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崩壊

 巨大な影ははっきりとした形で、目視できる位置まで接近していた。その場所は王都バルディアから目と鼻の先。今のところその場で停止したまま動きは見せていない。

 ケネスはすぐに寝間着から着替え、部屋を飛び出し廊下を走る。マリアンもそれに続く。行き先はバルディアの軍司令部だ。ケネスの知る限りではあのような空を飛ぶ軍艦は見たことが無い。何処の所属の軍艦だろうか?

 ケネスは軍の司令部のドアの前までたどり着くと、ドアの前に設置されているパネルに手を当てる。軍の司令部は関係者以外立ち入り禁止となっている。そのため、入室する際には認証を受けなければならない。この装置は手の情報を読み取り、関係者と認められれば扉が開く仕組みとなっている。

 ケネスは関係者の一人だ。パネルに手を当てると1秒も発たないうちに目の前の扉が開く。

 軍の司令室にはすでに司令官クランダ・ケレスウェルがいた。彼は軍服姿でメガネをかけており、見た目からしても真面目だけが取り柄という風貌をしている。しかし、その能力は有能で、これまでも他国からの侵攻に対して直接軍を指揮し、勝利に導いてきた。

 その隣にバルディア国王であり、ケネスの父親であるオレオ・イレ・バルディアがいた。彼は少しがっちりした大きめの体格で顎に立派な髭を生やしている。そして、静かに状況を見ているといった状態だ。

 彼らの目の前には防弾ガラスがあり、有視界で外の様子をうかがうことが出来る。また、天井からは巨大なモニターが吊されており、様々な情報がそこに映し出されている。そして、その下には十数台のコンソールがあり、その前でオペレータが必死に作業をしている。軍の司令部の内部は非常に慌ただしい。それもそのはずだ。所属不明で正体不明の軍艦が王都バルディアの目の前にまで迫っているのだから。

 「クランダ!状況はどうなっているの?あれは何処の国の軍艦なの!?」

 「これはケネス王子!現在確認中です。あらゆるチャンネルを使用して通信を行っていますが、いまだ応答はありません。」

 目の前のモニターには巨大な軍艦の姿が映し出されている。その大きさはケネスが今いる王宮がすっぽり隠れてしまうくらいの大きさだ。軍艦は今のところ動きは見せていない。空中に浮いたまま静止している。その姿は船首はとがっており、船底は海を走る船のような流線型をしており、その上の甲板は広めにとってある。そして、その奥に艦橋のようなものが見える。

 「しかし、あの船は何処の国の所属なのでしょう?私にはあのような船を建造する技術のある国家がこの星に存在するとは思えません。」

 クランダが思わずつぶやく。

 この星での戦争では主に戦闘機や戦車を使用する。このような空飛ぶ軍艦は、使用されたという記憶はクランダをはじめ、ここにいるオペレータやオレオ、ケネスには無い。

 ただ一人を除いて。

 「私のメモリーには遙か昔、この星を脱出し、新たな生活の場を探すために建造された空飛ぶ船が存在していたと聞いています。この船は・・・形は違いますが、その船に非常に似ています。」

 アンドロイドであるマリアンが答える。長い間稼働しているマリアンの記憶ならばその情報の信憑性は高い。

 「ということはあの船はこの星の外からやってきたというのか?」

 「・・・そう考えるしかありませんね。しかし、今更何のために・・・。」

 そのとき、目の前の軍艦が動きを見せる。

 船底の一部が開き、中から筒状のものが姿を現した。

 そして、オペレータの一人が叫ぶ。

 「目の前の船から高熱源反応が二つ確認!」

 「なんだと!?」

 その直後、空飛ぶ軍艦の先端、筒状のものから二筋の閃光が発射された。その閃光は王宮の真上を通過した。その様子は目の前のモニターでも、窓からの有視界でも確認できた。

 「なんだあれは!?」

 クランダが叫ぶ。

 「おそらく、ビーム砲です。」

 マリアンが冷静に答える。

 しかし、この距離なら直接この王宮を狙って発射する事も可能だったはずだ。ということは。

 「これは威嚇射撃と見て間違いありません。あれは我らの敵です!」

 「しかし、何もコンタクトと取ってこないとは・・・何を考えているのだ!?」

 「とにかく防衛体制を取ります!戦闘機、全期準備でき次第発進せよ!目標は目の前の正体不明の軍艦だ!対空戦闘車両も出撃させよ!なんとしても打ち落とせ!」




 「やっぱり出てきたね。これじゃないと戦いは面白くない。」

 軍服を着た金髪で長髪の男は目の前のモニター、地上から次々と飛び立っていく戦闘機の姿を眺めながらつぶやく。顔も美形でその姿は周りにいる女性オペレータもつい見とれてしまうルックスをしている。

