第1話 星の呼び声
東京のある街の一角──
「もうこんな時期か、願い事考えてないや」
そう言いながら、無数の笹に吊るされた短冊の下を通った。
彼の名前は十六夜天河。星乃鶴高校に通う、高校二年生だ。
特別な世界を救う能力もなく、世界一と呼べるなにかを持ってるわけでも、神をも超越する力も持ってない。ただ、少し不器用で、人が困っていると放っておけない心優しい青年──
「願い事か……、どうしようかな〜」
天河がそう言う頃には、提灯が灯り始め、太陽が沈むにつれて、夜の帳が静かに降りてきた。
夜が幕を開けると同時に、夜空を彩る光の花が闇を切り裂いた。
「花火の時間だ、見えるところに行かなくちゃ。綺麗だな……、10年ぶりかな」
そう言い、花火の見やすい橋の辺りまでゆっくり歩いていく。
♢
橋に着いたところで足を止めた。
天河の瞳には、暗闇を照らすような激しい光が咲いていた。
「花火綺麗……、それと、花火とは反対側に広がる星空も綺麗だ。夏っていうし、夏の大三角とかあるかな?」
反対の星空は、闇に散りばめられた宝石のように輝いていた。
「北極星は見えるんだけどな……、夏の大三角どこだっけ」
無数の星々が輝く中で、夏の大三角を見つけようと、何度も視界を巡らせた。
そしてようやく夜空を結ぶ三角形を瞳が捉えたが次の瞬間──
視界に映った異様な光景に、息を呑んだ。
それは宇宙船のような金属体が裏山に向かって、勢いよく落ちていく光景。
瞳がそれを捉えた瞬間、幾千もの星を渡り、引力に引かれた稲妻が身体を走ると共に、なぜか懐かしい気持ちになった。
音は花火の音で遮られていたが、砂埃は爆ぜるように舞っていた。
「周りは気づいてない……?とりあえず行ってみよう」
衝動に駆られ、裏山に向かっていった。




