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龍眼の転生者 〜内なる龍が目覚める時〜  作者: 小川 俊


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16/35

それは既に溢れ出している⑥【風纏う剣】

いつもお読みいただきありがとうございます。

第16話は――

ユウミとサタナキア、真正面からの激突となります。

これまでの戦いとは異なり、

“力”だけでなく、“意地”と“誇り”がぶつかり合う戦いです。

重くなる身体。鈍る刀。

それでも前へ出る理由とは何か。

ぜひ、ユウミの戦いを見届けていただけたら嬉しいです。

『サタナキアだ。――せいぜい足掻いてみせろ、小僧。』


(今の突き……こいつ、手練だ……)


ギンッ!


お互い間合いを取る。


『槍の使い手と立ち会うのは久しぶりだ。』


二人は動かない。

――いや、かすかに動いている。


じりじりと相手の陣地に踏み込み、間合いを測る。


サタナキアの瞳孔が動いた。


『キエエェェェイ!』


槍のリーチを活かし、先に仕掛ける。


連続の鋭い突き――

あまりの速さに槍が三本に見える。


だが、ユウミはそれらを紙一重で避ける。


槍を引き、リーチを隠し、再び突き――と見せかけて下段から中段への斬り上げ。


ユウミはそれを安々と刀で弾く。


(敵の動き、次の攻撃がはっきり見える……)


サタナキアは止まらない。

突き、落とし、横薙ぎ――次々と攻撃を繰り出す。


(身体が軽い……まるで羽が生えたみたいだ)


ユウミはそれを避け、受け、弾きながら応戦する。


(力もスピードも以前の比じゃない……これなら!)


突きを避けざま、上半身を捻り、その勢いを刀に乗せる。


右最上段からの袈裟懸け――


ズバッ!


サタナキアは辛うじて回避するも、胴鎧に深い斬り跡が刻まれる。


『なかなかできるな、小僧。』


『お前も槍の扱いが上手いじゃないか。』


『ふん……侮ってはいられんな。』


サタナキアは低く構え、槍先をユウミへ向ける。


ユウミは霞の構え。


再び、間合いの奪い合い。


……ジリ……ジリ……


『ヌンッ!』


鋭い突き。


ギンッ!!


ユウミはそれを逸らし、そのまま半回転――


横薙ぎ一閃。


ザンッ!


サタナキアは地面すれすれで回避し、石突で反撃。


ユウミは跳躍し、側宙から斬り上げる。


スパッ!


『……ヌッ!』


顔面に浅い傷。


だが止まらない。


突き。


ユウミは顔を逸らし回避――しかし頬を掠める。


距離を取る。


(……強いな)


サタナキアは動きを止め、ユウミを見据える。


(この剣捌き……人間が辿り着ける域か……)


(……楽しい)


『小僧!名は!』


『ユウミだ。』


『ユウミ――見事だ!』


空気が変わる。


『ここからは槍だけとはいかん!』


『魔法や道具ってことか。構わない。』


『強敵と判断した。――本気でいく。』


『望むところだ。』


『カース・オブ・エメラルド・クライ』


ズンッ!


地面が沈み、亀裂が走る。


『……ぐっ……!』


(身体が……重い……!)


『重力の魔法か……』


『違う。この槍と鎧の効果だ。』


『攻撃した分だけ……重さが増すんだな』


ユウミの口角が上がる。


『何を笑っている?』


『……この世界は、俺の身体を重くするのが好きみたいだ。』


『……慣れてるんだよ』


『そうか――ならば行くぞ!』


突進。


横薙ぎ。


ユウミは回避するが、攻撃に転じられない。


蹴りが脇腹に突き刺さる。


『ぐっ……!』


吹き飛び、着地。


その瞬間――槍が迫る。


『くそっ!』


頬を掠める一撃。


それでも踏み込む。


『うおおおおお!!!』


重さをものともせず、前へ。


(止まったら……終わる……!)


回避、斬撃、前進。


止まらない。


(なんなんだこいつは……!)


サタナキアは動揺する。


(なぜ……速くなっている……?)


ヒュッ


(もっと速くっ!)


ヒュゥゥ……


(もっと強くっ!)


――風が、応えた。


ユウミの身体に風が纏わりつく。


ビュゥゥッ!


脚に。


ビュゥゥゥウウウウ!!!


背に。


腕に。


風が吹き荒れる。


『ば……ばかな……!』


気付けばサタナキアは防戦一方。


『くそ……!』


ついに距離を取る。


『来るな!デモンズダークスピア!!』


無数の槍が放たれる。


(避けきれない……!)


――我を使え。

――その身では、届かぬ。


(不知夜……)


迫る槍。


(……いや)


龍眼が開く。


(俺が斬る!)


二本の槍を正確に弾く。


槍はぶつかり合い、軌道が崩れ、道を開く。


『なぜだ!?』


ユウミは加速する。


ブォォォオオオオン!!!


『うおおおおお!!!』


槍を突き出すサタナキア。


ギャッシュンッ!!!


風が――止まった。


ユウミは駆け抜け、転がり、立ち上がる。


(重さが……消えた……)


振り返る。


サタナキアは立っている。


だが――


ガラン……カラン……


槍が落ちる。


『……見事……』


ズズズズズ……


斜めに裂ける身体。


ドシャッ……


『……フゥー……』


ユウミは片膝をつき、息を吐いた。


勝者――ユウミ。




第16話をお読みいただき、ありがとうございました。

サタナキアという存在は、ただの敵ではなく、

「戦う者」としての在り方を強く持った相手として描きました。

ユウミもまた、力に頼るか、自分を貫くか――

その選択の中で戦っています。

今回の戦闘は、今後の成長や覚醒にも繋がる重要な一戦です。

少しでも「熱」を感じていただけていたら、とても嬉しいです。

引き続き応援していただけると励みになります。

今後ともよろしくお願いいたします。

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