第10話 好物の衝動
「人がたくさんいる〜」
そう言いながら、七瀬は好奇心に目を輝かせ、天河の横を歩いていた。
お腹が空いた七瀬と天河、美王香は《星乃鶴市》の街中を見て回っていた。
すると美王香が緑色のお店を指差し、弾んだ声で言った。
「あのお店良さげじゃない?行ってみよ」
そのお店は《ランチハンバーガー・ホシウミ》という名前のお店だ。
天河は小さく頷き、「いいね」と答えた。
それに反応した七瀬も頷きながらも、天河に質問をした。
「ハンバーグある?」
可愛いらしい質問に天河ははにかみ、優しく言葉を返した。
「あるよ、ハンバーグを挟んだハンバーガーっていうのがね」
七瀬の顔が、花が一斉に咲くようにほころんだ。
「やったー!ハンバーグLv2ってこと?」
「そうだよ」
天河はくすっと笑いながら、扉を開けた。
お店に入ると、人々の笑い声が波のように押し寄せ、店内は祭りのような活気に包まれていた。
「人多いね〜、これじゃあ待つしかない」
人混みに揉まれながらも、苦笑いしてそう言った。
♢
しばらく3人で話していると、店員に呼ばれた。案内された席に着き、ようやく一息つく。
席に座った美王香が、明るい言葉で尋ねた。
「みんなメニューどうする〜?私は、サワークリームオニオンバーガー!」
その質問に答えるように、天河は穏やかに口を動かした。
「じゃあ、照り焼きチキンバーガーで」
それを聞いた七瀬は、さまざまな種類の料理があることに胸を弾ませた。
けれど、ハンバーガーの種類の多さに、今度は頭を悩ませることになった。
魚たっぷり《ソースフィッシュバーガー》。
野菜たっぷり《スーパーベジタブルバーガー》。
濃厚なソースと肉たっぷり《ダイナマイトミートバーガー》。
ほかにも、七瀬が見たことないハンバーガーが、メニュー表にはずらりと並んでいた。
多種多様なメニューの中から、七瀬が決めたハンバーガーは──
「ダブルパティバーガー!にする」
肉厚なパティが二段重ねられ、濃厚な和風ダレが絡み、風味豊かなハンバーガーだ。
天河と美王香が微笑みを浮かべた。
天河が何か言おうとした、そのとき──七瀬が先に口を開いた。
「それと、なんで地球に来たか教える──」




