↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
9/15

第8話 私の名前

「もう朝か」

天河《てんが》は目を擦りながらそう呟いた。


天河は自宅に帰ると、そのまま寝てしまったのだ。


朝の眩い光が、夜の名残を抱くベッドに静かに差し込んでいた。


「父さんか母さん、起こしてくれよ……。まぁ、自分の部屋だし、起こしてって頼み忘れたから仕方ないか。っていうか、ベガは大丈夫かな」


寝床の重力に吸われながらも立ち上がり、準備を進めた。


♢


マンション《織星《おりぼし》レジデンス》107号室に立ち、インターホンを優しく押した。


夜の静寂はとっくに消え、通りを歩く人々の足音や鳥のさえずりが、朝の訪れを感じさせていた。


誰が来たのかを確かめることもなく、扉が勢いよく開いた。

すると美王香《みおか》は、明るい声で話しかけた。

「天河おはよう!ベガちゃんの様子見かな?」


「おはよう、ベガの様子を見に来た。今日はお休みで学校ないから」

天河がちょっと嬉しそうにそう言った。


二人が会話してると、美王香の後ろから、たけのこのようにベガがにょきっと顔を出した。。


それに気づいた天河は、口元を緩め、ゆっくりと声をかけた。


「おはよう、ベガ」


陽だまりのように温かな声を受け取ったベガは、言葉を選ぶように一瞬沈黙したあと、声を発した。


「おはよう……、天……河」


今にも風に消えそうなほどか細かい声だったが、天河には確かに聞こえた。


天河は嬉しそうに「おはよう!」とベガに返し、美王香を見て、吐息に言葉を混ぜるように、そっと尋ねた。


「ベガになんか教えた?」

「ちょっとね」


美王香の回答に天河は、驚きと喜びが入り混じった声で、「ありがとう。これからも少しずつ教えてあげてほしい」と言うと、美王香がにこっと笑い、親指を立てた。


二人の会話に入るタイミングをうかがっていたベガは、ようやく口を開いた。


「私も地球の名前がほしい……、天河や美王香みたいに。二人で名前考えられないかな?」


天河と美王香に、衝撃が走った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。