表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/29

それは既に交差している

第27話をお読みいただき、ありがとうございます。

王国の街に辿り着いたユウミ達。

新たな一歩として訪れた冒険者ギルドで、彼らはある“異変”に触れることになります。

それは――相次ぐ子供達の失踪。

そして、どこか噛み合わない人々の記憶。

静かに、しかし確実に広がる違和感。

ユウミの中で何かが引っかかり始めます。

ここから物語は、“守るための戦い”から一歩進み、

“真実を暴く戦い”へと移っていきます。

ぜひ最後までお楽しみください。

▶名前:ユウミ

▶年齢:16

▶種族:龍人

▶レベル:96

▶スキル:龍眼、龍体、剣術、格闘術、アイテムボックス、付与魔法、風魔法、魔法斬り

▶称号:龍者、不知夜の継承者、聖獣ティガロンの主、妖狐玉藻の子、デビルキラー、ドラゴンスレイヤー

▶加護:九頭龍神の加護、妖狐玉藻の加護


(……龍眼か……さっきの、あれか……?)

(……レベル96って、なんだよ……)

(……アイテムボックス……風魔法……魔法斬り……)

(……称号は……龍者……?)


(……よく分からないな……誰かに聞くか)


『あの……シスターさん。……あれ?』


シスターは、ユウミのステータスを見たまま固まっていた。


『ユ……ユウミさん……あなたは……一体……』


『どうかしたんですか?』


『……この際、レベルは良いでしょう……百歩譲っても……問題は称号欄です……』


『称号欄……ですか?』


『聖獣ティガロン様の主……妖狐玉藻の子……どういうことなのですか……』


『これは誤解ですよ。聖獣ティガロンは、俺の友達です』


『……と……友……?』


『えぇ。そして……妖狐玉藻の子は……事実です……』


『ひぃ……な、なんと……!』


『玉藻山から来たってのは本当だったのか!』


シャルロッティも驚きを隠せない。


オリオンは、静かにユウミのステータスを見ていた。


(……龍者……)


その後、シスターは体調を崩してしまい、シャルロッティの鑑定は明日へと延期になった。


ちなみにシャルロッティは、ユウミのステータスを見ていない。

理由は——それがマナーだから、だそうだ。


鑑定ができなくなったシャルロッティは、冒険者ギルドへ向かうらしい。

ユウミたちも、それについていくことにした。


――大通り。


『まったく……ユウミが妖狐の子だったとはな』


『ははは……やっぱり、お母さんは有名なの?』


『有名も何も……昔、この国は妖狐に滅ぼされかけたって話だ。そこに聖獣ティガロンが現れて、この国を救ったってのが伝説になってる』


(なるほど……見てた人がいるんだな)

(それにしても……そんな昔のことが、今も残ってるのか……)


『伝説になってるんだってよ、オリオン』


『我が救ったのは玉藻だ。この国のことなど考えてはおらん』


(……やっぱり、人間に対して冷たいな……何かあったのか……)


バカラッ、バカラッ、バカラッ――!


『馬車が通るぞぉ!気を付けろぉ!』


後方から、鋭い声とともに馬の駆ける音が響いた。


ユウミは振り返る。


その瞬間——


道の先で、子供が転倒した。


『危ない!』


反射的に、地を蹴る。


だが——


同時に、もう一つの影が子供へと迫っていた。


(速い——)


互いに、風のような速度。


減速は——間に合わない。


ゴンッ!!


鈍い衝突音が、大通りに響いた。


『痛っ……!』『痛ぇ!』


バカラッ!バカラッ!バカラッ!


『貴様らどけ!轢き殺すぞ!』


御者の怒号が飛ぶ。


『飛べ!』


男の声。


次の瞬間——


ブワッ!!


ユウミと男は、子供を抱えたまま空へ跳び上がった。


空中で、目が合う。


鋭い眼光。

眉間に刻まれた皺。

歴戦を思わせる体躯。


——強い。


バカラッ……バカラッ……


シュダッ!!


馬車が通り過ぎた後、二人は同時に着地した。


子供を、そっと地面へ降ろす。


『ご……ごめんなさい……う……うえぇぇん!』


泣き出してしまう子供。


戸惑うユウミ。


その横で、男はふっと表情を緩めた。


『ほらほら、泣くんじゃねぇよ。大丈夫だ。ケガしてねぇだろ?』


柔らかな声と、満面の笑み。


男はあめ玉を子供の口に入れると、そのまま軽々と抱き上げた。


『母ちゃんとはぐれちまったのか?』


『……うん……』


『ヘレン!』


『お母さん!』


店から飛び出してきた母親が、子供を抱きしめる。


『ありがとうございました!すみません、本当に……!』


『おお、良かったな。今度は気ぃ付けるんだぞ』


子供は小さく頷き、手を振りながら去っていった。


静寂が戻る。


ザッ——


男が、ユウミへ向き直る。


赤髪のオールバック。

無造作に跳ねたくせ毛。

赤と銀の鎧。

背には、自身の背丈に迫る大剣。


『やるじゃねぇか、お前』


『あなたもね』


『クク……俺の頭突きで吹っ飛ばねぇどころか、同じ高さまで跳ぶとはな』


ニヤリと笑う。


『その面構え……相当場数踏んでやがるな』


『さぁね。でも——子供に優しい人で安心したよ』


『男なら当たり前ぇなことだ。守ることこそが力だろ』


男の視線は鋭い。


外見、立ち居振る舞い、重心——

すべてを見ている。


『俺はシルザ・イェーガーだ。お前は?』


『ユウミだ』


『ユウミか……覚えたぜ』


ニヤリと笑う。


『滅多にいねぇ。骨のある奴だ』


そう言い残し、男は背を向けた。


『ちょっとユウミ、大丈夫?』


『あぁ。問題ないよ』


『そうじゃなくて!ヤバいよ、あの人!』


『何が?』


『あの人……A級冒険者のシルザだよ。“マグマハートのシルザ”って呼ばれてる』


『マグマハート?』


『フレアデスドラゴンの牙で作った大剣の使い手で……強い相手なら人でも魔物でも関係なく挑むバトルジャンキー』


『へぇ……でも、悪い人には見えなかったな』


『ユウミよ。あの男の剣……ドラゴンのものだ』


オリオンが静かに言う。


『……また会う気がする』


ユウミは、そう呟いた。


ユウミとシルザ。


その出会いが——

ただの偶然で終わるはずもなかった。

第27話を読んでいただき、ありがとうございました。

今回から、いよいよ王国編の本格始動です。

ギルド登録という王道の流れの中に、“子供失踪”という不穏な軸を入れてみました。

そして、個人的に大事にしているのが――

「記憶の違和感」と「見えない敵」の存在です。

直接的な戦闘だけではなく、

“気づけるかどうか”が鍵になる展開になっていきます。

ユウミは強い。けれど、今回はそれだけでは届かないかもしれない。

そんな展開を描いていく予定です。

次回はいよいよ、夜の追跡と“影”の正体へ。

少しずつ繋がっていく伏線も含めて、楽しんでいただけたら嬉しいです。

引き続き『龍眼の転生者』をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