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龍眼の転生者 〜内なる龍が目覚める時〜  作者: 小川 俊


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それは既に溢れ出している⑧【光と闇の交差】

光と闇。

それは決して交わることのないもの――

そう思っていた。

けれど、もしもそれが交差するとき。

そこに生まれるのは、救いか。それとも――

第18話、お楽しみいただければ幸いです。

『グォォォオオオ!!!』


『ギャォォオオオ!!!』


光と闇の咆哮が、ぶつかり合う。


凄まじいエネルギーの衝動が、空間を歪ませた。



ドラゴンの放つ黒い光線を、聖なる光で掻き消すオリオン。


そのまま一気に間合いを詰め、爪を立てて飛びつく。


首元へ——牙を突き立てた。


『ギャォォオオオ!!!』


ドラゴンは激しく頭を振るが、爪も牙も離れない。


『グルルル!!!』


『カース・オブ・パラリシス』


瞬間、オリオンは身を翻し、距離を取る。


『麻痺の魔法か……小癪な』


『魔法を避けるとは、器用なものだ』


不気味に——


腹部が蠢いた。


そこに浮かび上がる、アスモデウスの口。


今の魔法は、バフォメットの比ではない。


『厄介……だが、魔法が使えるのは貴様だけではない』


ドラゴンが身構える。


同時に、オリオンも両翼を大きく広げた。


その翼が——光を纏う。


牙を剥き、鼻に皺を寄せ、鋭い瞳孔を向ける。


『グォォォオオオ!!!』


咆哮とともに、一直線に飛翔する。


『カース・オブ・ハイポイズン!』

『カース・オブ・パラリシス!』

『カース・オブ・ペストリカ!』


バァァァアアアアン!!!


黒い光線が放たれ、三つの魔法陣が展開する。


——その、次の瞬間。


光が、走る。


一閃。


魔法陣ごと、黒を貫いた。


オリオンの両翼が、光刃となって薙ぎ払う。


アスモデウスの顔面が——裂けた。


『うぉぉおおお!!!』


黒い血飛沫が、宙に舞う。


シュダンッ!


『曲がりなりにも……ドラゴンか』


『……ぉおぉのれぇ!獣風情が頭に乗るなぁ!!!』


怒号とともに、再び黒い光線が放たれる。


オリオンも聖光を放ち、真正面からぶつかる。


——相殺した、かに見えた。



ガッシャァァアアアン!!!



次の瞬間。


オリオンの身体が、大岩へと叩きつけられていた。


それは——


異形の“黒い管”とともに。



―――――――――――――――――



『さて、山羊退治に行きますか』


ダッ!


ユウミは駆け出した。


風を纏う身体は、一瞬で山羊の眼前へと至る。


『ボォォォオオオ!!!』


魔法が発動する——その前に。


斬る。


魔法陣ごと、切り裂いた。


そのまま頭部へ飛び込み、刺突。


——しかし。


ガギンッ!!


角の反撃が、それを弾く。


刀で受け流し、風で体勢を立て直す。


再び——刺突。


ギギンッ!


切っ先は、鱗に弾かれる。


『チィッ!』


空中で体勢を整える。


ビュビュンッ!!!


風が唸る。


『やぁぁぁああああ!!!』


矢のような刺突を、何度も、何度も叩き込む。


ガキンッ!!


ビュゥゥン!


ギギンッ!!


ビュゥゥウウ!!


——まだか。


(まだだ!)


ガッギーンッ!!


ビュゥゥゥウ!


——お前では


(黙って見てろって!)


『だいぶ風をコントロールできてきたな……!』


ビュゥゥゥウ!!


山羊をすり抜ける。


すぐさま急旋回。


再び襲いかかる。


だが山羊は、もう追いつけていない。


ビュゥゥン!!

ビュゥゥン!!

ビュゥン!!


(もっと速く——もっとだ!!!)


軌跡が、空を走る。


やがてそれは——


五芒星を描いた。


山羊の動きが止まる。


視線が、追いつかない。


(今だ!!!)


軌跡が崩れる。


一点へ。


『うぉぉぉおおお!!!!』


気配に反応し、山羊が顔を向ける。


その瞬間。


鹿両角月かくわち


視界が——重なる。


ビュシュゥゥウンッ!!!!


血が、弾けた。


山羊の顔面が、半分——地へ落ちる。


(……やった)


『斬ったぁぁぁああ!!!』


歓喜の叫び。


——だが。


次の瞬間。


ドラゴンの方向から、轟音。


『まさか……オリオン……』


胸が、強く締め付けられる。


ユウミは風を纏い、飛ぶ。


一瞬で、戦場へ。


——そして。


見てしまった。


ドラゴンの腹から伸びる、黒い管。


それが、大岩を貫いている。


砂煙が晴れる。


その先にいたのは——


『オリオォォォン!!!!』


(不知夜……力を貸せ!)


——良かろう。


——使え。


瞳が、一瞬、黒く染まる。


キィィイイイン!!!


音を置き去りにする速度で——迫る。


ズバァァァアアアッ!!!


黒い管——


否。


アスモデウスの“首”が、斬り飛んだ。


ズル……ズル……


岩から引き抜かれ、地へと落ちる。


ユウミはそのまま、岩の中へ飛び込む。


『おい!オリオン!!しっかりしろ!』


『ぬ……う……ん……ユウミか』


安堵が、胸を満たす。


『何やられてんだよ』


『我はやられてなどおらぬ。わざとよ』


『はいはい……』


小さく息を吐く。


無事だった。


それだけでいい。


『して、尻尾はどうした』


『倒したよ。腹のもね』


『ほぅ……やるではないか』


『あとは、あいつだけだ』


『うむ。あれで終いだ』


二人は、穴の奥からドラゴンを見据える。


その口には——


黒いエネルギーが収束していた。


『乗れ、ユウミ!』


『ああ!』


オリオンが飛び出す。


翼が広がる。


ユウミの風が、それを包み込む。


——加速。


聖なる光の軌跡を残しながら。


二人は、ドラゴンへと突き進む。

第18話をお読みいただき、ありがとうございます。

ユウミとオリオン、それぞれの力がぶつかり合い、

そして“重なった”今回のお話。

光と闇という対極の存在が交差したとき、

そこに生まれるものは、単なる力ではなく――

“意味”なのかもしれません。

そして、ユウミの中で確実に進み始めている“何か”。

それが希望へ向かうのか、あるいは――

次回も、ぜひ見届けていただけると嬉しいです。

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