No.28 恋はままならない
寝室のドアが開いて、サンエーリ様とリーフ様が入ってくる。
「体調はどうだい?」
「熱は下がったみたいだし、どうだ?」
「怠さ以外は大丈夫です」
私はドキドキしたまま、無難な返事をしてしまう。
そうしないと、変な事を口走りそうで。
「薬が効いたんだね」
薬=口移し。
顔にボンッと熱くなってくる。
顔も真っ赤になっているだろうね!
本気で恥ずかしい。
「ん?また熱出たか?」
「いや、今のは気にしないで!大丈夫だから」
リーフ様が額と額を合わせる。
マジですか?!
更に顔が熱くなるのを感じる。
沸いた様に顔が熱くなって、湯気が出ているに違いない。
「そうか?なら良いけど…無理すんなよ?」
「うん、うん!絶対無理しない!」
「ふーん。でも、隠し事はなしだよ?」
サンエーリ様まで、顔を近づけてくる。
本当にギリギリで。
少しでも動けば、キスしそうでドキドキが激しくなる。
「わかった!だから、少し離れてー!」
私はパタッと身体を倒して、キスもドキドキも回避する。
「どうしたんだい?」
「なんでもないです……」
綺麗な顔のドアップさに、ドキドキが止まらない。
ドキドキ回避失敗ですよ。
「体調が微妙なら、お見舞い断った方がいいかもしれないな」
「お見舞い?」
「いつぞやの魔導師殿だよ」
「ナルサス様ですか?」
「そうだよ。何処からか聞いたらしくて、昨日からお見舞いの申し出があったんだよ」
すっかり忘れていたけど、ナルサス様とのお茶会の約束もあった気がする。
ナルサス様の婚約者になる発言すら、今の今まで忘れていた。
でも、許して欲しいの。
だって、現在進行形で自分の心に頭がついていけてないの。
中身入れてアラフォーの私が、イケメン二人にときめいているなんて…なんたる現状。
「ティアが決めないと、この二人勝手に断ってしまうよ?」
「お兄様、いつからそこに?!」
「隠し事はなしだよ?から、かな?」
「気配を消さないで下さい!も~なんなんですか!」
「僕は空気の読める子だから」
「見ていらっしゃったのなら、助けて下さい!」
「そんな事より、お見舞いどうする?」
サラッと流したお兄様に、私はハッとして考えてしまう。
メンタル的に正直、あの空気はまだキツい。
でも、今日断ろうと…明日また申し出が出てきそうで無駄だよね。
それなら…今日も明日も変わりないよね。
「では、少し時間を頂けますか?着替えなどしたいので」
「大丈夫なのかい?」
「無理はしない約束だろ?」
心配してくれている二人に、私は出来る限りの頬笑みを向けて頷く。
「大丈夫だよ。食欲もあるし、怠さ以外は問題なしだから」
「そう言うなら…でもね…」
「俺達も一緒にいたらどうだ?」
「えっ?」
「じゃ、僕も暇だし一緒にいようかな~♪」
「そうしようか?どうせ、話すだけなんだし」
勝手に話が進んで行く。
しかもあらぬ方向に。
止めようにも、止まる気配すらない。
さすが、腹黒王子様。
二人になると手に負えない。
「あの、私の意見は?」
「身体の心配からの意見だけどダメだったかな?」
「いえ、うん。心配ありがとう」
これ以外の言葉が見つからないのは、惚れた弱味だろうか。
三人はいい笑顔で頷いた。
この時に悟った。
この三人には勝てない事を。




