↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
1/13

プロローグ 遥かな遠き蒼へ

「航路準備完了、私はここには戻らない」

そう告げると電子機器から、


『ネームはベガとして、宇宙船の常用者登録を完了しました』


感情の起伏を消したような、平坦な響きが耳に伝わった。


それを聞き、ベガは行き場のない不安を閉じ込めた震えた手でレバーに触れた。

そして宇宙船を稼動させた。


「これでいいのかな……、私はもう願いを背負えないの」


そう言うと、宇宙船に金属が摩擦する音が響いた。そして直ちに、遥か上へ飛び立った。


行き先は、遥か遠くにある内太陽系に位置する地球――


『転移ホールを展開します』


すると、瞳のような翡翠色のホールが宇宙船の前に眩く溢れ出した。


宇宙船がホールに入ることを確認したベガは安堵を得て、暗闇に意識を溶かして眠りについた。


♢


ぱちりと目を覚ますと、宇宙船の窓から、宇宙の暗闇を青い大気光が眩く照らしていた。青い星は、息を呑むような存在感をもって、そこにあった。


「これがチキュウ……、青くて綺麗だなぁ」


ベガは口を動かしながら、航路を確認する。


これでいいはずと思った次の瞬間、右端に惑星の欠片かと思わせるような、巨大な岩石が不意に現れた。


まずい── ベガは焦りを胸にしつつ、懸命にレバーを倒し、方向を変えた。


案の定、ぶつかる面積は小さくなったが、勢いよく船体に当たった。巨大な鐘を叩き割ったような鈍い轟音が響き渡った。


船内がドラム式洗濯機のように激しく揺れ、やがてベガは意識が途切れた。


宇宙船は流れに乗り、隕石のように地球に降り注いだ。


これは星の河を越え、歩みを止めなかった、決意の物語。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。