 「でも、そんな兵器じゃこの戦艦ヴァラートは落とせないよ。」

 「しかしオルオニアス様、この星、水も緑も、資源も何もありませんよ。こんな星を支配して何のメリットがあるのですか?」

 オルオニアスと呼ばれた軍服を着た男、オルオニアス・ケルディロームは右手を顎に当てながら答える。

 「あれだけ時間が経っているのだから少しは期待していたんだがね。こりゃ思ったよりもひどい。でも、我々の星よりはマシだろう?一時しのぎにはちょうど良いんじゃないか?僕はそう思うんだけどね。クロノ。」

 同じく軍服を着た、こちらは黒髪の短髪でがっちりした体型の男、クロノ・アビノールは「確かにそうですが・・・」と返す。

 「しかし、まずは目の前の敵をどうにかする必要がありますね。」

 「そういうことだ。クロノ。敵の数はどれくらいなんだい?」

 「戦闘機がおよそ40。さらに地上には対空車両が10機確認できています。」

 オペレータが答える。

 「よし、対空砲火開始。こんな旧式の戦闘機に落とされるんじゃ無いぞ。さて、俺もグラディオンで出るぞ。クロノ、艦の指揮は任せる。」

 「はっ!」




 バルディアから出撃した40機余りの戦闘機は戦艦ヴァラートへ攻撃を仕掛ける。しかし、ヴィラートの装甲か堅く、戦闘機の機銃では攻撃が命中してもその攻撃は致命的なダメージとはなっていない。それはバルディアの司令室からのモニターでも、戦闘機のパイロットの目からしても明らかだ。

 ならばと今度はヴィラートに対してミサイル攻撃を試みる。しかし、この攻撃はヴィラートからの対空砲火によって全て打ち落とされた。対空砲火は攻撃のみに使用されるものでは無い。こういった防御にも使用される。

 それでも40余りの戦闘機はヴィラートの対空砲火をかわしつつ攻撃を加える。腕の悪いパイロットは対空砲火によって被弾し墜落、爆発炎上する。その場所がバルディア城下の外だったのが不幸中の幸いだったのかもしれない。

 しかし、有効打の無いバルディア軍の間には悲壮感が漂っていた。

 そして、それに追い打ちをかけるような事が起きる。


 ヴィラートの甲板から10機の人型の巨大兵器が飛び立った。彼らはその隊長20メートルにもなる人型の兵器をグラディオンと呼んでいた。そのうちの8機は灰色のグラディオンだが、残りの2機の内、1機は白色、もう1機は青色のカラーリングが施されていた。

 「俺たちと他4機は地上の部隊を攻撃する。残りの5機は空中の戦闘機を排除しろ。エレマ、部隊の指揮は任せたぞ。」

 白色のグラディオンに搭乗しているオルオニアスは機体間無線通信を使って青色のグラディオンに搭乗するエレマ・マイアナーに話しかける。

 「了解です!オルオニアス様!任せて下さい!」

 そう言ってエレマの乗る青いグラディオンはスラスターを噴出し、ヴィラートにまとわりつくように飛んでいる戦闘機に向かって飛んでいく。他の3機のグラディオンもそれに続く。そのグラディオンは右手に大型のマシンガンを装備していた。そのマシンガンの標準を戦闘機に合わせ銃弾を発射する。当然戦闘機は常に前進し飛んでいるので、そのまま狙っては銃弾は当たらない。従って、戦闘機の飛行速度と銃弾の速度からコンピュータが着弾地点を算出しそこを狙うように補正している。

 そうして、バルディア軍の戦闘機はヴィラート周辺を飛んでいるグラディオンによって次々と撃墜されていった。


 同時に地上に着地した白色のグラディオン。目の前には対空車両が空中に向けて砲撃を行っている。その対空車両に向かってビームソードを取り出し切りつける。対空車両はその攻撃によって大爆発を起こした。

