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無能の逆襲 ~無能は回帰しても無能のままだった~  作者: にゅん


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22/55

追われた群れ

 野外実習で灰爪猿の群れと遭遇した翌朝、シオンの右腕にはまだ僅かな痛みが残っていた。


 骨や関節には異常がなく、学院へ戻った後に治癒術師から改めて診察を受けても、軽い打撲に近い状態だと言われている。数日間は強く動かさないよう注意されたものの、日常生活に支障が出るほどではない。


 それでも制服へ袖を通す時に痛みを感じるたび、昨日の光景を思い出した。


 灰爪猿が振るった腕。


 木剣へ伝わった重い衝撃。


 頭では攻撃の軌道を理解していたにもかかわらず、思うように動かなかった十二歳の身体。


 一度目の人生で積み重ねた経験が役に立つことは分かったが、それを過信すれば危険だということも同時に思い知らされた。


「やっぱり痛む?」


 登校してきたシオンの右腕を見て、隣の席へ座ったセレナが心配そうに尋ねた。


「少しだけね。治癒術師には三日くらい無理しなければ大丈夫だって言われたよ」


「それなら、今日の実技は見学してくださいね」


「そのつもりだよ」


「本当ですか?」


「どうして疑うの?」


「昨日、灰爪猿の前へ出た人だからです」


 どうやら昨日の戦闘について、すでに聞いているらしい。


 シオンは少し離れた席にいるディランを見る。


 視線が合った途端、ディランが露骨に顔を逸らした。


「ディランから聞いた?」


「昨日、寮へ戻る途中で会いました。シオンが灰爪猿の攻撃を木剣で受けたと聞いて、とても驚きました」


「受けたんじゃなくて逸らしたんだけど」


「木剣を弾き飛ばされて腕を痛めたとも聞きました」


「そこまで話したのか……」


 シオンがもう一度ディランを見ると、今度は机に置かれた教本を読み始めた。上下が逆になっているため、明らかに読んでいるふりだった。


「ヴァルターが危なかったから、一回だけ時間を作ろうとしたんだ。自分で倒そうとしたわけじゃないよ」


「それは聞いています。だから怒っているわけではありません」


 セレナは一度言葉を切り、シオンの右腕を見る。


「ただ、シオンが弱いことは私も知っていますから」


「はっきり言うね」


「シオン自身がいつも言っていることでしょう?」


「それもそうか」


 思わず笑ってしまった。


 セレナが心配していることも分かる。


 彼女はシオンが未来の知識を持っていることを知っている数少ない人間だが、未来を知ることと戦闘能力があることを混同していない。


 むしろ五年間付き合ってきたからこそ、シオンが本当に剣も魔法も不得手であることを理解している。


「次はちゃんと逃げるよ」


「次がないことを願っています」


「それが一番だね」


 二人が話しているところへ、ディランとノアが近づいてきた。


「シオン、腕どうだ?」


「誰かがセレナに詳しく説明してくれたおかげで、朝から心配されたところだよ」


「いや、それは言った方がいいだろ!」


「教本、逆だったよ」


「見てたのか!?」


 慌てて教本を直すディランを見て、ノアが笑う。


 いつものやり取りが戻ってきたことに、シオンは少し安心していた。


 昨日は全員、初めて実戦で魔物と向き合った。


 シオン自身には一度目の人生で経験があるが、ディランたちにとっては違う。特に実際に槍で灰爪猿を押さえたディランと、雷魔法を撃ち込んだヴァルターには、多少なりとも影響が残っているはずだった。


「グランツは?」


 シオンが尋ねる。


「あそこ」


 ノアが教室の反対側を示した。


 ヴァルターはすでに登校しており、自分の席で本を読んでいる。


「昨日の後、何か言ってた?」


「俺には何も。ただ、シオンのことは見てた」


「いつも通りじゃん」


「確かに」


 シオンはそれ以上気にしなかった。


 ヴァルターが何を考えているとしても、昨日の戦闘で秘密を知られたわけではない。


 シオンが見せたのは、冒険者として身につけた経験の一部だけだ。


 十二歳としては不自然に見えるかもしれないが、アルヴェリア侯爵家には多くの騎士がいる。幼少期から野外活動や魔物について教わっていたという説明で、少なくとも完全にあり得ない話にはならない。


