第5話 安心と悩み
「食べていいの?」
ベガがそう尋ねると、天河は頷きながら答えた。
「いいよ!お腹空いてるでしょう?俺のことは気にせず食べて」
それを聞いたベガの頬を、春の雪解けのように、堪えていた涙が伝った。
「本当にありがとう……、食べる……」
涙を浮かべながらも微笑むベガを見て、天河は心配そうな気持ちを胸にしまい、穏やかに声をかけた。
「口に合うといいなぁ」
ベガはぎこちない手つきで、湯気の立つハンバーグにフォークを刺した。
半分ほど切り分けると、その一切れを恐る恐る口へ運んだ。
「美味しい……、美味しいよぉ……。こんなに美味しい補給物があるなんて」
凍っていた心に陽だまりが差し込むように、温かい光が広がっていった。
ベガの感想を聞いた天河は、口に合ったことに安心しながら、尋ねた。
「熱くない?美味しいならよかった!他の料理も食べてみて」
それを聞いたベガは、顔をほころばせながら、
「少し熱かったけど、とっても美味しかった!ありがとう!他のリョウリ?も食べてみる」
そう言うと、パンとサラダ、そして残ってるハンバーグへと、次々に手を伸ばした。
黄金のような色の、柔らかそうなパン。
花畑を閉じ込めたような、色鮮やかなサラダ。
まだ鉄板の上で音を立てている、半分のハンバーグ。
まるで宝石を見つけた子供のように目を輝かせ、ベガは嬉しそうに声を弾ませた。
「全部美味しい〜〜!チキュウってこんなに美味しい補給物……いや、リョウリがあったなんて!」
ベガの言葉を聞いた天河は、嬉しそうに微笑んだ。
「美味しかったようでよかった!」
と言った直後、天河の頭に、ある悩みがよぎった。
この子どうしよう──
天河には家族がいる。見知らぬ人を泊めるのは、簡単なことではなかった。
♢
会計を済ませて店を出ると、二人はこれからのことについて話し始めた。
「ベガをどうしようかな……?」