 「よし、俺に続け!他の邪魔な対空車両を駆逐しろ!」




 その様子はバルディア軍司令部からも確認出来た。

 次々とグラディオンによって撃墜されていく戦闘機。撃破され爆発炎上する対空車両。

 「なんなのだ、あの巨人は!」

 オレオがその光景を目の当たりにして思わず叫ぶ。

 「マリアン、君の記憶にあの兵器の情報はあるのか?」

 「残念ながら、私のメモリーにはあの兵器の情報はありません。」

 「とにかく地上に降りた巨人がやっかいだ。戦車部隊を全て出撃させろ!」

 クランダが巨人と呼んだ人型兵器、グラディオンは対空車両を破壊しながらバルディア王都へと向かってくる。その目の前にバルディア軍の40機余りの戦車部隊が出撃し展開した。そして、グラディオンに向けて一斉に砲撃を開始する。

 「ふん、そんな攻撃当たらんよ!」

 オルオニアスが乗る白いグラディオンがブースターをふかしながら機体を左右に動かし戦車部隊の砲弾をかわす。

 他のグラディオンはシールドを前方に構え、バルディア軍の戦車の砲撃を受け止めながら前進を続ける。しかし、その内の一機が砲弾を防ぎきれずに後方に倒れ、爆発、炎上する。

 「敵の巨人兵器一機撃墜!」

 バルディア司令部のオペレータが叫ぶ。

 「攻撃を1機に集中させろ!我らでも倒せない相手ではない!」

 一発一発は非常に貧弱で、たとえシールドで受け止めていたとしても限界がある。戦車部隊の砲撃をシールドで受け止めていたもう1機のグラディオンも砲撃を受け止めきれずに後方に倒れ爆発、炎上する。


 「このままではやられちゃうね。ここは一つ、いっちょやっちゃおうか。」

 オルオニアスが乗る白いグラディオンはブースターをふかし一気に上空へ上昇する。そして背中に装備していたバズーカ砲を構え、標準をバルディア軍戦車部隊に定める。そして、バズーカ砲を発射した。

 バズーカ砲はバルディア軍戦車部隊に着弾し爆発を起こす。

 オルオニアスはそのまま空中で姿勢を維持したままバズーカ砲を何発も発射する。装填している砲弾を1発だけ残して。それでもバルディア軍の戦車部隊の半数は爆発炎上し、戦闘不能状態となっていた。




 「なんだあの白い巨人は!」

 その様子は司令部のモニターにも映し出されていた。

 上空からの砲撃によって混乱した戦車部隊は残り二機のグラディオンによって次々と破壊されていった。

 バルディア上空に展開していた戦闘機部隊も半数以上が撃墜され壊滅状態となっていた。

 すでにバルディア軍には正体不明の敵の侵攻を止める術を失っていた。


 そして、バルディア軍司令部へ白いグラディオンが飛んできて目の前で着地した。一発だけ残されていたバズーカは司令部へと向けられている。

 もはやこれまでか。

 敵の正体も知らないまま戦いに敗れるのか。

 バルディア軍司令部にいた者全てがそう感じた。

 そのとき、目の前の白いグラディオンから声が聞こえた。

 『やぁ、クレストルニアに住む住人の諸君。少々手荒いご挨拶だったかな?』

 どうやら外部のスピーカーを使って司令部の人間とコンタクトを取ろうとしているのだろう。

 「何がご挨拶だ。こちらも外部スピーカーの電源を入れろ。」

 国王オレオがクランダに命じる。

 「はっ、外部スピーカーの電源を入れろ。」

 クランダはそれに従い、オペレーターに指示を出す。そして、オレオはマイクの前に立ち目の前のグラディオンに話しかける。

 『私はバルディア国王のオレオ・イレ・バルディアだ。名も名乗らずにご挨拶とはよくも言ってくれる。』

 『これは失礼。我々は惑星プルセリアからやってきたオルオニアス・ケルディロームだ。』

 他の惑星からやってきた?

