で起きてくる。
「おはようございます、師匠………あの、なんだかげっそりとしてますが?まだ節佳さんは起きてきてないんですか?」
「………あいにく、もう寝ちまったよ………」
これはもう、夏場の通り雨以上に質が悪いとしかいえない。
「は、はやいですね?」
「まぁ、な………」
優が起きてきたのは七時半………しかも、パジャマは着崩れを起こして目を擦りながらウサギさんのぬいぐるみを担いでやってきた
「…………おはようございます」
「ああ、おはよう………」
今日が休みではなかったらまず間違いなく遅刻だろう。既に焔華は木刀をもって道場で素振りをしているだろう。
「…………味噌汁ですか………朝はいりません」
席に座ったのを確認すると俺はご飯と味噌汁を優の前に出してやったのだが、それを優は不機嫌そうに要らないとのたまった。
「ああ?味噌汁のまねぇと力がでねぇだろうが?」
「………納豆だけで結構です」
何故、優が納豆だけを頼むかというと、若手のエンキリは納豆の糸をうまくたちきることが出来れば将来有望だと考えられているからである。ほんとうかどうかはさっぱりなのだが、俺たち一族はこの話をマジで信じている連中がけっこういるのだ。
「………目をあけたくありません」
「ったく………ほら、口開けろ。あ〜ん」
「………あ〜ん」
冗談で言ったつもりだったのだが、優は俺に言われるままに口を開けた。しょうがないので俺は箸を使って優の口の中に入れてやることにしたのだった。
「………まぁまぁおいしいですね。私の作った味噌汁に比べると味は落ちますけどね。今度作ってあげますよ」
「ははは………それは期待して待っておくよ」
できれば姉さんがいる間にお願いしたい。
そんなやりとりをしていると焔華が戻ってきた。
「……師匠、今優が起きてきたのですか?」
「ああ、そうだ」
「…………エンキリ一族とは変わっているのですね」
おそらくは俺のことを比べて言っているのだろう。優は食べ終えてからウサギさんを引っ張ってどこかに消えてしまった。
「ま、個人個人でばらばらなのが俺らの一族って感じだからな」
「………師匠、稽古、付き合ってください」
「ああ、わかった」
その後、午後になるまで俺たち二人は道場で稽古試合をしており、優と姉さんは午前中一杯、一度たりとも姿を見せなかった。
―――
「姉さん、ご飯が出来た」
「…………ん、わかったわ」
Tシャツ一枚という他人には見せられないような姿でベッドの中から這い出してきた姉さんに着るものを渡す。
「どう?この洗練された体に見入ってた?」
「いや、確かに男だったら見入るかもしれないけど性格知っている俺は見とれな………ぐはっ!!」
ご無体なけりが俺の腹にヒットして廊下の壁にヒビを増やしてしまった俺だった。
―――
姉さんだけが満足のいく昼ごはんを追え、昼からどこかに遊びにいこうと考えていたのだが………………
「霧耶、仕事」
「仕事?仕事は今のところもってないけど?」
「私が仕事持ってきたの。霧耶に解決してもらわないと」
そういって引き止められ、焔華と優も仕事場であるテーブルの前に三人で並んで座った。
「今日の午後二時、ここに一人の依頼者が来るわ」
「依頼者?」
「そう、私に依頼が来てるんだけどちょっと大変でね………ここに来た理由は仕事を霧耶にしてもらうためなのよ」
「なるほど………そうなのですか」
「……………」
焔華はそういうがこれはおかしい。大体、姉さんのほうが実力が上だし、俺がいても邪魔になるはずだ………
優もそう思ったのか、姉さんに尋ね始めた。
「節佳さん、何故ご自分でなさらないのですか?」
何が重要な意味があるのだろう、きっと………
「めんどいから」
「それ重要じゃないよね、姉さん」
「誰が重要な意味があるっていったのよ?」
頭がおかしいんじゃないの?って顔をしながらこちらを見てくる姉さんに対して俺は呆れるしかなかった。
「あのさ、難易度は?」
「ん〜………五つ星ってところかしら?」
ちなみにエンキリ一族では最高で三つ星である。
「ねぇ、それってやっぱり俺じゃ無理なんじゃ………」
「うっさいわね!人の縁を切ってなんぼの私たちよ?特に、まだ結婚相手を見つけたくないって逃げ回ってるあんたを助けてあげるには皆に実力を示さないといけないの!これはあんたのためなのよ」
「そ、そうなの?」
てか、姉さんが俺のことを何気に考えてくれているなんて知らなかった………
「いい?絶対に一回の断ち切りで縁を切ってしまわないと今回は霧耶に関わりを持っている皆に被害が及ぶわ」
「…………」
なにやらシリアス展開になってきた姉さんの口調に俺はつばを飲み込み焔華は固まり、優はせんべいをかじって舌をかんでしまった。