 問題があるとすれば、今後も似た場面が増えた場合だった。


 未来の知識とは別に、六十年間を生きた経験そのものが、周囲から見れば異質に映る可能性がある。


 そこは少し注意した方がいいだろう。


 午前の授業が二つ終わった後、シオンは教室を出たところで呼び止められた。


「アルヴェリア」


 振り返ると、廊下の先にバルガスが立っている。


「少し時間をもらうぞ」


「はい」


「クロフォードとグランツも呼んでいる。昨日の件について確認したいことがある」


 叱責されるのだろうか。


 シオンはそう考えながら、バルガスについていった。


 案内されたのは教師用の小さな会議室だった。


 すでにディランとヴァルターが座っている。


「シオンも呼ばれたのか」


「ディランたちも?」


「ああ。俺、また怒られるのかな」


「昨日は褒められてただろ」


「でも勝手に戦ったのは事実だし」


「状況的に仕方なかったと思うけどね」


 シオンが向かいの席へ座ると、バルガスも三人の前へ腰を下ろした。


「先に言っておくが、説教のために呼んだわけではない。昨日の状況をもう一度確認したい」


 三人の表情が少しだけ変わる。


「森の調査で何か見つかったんですか?」


 ヴァルターが尋ねた。


「見つかった。ただし、まずは昨日の話からだ」


 バルガスは机の上へ紙を広げた。


 簡単な森の地図だった。


「最初に灰爪猿の痕跡を見つけたのはアルヴェリアとクロフォードだな」


「はい」


「草が倒れていて、木に三本の爪痕があった。それ以外に何か見なかったか?」


 シオンは昨日の光景を思い返す。


 小川。


 柔らかい地面。


 倒れた草。


 木の幹に残った傷。


「はっきりした足跡がありませんでした」


「それは報告を受けている」


「他には……」


 シオンはすぐに答えず、記憶を辿った。


 あの時は正体を確認するより、教師へ報告することを優先した。


 周辺を詳しく調べたわけではない。


「俺は特に見てないです。シオンに言われるまで、草が倒れてることにも気づかなかったので」


 ディランが正直に答える。


 バルガスは頷いた。


「ならいい。次に、襲撃された時のことだ。アルヴェリア、お前は灰爪猿が後方へ回っている可能性に最初に気づいたそうだな」


「見えている数が報告された数より少なかったので、後ろや頭上にいる可能性を考えました」


「灰爪猿の習性を知っていた?」


「はい。群れで狩ることと、木を使って側面や後方へ回ることは知っていました」


「誰から教わった?」


 シオンは質問の意図を考えた。


 追及されているわけではなさそうだ。


「家の騎士からです。アルヴェリア領にも森が多いので、魔物については小さい頃から色々聞いています」


「なるほどな」


 バルガスはそれ以上追及しなかった。


「グランツ。お前はアルヴェリアに言われて右へ避けた。その直後、頭上から灰爪猿が降りてきた。それで間違いないか?」


「間違いありません。私は接近に気づいていませんでした」


「枝の音は聞こえたか?」


「いいえ。シオンに言われた後も、魔物が落ちてくるまで分かりませんでした」


 ヴァルターは素直に答えた。


 バルガスが今度はシオンを見る。


「お前は?」


「枝が軋むような音がしました。雨音と違って聞こえたので、何かいると思いました」


「姿を見る前にか?」


「はい」


 バルガスは腕を組んだ。


 しばらく何も言わない。


「先生?」


「アルヴェリア。お前、冒険者に向いているかもしれんな」


「……俺がですか?」


 思わぬ言葉だった。


 一度目の人生では実際に冒険者をしていたのだから、何とも答えづらい。


「戦闘能力の話ではない。むしろ剣と魔法だけなら向いていない」


「そこは否定してくれてもいいんですけど」


「教師が生徒の現状について嘘を言ってどうする」


 あまりにも即答されたため、ディランが吹き出した。


 ヴァルターまで僅かに口元を緩めている。


「野外で生き残る人間に必要なのは、強さだけではない。違和感を無視しないこと、自分で確認するべきことと専門家へ任せるべきことを区別すること、そして危険が起きた時に一つの対象へ集中しすぎないことも重要だ」


