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手の中の恋
「久しぶりだね。元気にやってた?」
こいつとこんな形で再会するのは、ホント何年ぶりだろう。
久しぶりに会うからか、会話が何だかぎこちない。
「まぁな、近くにある小料理屋でぼちぼちやってるよ。お前は?」
そう聞かれて少し戸惑った。
昔の匂いがよみがえったからだ。
大学時代、私とこいつ 岳下透は同じサークルに入っていて大学そのものは違っていたけどよく集まって一緒に活動していた。
新入生や、学生に対して色んな企画を提供するそんなサークルだった。
最初は皆と一緒につるんで、特に岳下を意識してたってわけではないけど
同じ帰り道だったこともあってか自然と話すようになって、仲良くなっていったっけ・・・。
気がつくと私たちは、楽しいときもそうじゃないときもずーっと傍にいた。
たまに大学の授業をさぼって、ぴたっと寄り添って昼まで寝てたりなんかしてると
こんな他愛もない時間がほんとに永遠に続くんじゃないかって
錯覚を起こしたりもした。
でもそんなわけはなくて。
あいつの、会話の内容に困ると髪を軽くかきあげる癖なんかは、ちっとも変っていないのに
私たちの間にはものすごく距離があるように思えた。




