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龍眼の転生者 〜内なる龍が目覚める時〜  作者: 小川 俊


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22/35

それは既に受け取っている

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。

第22話は、ユウミにとって大きな節目となるお話です。

これまで積み重ねてきた日々、交わしてきた想い——

そのすべてが、静かに、そして確かに形になっていきます。

別れは、決して終わりではなく。

それは、新たな一歩のための“証”であり、“繋がり”でもある。

ユウミが受け取るもの、そして胸に刻むものに、

少しでも心を寄せていただけたら嬉しいです。

それでは、第22話。

どうぞ、お楽しみください。

ガリッ…ガリッ…ガリッ…


『何をしているのだユウミよ』


ユウミは不知夜を使い、何やら削っている。


『おはようオリオン。ちょっと、不知夜の鞘をつくってるんだ。』


『ふむ。確かに不知夜には鞘がなかったな。何を素材にしているのだ?』


『お母さんの爪とドラゴンの鱗だよ。』


『玉藻の爪か。妖狐となってアスモデウスを倒し暴れた時に折れた爪だな。』


『そうそう。今朝外に出たらお母さんの爪と、それからドラゴンの牙と爪と鱗を見つけたから取ってきたんだ。』


ユウミの傍らには、鋭利な薄紫色のものと黒いものが置いてあり、それらは独特の艶を帯び、キラリと光を反射している。


『まぁ、こんなもんかな。』


『ほう。器用なものだな。』


出来上がった鞘は、淡く美しい薄紫色。

鯉口や鐺などの各所の拵えは艷やかな漆黒。

全体的に非常に上品なものに仕上がっていた。


スー……チンッ…


ユウミは不知夜を、その鞘へと納める。


静かに収まる刃。


——これで、ようやく“旅に出られる”。


『我ながら良い出来だと思う。』


満足そうに、ユウミは小さく笑った。


ーーそして、旅立ちの日


『ユウミこれを。』


『なに?』


玉藻は、そっとユウミの左耳に何かを付けた。


『これは…』


『お守りよ。お母さんがつくったの。いい、肌身離さず付けるのよ。』


それは、紫と桃色が混ざり合う雫玉の耳飾りだった。


『それは私とユウミの家族の証。尾の中から絆の尾と守りの尾を選んだの。きっとこの先、ユウミの助けになるはずよ』


『家族の証か。ありがとうお母さん。』


ユウミは満面の笑みで礼を言う。


『ユウミ……やっぱり言ってしまうのね……』


『泣かないでよお母さん。必ず帰ってくるから。』


『そうね。本当に気を付けるのよ。変な人について行っちゃダメよ。』


『うん。わかった。』


『ユウミ様にオリオン様。どうか道中……』


『それから、拾い食いもお腹を壊すからやらないようにね。』


『うん。そうするよ。』


『改めてこの度のお二人の助力、誠に……』


『それから、変な女には気をつけなさいね!ユウミは優しい分すぐに付け込まれるわ!』


『うん。気をつける。』


『それから……』


『玉藻よ。もう良かろう。カムイも話そうと……』


『最後に!』


玉藻は大きな声を上げると、すっと表情を引き締め、真っ直ぐユウミを見つめた。


『ここはあなたの家よ。もしも、帰りたくなったら、いつでも帰ってきて良いんだからね。お母さんはいつでも……待ってるわ。』


『……』


言葉が、すぐには出てこなかった。


胸の奥が、ぎゅっと締め付けられる。


『……うん……ありがとう…お母さん。』


ユウミはオリオンの背に跨る。


オリオンが、大きく翼を広げた。


『カムイ!』


『はっ!』


『お母さんを頼む。』


『ははっ!』


『じゃぁ、行ってくる。』


バサッ!ブオンッ!


オリオンは翼をはためかせ、一瞬にして大空へと舞い上がった。


小さくなっていく背中。


『ユウミ……頑張りなさい。』


その声は、風に乗って——いつまでも、消えなかった。





第22話を読んでいただき、ありがとうございました。

今回のエピソードは、これまでの“修行編”の一区切りとして、

ユウミにとっての「帰る場所」と「旅立つ理由」を改めて描いた回でもあります。

玉藻との関係、オリオンとの絆、そして受け取った“証”。

それらはこれからの物語の中で、必ずユウミを支える力になっていきます。

そして、ここからはいよいよ“外の世界”へ。

王国、街、人々との出会い——新たな物語が動き出します。

ユウミ自身もまだ気づいていない“自分の強さ”や“役目”が、

これからどのように明らかになっていくのか。

ぜひ、引き続き見守っていただけたら嬉しいです。

今後とも『龍眼の転生者 〜内なる龍が目覚める時〜』をよろしくお願いいたします。

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