 バルガスはそこで一度言葉を止めた。


「昨日のお前は、その三つができていた。だから少し気になっただけだ」


「家で色々教わりましたから」


「それならアルヴェリア侯爵家の騎士は良い教育をしているな」


 シオンは曖昧に笑った。


 実際に教えてくれた人々の多くは、今の人生ではまだ出会ってすらいない。


 一度目の人生で所属した冒険者の一団。


 護衛依頼で知り合った傭兵。


 街道で何度も野営した商人仲間。


 彼らから学んだものが、数十年後ではなく、十二歳の今になって役立っている。


「それで、本題はここからだ」


 バルガスの表情から笑みが消えた。


 三人も自然と姿勢を正す。


「昨日、実習を中止した後も学院騎士が森を調査した。倒した灰爪猿は九体。逃げた個体についても、途中まで痕跡を追っている」


「見つかったんですか?」


 ディランが尋ねる。


「群れそのものは見つからなかった。ただし、移動してきた方向はほぼ特定できた」


 バルガスが地図を指す。


 学院管理区域より北東。


 さらに森を抜け、その先に低い山地がある。


「灰爪猿は本来、この辺りを縄張りにしている。学院の管理区域から徒歩で半日以上離れている場所だ」


「そんな遠くから来たんですか?」


「ああ。しかも昨日の群れだけではない可能性がある」


 シオンの表情が変わった。


「別の群れも移動しているんですか?」


「北東側の村から報告が入った。ここ数日、普段は山地にいる小型魔物が森の外側で目撃されている。家畜が襲われた村もある」


 ディランが眉を寄せる。


「魔物が山から下りてきてる?」


「そう見える」


「餌が足りなくなったとか?」


「その可能性も調べている。だが、昨日の調査隊が一つ気になるものを見つけた」


 バルガスが別の紙を取り出す。


 そこには大きさの違う足跡が描かれていた。


 シオンは見た瞬間に眉を寄せた。


「これは……灰爪猿じゃないですね」


「分かるか?」


「指の形が違います。それに大きすぎる」


 灰爪猿より遥かに大きい。


 人間の手のひらより広い足跡だった。


「正体はまだ特定できていない。ただ、灰爪猿の本来の縄張りに近い場所で複数見つかった。木にも新しい傷が残っていた」


 バルガスは三人を順番に見る。


「今のところ学院側は、灰爪猿が何かに縄張りを追われて移動した可能性を考えている」


 会議室が静かになった。


 シオンも紙に描かれた足跡を見る。


 一度目の人生の記憶を探った。


 この時期。


 王都北東部。


 大型魔物。


 何か有名な事件がなかったか。


 しかし、思い当たらない。


 少なくとも十二歳の頃に、王都周辺で大規模な魔物災害が起きた記憶はなかった。


「シオン?」


 ディランに呼ばれ、顔を上げる。


「何か知ってるのか?」


「いや。見たことのない足跡だと思っただけ」


 それ以上は言わない。


 実際、知らない。


 未来の記憶にも答えがない。


「先生、俺たちにこれを話して大丈夫なんですか?」


 ヴァルターが尋ねた。


「現時点では機密情報ではない。近隣の村にも警戒を呼び掛ける予定だからな。ただし、正体不明の大型魔物が王都へ向かっているなどと勝手に話を広げるな。まだ何も確定していない」