 その一言だけでも司令部の人間は驚きを隠せない。

 国王オレオも一瞬言葉を失う。しかし、少し間をおいて再びマイクに話しかける。

 『その他の惑星からやってきた者が我々に何の用だ?ここまで我が国を破壊してくれたのだ。それなりの理由でもあるのだろう?』

 『あぁ、我々の要求はこの惑星クレストルニアへの帰還。そのためにまずはこの地を我が支配下に置くことだ。今の戦闘で我々の力は分かっただろう?これ以上抵抗しても無駄だと知っただろう?おとなしく我々に従った方が良いと思うがね。』

 さらに衝撃の言葉がオルオニアスの口からグラディオンのスピーカーから出てくる。

 クレストルニアへの帰還?

 この地を我が支配下に置く?

 『少々時間を頂きたい。』

 『私は待つのは苦手でね。手早くお願いするよ。そうだね。10分待とうか。』

 『わかった。』

 オレオはマイクのミュートスイッチを入れる。これでバルディア司令部内部の会話は相手には聞こえない。

 「まずは他の諸国にこの事態を伝えよ。これはこの星の危機だ。この星は外部からの侵略者に狙われている!」

 オレオはオペレータに指示を出す。再び慌ただしくなる司令部の中。そんな中オレオはケネスの方を振り向き話しかける。

 「ケネス。お前に託したい物がある。」

 そう言ってオレオが懐から差し出したのは一枚のカードだった。

 「この星には過去の大戦で使用された、そして、この星を死へ向かう荒野へと変えた兵器の一つが保管されているといわれている。このカードはその兵器の封印を解く鍵だ。今こそその兵器を使うべきだと私は考える。」

 「しかし、その兵器を使用することは・・・何を意味するか、国王陛下もご存じのはずでは?」

 口を挟んだのはクランダだ。

 「今は非常事態だ。周りの国々も理解してくれるだろう。今の私にはこれしか奴らに対抗する有効な手段は存在しないだろう。」

 「だと良いのですが、あの堅物共が納得いくとは思いませんが・・・。」

 「だが、私はこれにかけてみようと思う。」

 「・・・わかりました。」

 ケネスはそのカードを静かに受け取る。

 「マリアンが場所を知っている、マリアン、ケネスを導いてくれ。」

 「かしこまりました。」

 マリアンはまっすぐ国王を見つめ即答する。

 「では行くのだ。お前達の無事を祈っている。」

 オレオはそう告げると、ケネスとマリアンは司令部を急いで後にした。

 「ケネス王子はあの兵器を手にすることの意味、ご存じないのでしょう?よろしいのですか?」

 そう聞いたのはクランダだった。しかし、オルオニアスがその質問を遮ってしまう。

 『そろそろ10分だ。あなたたちの回答を聞きたいんだがね。』

 オレオはマイクのミュートをオフにして叫んだ。

 『我々は貴様達に屈しない!まもなくこの星の全ての国家が集結し抵抗行動を取るだろう!その時が貴様達の最後だ!』

 『そうか。残念だよ。』

 オルオニアスはそう告げると、グラディオンのバズーカ砲を発射した。




 ケネスはマリアンと共に王宮の廊下を走っていた。マリアンを先頭に、ケネスはその後をついて走っていた。

 その時、後ろから爆発音が聞こえた。

 ケネスはその音に思わず足を止め振り向く。

 ケネスの目に映ったのは、先ほどまで自分がいた軍の司令部からの爆炎だった。そして強烈な熱風と爆煙がケネスのいる場所まで届いていた。ケネスの体は爆風によって吹き飛ばされてしまう。マリアンは慌ててその体を支えて起こす。

 「父上!みんな!」

 あの部屋にはケネスの父親、国王であるオレオがいた。そして、司令官のクランダや、その他たくさんのバルディアの人間達がいた。

 爆発のあった司令部を向かおうとするケネス。突然の出来事に怒りを押さえきれない。そして、出来ることならば一人でも助けたい。しかし、それをマリアンがケネスを羽交い締めにして阻止する。

 「ケネス様!おやめ下さい!このままここにいてはケネス様も!」

 「しかし!」

 それでも諦めないケネス。しかし、マリアンはそれを許さない。そもそも人間の力で機械であるアンドロイドの力に敵うはずも無い。マリアンはその力でケネスを自身の方へ振り向かせ、ケネスの目をじっと見つめ話しかける。

