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エーテルニア・コード:世界からの脱出  作者: 観録(ミロク)
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第24話:『記憶の残響』、もう一人の亡霊


『次元の狭間』に現れた亡霊たちを辛くも退けたリオスたち。しかし、彼らが放つ生々しい絶望のデータは、リオスの心を重く圧迫していた。

「くそっ…!こんな場所で、みんなを…!」

リオスは、右腕に激痛を覚える。亡霊たちを浄化する度に、彼の右腕に宿る「異晶」の力が、制御不能になりかけていた。ルクスとの融合で得た力は、この世界の歪みに深く干渉しすぎるため、リオスの肉体に大きな負担をかけていたのだ。

「リオス!無理はしないで!」

ソラがリオスの腕をそっと支える。彼女の『魂の共鳴』の力が、わずかにリオスの暴走しそうな力を鎮めていた。

「ありがとう、ソラ」

リオスは、ソラに感謝の言葉を述べ、周囲を見渡した。亡霊たちが消滅した街には、奇妙な静寂が訪れていた。風化した建物と錆びついた金属片。その光景は、まるで世界の終末を物語っているかのようだ。

「この街のノイズ…何か、特定の感情に強く反応しているようだ」

アデルが、懐から取り出した解析端末でデータを分析しながら呟く。

「…怒り、憎しみ、そして…深い後悔…」

アデルの言葉に、リオスは胸騒ぎを覚えた。その感情は、どこかで感じたことがある。それは、ルシアンが最後にリオスに語った、孤独と絶望の感情だった。

「もしかして…この街の中心にいる人物は、ルシアンに関係があるのか?」

その予感は的中した。

彼らが街の中心へと進むにつれ、ノイズの奔流は激しさを増していく。その中心に、一人の男が立っていた。全身を黒いノイズが覆い、その顔は深い絶望に歪んでいる。しかし、その瞳には、かつてリオスたちが戦った《闇を視る者》とは違う、狂気的な光が宿っていた。

「…ルシアンは…どこだ…!?」

男は、狂ったように叫びながら、リオスたちに剣を向ける。

「俺は…!ルシアンの…ルシアンの、影だ…!」

男は、かつてルシアンの忠実な部下だった《システム・ブレイカー》の残骸だった。ルシアンの消滅後、彼は主を失い、深い絶望と怒りの感情がノイズと融合し、この『次元の狭間』に囚われていたのだ。彼は、ルシアンを裏切ったリオスたちを深く憎んでいた。

「ルシアン様は、この世界のすべてを、終わらせようとしていた…!なのに…!貴様らの『希望』などという、偽りの幻想が…!なぜ…!なぜ、邪魔をしたあああ!!」

男の叫びと共に、全身から強大なノイズが噴出する。それは、彼の深い憎悪と後悔が具現化した、醜悪な怪物だった。

「…憎しみが、これほどのノイズを生み出すなんて…!」

ミオは、その圧倒的な存在感に言葉を失った。

「ダメだ!僕たちの攻撃では、彼の憎悪を浄化できない!」

ソラは、自分の力が無力であることを悟り、絶望的な表情を浮かべた。

リオスは、男の姿をまっすぐに見つめた。彼の心には、怒りも憎しみもなかった。ただ、深い悲しみがこみ上げてくる。

(…こいつは、俺の…もう一人の姿だ)

もし、あの時、リオスがルシアンに打ち勝つことができず、仲間を失っていたら。きっと、自分も同じように、憎しみと後悔に囚われ、この『次元の狭間』をさまよっていたに違いない。

「お前の憎しみは…本物だ。だが、お前が信じたものは、ルシアンの『絶望』だけだった。俺が信じたのは、仲間たちとの『絆』だ!」

リオスは、男に向かって叫んだ。

「お前を倒すんじゃない!俺は、お前の憎しみを…ルシアンの、そしてゼロの、絶望を…乗り越えてみせる!」

リオスは、右腕に宿る「異晶」の力を、限界まで引き出した。彼の身体が、ルクスの光を纏い、黄金色に輝き始める。

「行け、リオス…!」

ミオ、ソラ、アデルの3人が、それぞれの力をリオスに託した。ソラの『魂の共鳴』が、ミオの剣術を、アデルの解析能力を、リオスの剣に集中させる。

「これが…俺たちの…『絆』だああああ!!」

リオスは、黄金の光を纏った大剣を、男に向かって振り下ろした。その一撃は、世界の法則を断ち切り、男を覆っていた憎悪のノイズを浄化していく。

男は、最後に安堵の表情を浮かべ、光の粒子となって消えていった。

戦いは終わった。

しかし、彼らがこの場所で見たものは、エーテルニアのシステムと、現実世界を蝕む「深淵の粒子」だけではなかった。彼らは、絶望に囚われた魂が、この世界をどれほど深く蝕んでいるのかを知ったのだ。

「…行こう、みんな」

リオスは、深く息を吐き、仲間たちに言った。

「俺たちが、この世界を救う『希望』なんだ」

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