↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
12/17

第11話 生まれ落ちた理由

「『誰かの願いを叶えるために生まれた』ってお父さんに言われたの。だから私は、自分の望みをすべて捨て、誰かの苦しさや願いに寄り添って生きてきた。スターギヴァーっていう、願いを聞いて叶える仕事してた。」


七瀬《ななせ》は、どこか寂しげに微笑みを浮かべ、そう言った。


話を聞いていた天河《てんが》や美王香《みおか》は、七瀬の苦しみを受け止めるように頷いた。

それを受け止めた七瀬は、話を続けた。


「でもね、コスモスクエアのみんなとは、一つだけ違うものを持って生まれたの。それは、【感情】という能力。悲しいことがあったら嘆く。上手くいかなかったら怒る。だけど、そうする度に願いを叶えるのが辛くなっていった。」


雨に濡れたような声で、ぽつりぽつりと言葉を紡いだ。目には、うっすらと涙が浮かんでいた。


「叶えるために生まれてきたのに、感情を持ってるせいで、みんなができてることを自分だけができない。そこで、ある疑問に辿り着いた。生きる意味はあるのか。私がここにいる価値はあるのか──」


ヒートアップしていく七瀬に被さるように、天河は声を放った。


「それならさ……一緒に、生きる意味や自分の価値を探そうよ!感情だって、悪いことばかりじゃないさ」


沈んでいる心を引き上げるように、天河はそう言った。

七瀬は大粒の涙を流し、震える声で呟いた。


「つらかった……ありがとう……。私、もう誰かの願いを背負えないの」


それを聞いた美王香は、さらに元気づけるように、明るい声で答えながら、七瀬の頭をそっと撫でた。


「生きてるだけで偉いよ〜!なんか、昔の天河みたい。それくらいいっぱい耐えてたんだね、大丈夫。帰る場所はここだから」


涙が止まらず、声がかすれてきた七瀬は、胸いっぱいの喜びを抱きしめるように、小さくはにかんだ。


そのとき、七瀬の胸に一つの疑問が浮かんだ。

気づけば、口から言葉がこぼれていた。


「昔の……天河?」


その言葉に重なるように、店員さんの声が響いた。


「お待たせしました、ハンバーガーのセットです。」


店員さんの声に天河と美王香が反応し、天河は頭を軽く下げた。


美王香も小さくお腹を鳴らしながら、「食べよう?」と言った。


七瀬の目の前にあるのは、ダブルパティバーガーだった──

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。