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龍眼の転生者 〜内なる龍が目覚める時〜  作者: 小川 俊


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それは既にぶつかっている

いつも読んでいただきありがとうございます!


今回はユウミ視点ではなく、物語の転換点となる一話です。


怪しい影を追うユウミの前に現れたのは、かつて出会った赤髪の剣士――シルザ。


二人の再会は、穏やかなものではありませんでした。


そして、この出会いが今後の物語にどのような変化をもたらすのか――。


ぜひ最後までお楽しみください!

※今回の回は、ユウミ視点ではありません。


怪しく飛び去る影を見失った。


――何が起きた?


いや、考えるまでもねぇ。


ぶつかった。

しかも、“人間”だ。


衝撃の感触が、そう告げていた。


(問題は……誰とぶつかったか、だ)


無意識に、口角が上がる。


『よぉ!また会ったな!』


『……君は……シルザ……』


『よく憶えてたな、ユーミー。――で? こんな夜更けにこんな場所で、なんで俺にぶつかってきやがった?』


『俺達は怪しい影を追ってた』


『……なぜ追ってた?』


シルザは腕を組み、眉間に皺を寄せながらも、口元だけは愉快そうに歪んでいる。


『おそらく、あれは行方不明者……いや、子供を攫ってる連中の仲間だ』


ユウミの瞳が鋭く細められる。


『最後の質問だ。ギルドの捜索依頼……最初、何件あった?』


シルザの視線が、真っ直ぐに突き刺さる。


『……7件だ』


即答。


だが、その眼差しは――どこか確信を探るようだった。


(――やっぱりだ)


『ははは!俺以外で記憶がおかしくなってねぇのは、お前だけだぜユーミー!』


ユウミは怪訝な表情を浮かべながらも、どこか安堵していた。


『ユウミよ。奴は王城の方へ向かったぞ。今なら匂いで追える』


『へぇ……連れも只者じゃねぇみてぇだな』


『シルザ。君も追っていたなら――一緒に助けに行こう』


静かな声。


だが、そこには迷いがなかった。


シルザは答えない。


ただ、じっとユウミを見つめる。


『……シルザ?』


ゆっくりと目を閉じ、天を仰ぐ。


(――ありがとよ、神様)


次の瞬間。


カッと見開かれた瞳が、獣のような光を宿す。


『ああ。俺もそう思ってたところだ』


一拍。


そして――


『だがな、ユーミー』


ゆっくりと、大剣へ手を掛ける。


『俺はよぉ……弱ぇ奴と組む気はねぇんだ』


ザンッ――!


背に担いだ大剣、マグマハートが抜き放たれる。


『お前がどれ程のもんか――試してぇ。やろうぜ。ここで。今!』


『……わかった』


静かに応じるユウミ。


スラリと不知夜を抜き、霞の構えを取る。


赤い月が、二人を照らしていた。


――


『それじゃあ……行くよ』


ブワッ!


先に動いたのはユウミ。


一歩。


それだけで間合いを喰らう。


『鬼角夜月――キクヅチ』


音がない。


風も、遅れている。


いや――何もかも、置き去りにされていた。


ギンッ!!


シルザは咄嗟に大剣で受け流す。


だが――


『ッ!?』


切っ先は、まだそこにあった。


首を傾け、飛び退く。


だが、


『鹿角両月――カクワチ』


白い軌跡が、首を狙う。


上体を大きく反らし、ギリギリで回避。


そのまま反撃へ。


ゴォォォ……


バチンッ!!


火花が闇を裂く。


ユウミは半回転でいなし、距離を取る。


互いに構え直す。


静寂。


――そして、笑う。


(面白ぇ……!この俺が押されてるだと?)


ドゥンッ!!


地面が砕ける。


一直線の突進。


ユウミは下段に構える。


――間合い。


振り上げる。


その瞬間――


ドォンッ!!


シルザは跳んだ。


上空。


最高到達点。


大剣を振りかぶる。


『うぉぉらぁぁああ!!』


ブォォオオンッ!!


放たれた斬撃は、紅蓮のドラゴンと化して襲いかかる。


『おぉぉぉおお!!』


迎え撃つ。


――魔法斬り。


ジャシュッ!!


青い閃光。


炎竜は、真っ二つに裂けて消えた。


『なぜ俺の攻撃が消える!?』


続けざまに放たれる斬撃。


まさに炎竜乱舞。


だがユウミは――


その中へ、飛び込む。


シュラッ!シュラッ!シュラッ!


斬る。


避ける。


斬る。


だが――


ボッ……


『あっつ!』


炎が服に移る。


しかし、刀は振り続ける。


身体に風を纏わせて火を――


――だが。


風が、炎を運んだ。


炎が、風に乗る。


制御ができない。


止まらない。


炎竜を薙ぐ一刀。


それは――ただの斬撃ではなくなった。


流れた炎風が、不知夜へ集束する。


そして――


振り抜く。


轟ッ!!


火と風が絡み合い、一つの存在へ。


意志ある火炎旋風。


炎風龍とも言うべき斬撃は、うねりを伴い一直線にシルザの元へ飛翔する。


『なんじゃこりゃあああ!!』


シルザが叫ぶ。


『フレアデスマグマハートォォォ!!』


深紅の巨竜。


二つの力が――衝突する。


轟音。


光。


王国の夜空が、赤く染まる。


――やがて。


静寂。


斬撃は消え、赤い月が戻る。


ズダァァン!!


シルザが着地する。


視線が交わる。


そして――


『お前の実力は見せてもらった』


ニヤリと笑う。


『俺は今からお前の……あー…なんて言うんだこういうの……友……あぁ!ダチか!ダチだな!俺とお前は今からダチだ!いいなユーミー!』


ユウミも、口元を緩める。


静かに頷く。


――その時だった。


服が、消えていた。


完全に。


二人とも――全裸だった。


一瞬の沈黙。


そして。


『……っ、ははっ』


『ははははは!!』


夜空に、笑い声が響く。


ユウミとシルザはお互いに指を差し合いながら笑った。


赤い月の光を背に、白き聖獣が静かに二人を見守っていた。


戦いは終わった。


だが――


何かが、確かに始まっていた。




最後まで読んでいただきありがとうございました!


ついにユウミとシルザが本当の意味で再会しました!


お互いに認め合うための全力勝負。


剣と剣がぶつかり合った結果、生まれたのは敵意ではなく友情でした。


シルザらしい豪快な「ダチ宣言」も書いていて楽しかったです(笑)


そして激闘の代償(?)として、二人の服は無事に消滅しました。


真面目な戦闘をしていたはずなのに、最後はなぜかああなりました。


ですが、この夜を境にユウミとシルザの関係は大きく変わります。


次回からは、いよいよ行方不明事件の核心へ。


彼らが追う影の正体とは――。


引き続き『龍眼の転生者 ~内なる龍が目覚める時~』をよろしくお願いいたします!

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