 「貴方は大事な使命があります。ここで命を落としてはなりません。ここも危険です。早く脱出を。」

 「・・・くっ!くそっ!」

 目の前の出来事に何も出来ない、自分の無力さにいらだちを隠せない。その怒りをマリアンにぶつける。マリアンの胸元を何度も自分の手で叩きつける。しかし、相手はアンドロイドだ。当然のことながらびくともしない。

 そして、それでもマリアンは冷静だ。だが、完全に我を忘れているケネスに業を煮やしたのか、張り手を喰らわせる。ケネスの頬をはたく音は後ろの爆発音でかき消される。

 突然の出来事に言葉を失うケネス。マリアンに頬をはたかれるのはこれが初めてだった。はたかれた頬を手で押さえマリアンを見つめる。

 「オレオ様が託されたそのカードの意味を考えて下さい。」

 ケネスは父親から託された一枚のカードを見つめる。

 今この星は外敵から侵略されている。その星を守らなければならない。そのための切り札がこのカードに込められている。それはどんな物なのかはわからない。でも、それができるのは僕だけなんだ。

 ケネスは手にしているガードを握りしめる。そのカードに大粒の滴が落ちる。しかし前を向き力強く答える。

 「マリアン、僕はいくよ。もう振り返らない。」

 「・・・足は用意してあります。さあ、こちらへ。」

 マリアンはケネスの手を掴み王宮の中を駆けていく。ケネスはそれに付いていった。


 ケネス達がたどり着いたのは王宮のガレージだった。そこには一台のバイクが用意されてあった。このバイクはタイヤは付いておらず、バイクの下部から強烈な風が吹き出るようになっていて、その風の力でホバリングして走る。今や荒野や砂漠と化している今の星ではタイヤでは無くこの様なバイクの方が移動に適している。

 「ケネス様、後ろにお乗り下さい。」

 先にマリアンがバイクにまたがり、その後ろにケネスがまたがる。そして両腕でマリアンを抱きしめるように自分の体を支える。

 「少々飛ばします。しっかり捕まっていて下さい。」

 マリアンはバイクのエンジンを入れる。バイクが空中に浮きホバリング状態となる。ガレージのシャッターが開き猛スピードで王宮を飛び出した。

 その直後、王宮は炎に包まれ完全に崩れ去った。




 オルオニアスは母艦ヴィラートに帰還していた。

 「何とか地上での活動拠点を確保できた。でもグラディオンが2機撃墜されたのは痛かったね。そっちの状況はどうかな?クレイア」

 彼は惑星クレストルニアのはるか上空にいる自軍の戦艦と交信を行っている。モニターに映っているのは肩まで伸びた青い髪で軍服を着ている少し明るい表情の女性、クレイア・パステリアだ。

 「はっ、反乱軍の索敵を行っておりますが、依然見つかっておりません。」

 「そうか、彼らも隠れるのがうまいね。近くまで来ているのは分かっているんだけど。引き続き捜索を続けてくれ。必ずどこかにいるはずだ。」

 「はっ。」

 「それと、これから敵の反抗が待っているだろうね。かなりの大部隊が予想される。もう一隻地上に降下させてくれないかな?」

 「分かりました。ではエインウルをそちらに降下させましょう。エインウルにはグラディオンが10機搭載されていますし、パイロットも手練れの者がおります。」

 「あぁ、そうしてくれ。反乱軍は残りの部隊で十分だろ。」

 「それではすぐに準備に取りかかります。」

 「了解した。」

 オルオニアスはクレイアとの通信を切った。その直後、

 「オルオニアス様、エレマから通信です。」

 オペレータがオルオニアスに告げる。

 「回線を開け。」

 目の前のモニターに青いグラディオンのパイロット、エレマの姿が映る。

 「オルオニアス様、先ほど彼らがバルディアと呼んでいた都市から脱出する一台のバイクタイプの乗り物が確認されました。かなりの猛スピードで移動中です。いかがいたしましょう?」

 「ふむ、気になる存在だね。念のため追跡しておこうか。エレマ、2機のグラディオンを連れて後を追え。その者たちをどうするかは君に一任しよう。捕らえるのが一番いいんだがね。」

 「了解しました。お任せ下さい。」

 そう言って通信は切れた。

 「よし、残りの者には休息を取らせろ。これから大規模な戦闘になるぞ。」


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