「分かりました」


 三人が頷く。


「それと、昨日の件については学院から各家へ正式に報告する。怪我をした生徒についても同様だ。アルヴェリア、お前の腕についても侯爵家へ連絡が行く」


「……母に怒られそうだな」


「父親ではないのか?」


「父も怒ると思いますけど、母の方が長いので」


 ディランが笑う。


 バルガスも僅かに表情を緩めた。


「それなら覚悟しておけ。話は以上だ。三人とも授業へ戻れ」


 会議室を出た後、ディランはすぐに口を開いた。


「なあ、でかい魔物って何だと思う?」


「先生の話聞いてた? 勝手に話を広げるなって言われたばかりだろ」


「俺たち三人しかいないじゃん」


「だからって分からないものを予想しても仕方ないよ」


「シオンなら何か知らないのか?」


「知らない」


 シオンは即答した。


 今度は嘘ではない。


「魔物図鑑とかで似た足跡見たことない?」


「大きさだけじゃ絞れないよ。先生たちが現地を調べてるんだから任せよう」


「つまんないな」


「面白がる話じゃないだろ」


 二人の会話を聞きながら、ヴァルターは黙って歩いていた。


 やがて廊下の分かれ道で足を止める。


「シオン」


「何?」


「お前、本当に知らないんだな?」


 その質問の意味を、シオンはすぐに理解した。


 ヴァルターは昨日までの経験から、シオンが何か知っている可能性を疑っている。


「知らないよ」


「そうか」


 ヴァルターはシオンの顔を数秒見た後、それ以上聞かなかった。


「今回は信じるの?」


「最初から、お前が何でも知っていると思っているわけではない」


「そうだったんだ」


「何だ、その顔は」


「いや、少し意外だっただけ」


 ヴァルターは不機嫌そうに眉を寄せた。


 それでも以前のように追及はしてこなかった。


ーーーヴァルター視点ーーー


 シオンは知らない。


 ヴァルターは少なくとも今回については、そう判断していた。


 理由は単純だった。


 会議室で大きな足跡を見せられた時、シオンは明らかに考えていた。


 しかし、それは答えを隠そうとしている人間の様子ではない。


 自分の知識の中から該当するものを探し、それでも見つからなかった人間の反応に見えた。


 昨日も同じだった。


 灰爪猿の襲撃そのものを予測していたわけではない。


 森が静かなことを気にし、戦闘が始まってから状況を見て判断していた。


 つまり、シオンは先の出来事を知っているわけではない。


 少なくともヴァルターにはそう見える。


 それなのに、普通の十二歳より遥かに経験があるような判断をする。


 そこが分からなかった。


「家の騎士から教わった、か……」


 シオンの説明は一貫している。


 アルヴェリア侯爵家は武門として知られる。


 幼い頃から騎士に囲まれて育ったのなら、魔物や野営について詳しくても不自然ではない。


 それでも、バルガスが言ったように、知識と判断は別物だった。


 ヴァルター自身も灰爪猿の習性は知っていた。


 群れで行動することも、木の上から襲うことも授業以前から学んでいる。


 だが、昨日は目の前の戦闘に意識を奪われた。


 シオンは違った。


 自分ではまともに戦えないからこそ、周囲を見ていた。


 あの言葉も妙に引っかかっている。


 怖いから周りを見る。


 十二歳の少年が初めての実戦を終えた直後に口にする言葉としては、妙に実感があった。


 だからといって、答えが出たわけではない。


 ただ、一つだけヴァルターの中で変わったことがあった。


 以前は、シオンが何か特別な力を隠しているのだと思っていた。


 偽りの才能鑑定。


 特殊な魔法。


 王家だけが知る何らかの能力。


 そうしたものを想像していた。


 今は違う。


 シオンには本当に特別な戦闘能力などないのかもしれない。


 それでも国王や王太子、ヴァレンティア公爵家、そしてアルヴェリア家の兄姉が彼を大切にしている。


 もし彼らが見ているものが、才能ではないのだとしたら。


 ヴァルターがこれまで価値を測るために使ってきた基準そのものが、間違っている可能性があった。


 その考えは、シオンが秘密の力を持っていると疑うよりも、ヴァルターにとって遥かに受け入れにくいものだった。


ーーーシオン視点ーーー


 放課後になっても、シオンはバルガスから見せられた足跡について考えていた。


 未来を知っていると言っても、六十年間に起きた出来事をすべて覚えているわけではない。


 自分は歴史家でも王宮官僚でもなかった。


 冒険者をして、商人として働き、小さな店を経営していた普通の男だ。


 大事件なら覚えている。


 王の死。


 大災害。


 巨大な金鉱の発見。


 後世まで語られる人物や商品の登場。


 しかし、地方で討伐された魔物一体まで記憶しているはずがない。


 今回もその程度の出来事なのかもしれない。


 学院と騎士団が調査し、数日後には大型魔物が討伐される。


 一度目の自分は興味を持たず、記憶にも残らなかった。


 十分あり得る話だった。


 それなら自分が関わる必要もない。


 専門家へ任せればいい。


 そう結論づけたところで、シオンは農業研究棟の扉を開けた。


「遅いぞ、シオン!」


 中からディランの声が飛んでくる。


「先生に呼ばれてたの、ディランも一緒だっただろ」


「でも俺は先に来た!」


「廊下を走ったんじゃないだろうね?」


「……走ってないぞ」


「今の間は何?」


 研究室では、すでにノアとセレナも待っていた。


 机の上にはクロフォード領から届いた雪麦の報告書が広げられ、ヘンリクが別の資料を読み込んでいる。


「来たならこっちを見ろ。現地から面白い報告が届いている」


 ヘンリクに呼ばれ、シオンはそちらへ向かった。


「加工道具の件ですか?」


「それもあるが、もっと基本的な話だ。試験に参加している農家が、収穫量について記録を取り始めた」


 ノアがすぐに身を乗り出す。


「去年までの数字も残ってるんですか?」


「正確な記録ではないが、納税関係の帳簿からある程度は推測できるそうだ。今年から学院側の形式に合わせて詳細な記録を取ってもらう」


「だったら、加工だけじゃなく栽培方法も比較できますね」


 セレナが言う。


「その通りだ。雪麦そのものを変えるには何年も掛かるだろうが、種を選ぶところから始めればいい」


 話が始まる。


 シオンも自然と意識を切り替えた。


 森の大型魔物については、専門家が調べている。


 自分にできることはない。


 今は目の前にある雪麦の方が、自分たちにできることだった。


 一度目の人生で有名になった作物だから成功させるのではない。


 ディランの領地に住む人々が少しでも暮らしやすくなる可能性があるから、今の仲間たちと試している。


 知らない未来が増えているからこそ、シオンは自分の知っている未来だけに縛られたくなかった。


 その日の研究は、夕食の時間が近づくまで続いた。


 森の調査について新しい知らせが学院へ届いたのは、その翌日のことだった。


 灰爪猿を追い払ったと思われる大型魔物は見つからなかった。


 代わりに調査隊が発見したのは、森のさらに北東へ向かって続く足跡と、途中から明らかに数を増している別種の魔物の痕跡だった。


 何か一体の強大な魔物が縄張りを奪ったのではない。


 山地に暮らしていた複数種類の魔物が、同じ方向へ押し出されている。


 その可能性が、初めて学院側で検討され始めていた。

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