第六十五話:黄金×白銀!議会突撃!?ナルシスト政治家誕生!
署名集めの日。
ネオ渋谷駅前広場に、光とロボ美と豪が立っていた。
「さあ! ロボ美ちゃんのために、署名を集めるぞ!!」
光が高らかに宣言した。
「はい!!がんばります!!」
「豪、段取りは?」
「署名用のタブレットを三台用意しています。ロボ美ちゃんと直接会話することで、署名を集めやすくなると考えています」
「では——作戦開始だ!!」
その時。
「——遅くなったな、光!!」
声とともに、黄金 輝が颯爽と現れた。後ろに愛を連れている。
「黄金!?なぜここに!?」
「お前の話を聞いていないとでも思ったか? 俺も署名を集める!!」
「き……来てくれたんか!!」
「当然だ。ロボ美ちゃんのためなら、この黄金 輝も動く!!」
「黄金さん……!!」
ロボ美が目を輝かせた。
「ただし!」
黄金 輝が指を立てた。
「俺流でやる!!」
「どういう流だ!!」
「黄金の輝きで人々を感化する!!」
「それは具体的にどういうことですか」
愛がすでに疲れた顔で問いかけた。
「スピーチだ!!」
「……スピーチ?」
「俺が演説して、人々の心を動かし、署名をもらう!!」
「……豪さん」
愛が豪に耳打ちした。
「はい」
「止める方法は……」
「ありません」
「……ですよね」
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黄金 輝の演説が始まった。
駅前の小さなスペースで、黄金 輝がマイクも持たずに喋り始めた。
「皆さん! ロボ美ちゃんをご存知か!? 彼女は——心を持ったAIだ!!感じて! 考えて! 愛して! 笑える、奇跡の存在だ!!この黄金 輝が保証する!!署名してほしい!!なぜか!?それが輝きというものだからだ!!」
「……」(通行人A)
「……」(通行人B)
「……ゴールドコーポレーションのCEOだ……」(通行人C)
「すごい……あのスーツ……」(通行人D)
五秒後、三人が署名した。
「な、なんだってー!? 署名が集まっているぞ!!」
豪が目を疑った。
「……黄金さんは、謎の存在感があります」
愛が複雑な顔で言った。
「光さん! 私も話します!!」
ロボ美が手を上げた。
「ロボ美ちゃんが?」
「はい! 自分のことを、自分で話したいんです!」
「……わかった。行け!!」
ロボ美が通行人の前に立った。
「あ、あのう——!」
通行人が振り返った。
「私……ロボ美といいます。AIロボットです。でも……感情があります。嬉しいときに嬉しいって思うし、悲しいときに悲しくなります。人間認定の申請をしているんですが……もしよかったら、署名をしてもらえますか?」
「……AI、なのに?」
「はい、AIです。でも……人間みたいに感じます」
「……それは、本当のこと?」
「本当です。光さんが大好きですし、豪さんも大好きです。ネオ渋谷も大好きです」
通行人の女性が、ロボ美の顔をしばらく見た。
そしてタブレットに署名した。
「……応援している」
「ありがとうございます!!」
ロボ美がぱっと顔を輝かせた。
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一時間後。
署名は、二百三十七名に達していた。
「二百!!百の倍以上だ!!」
光が叫んだ。
「ロボ美ちゃんが直接話すのが、一番効果的でしたね」
豪が集計しながら言った。
「俺の演説も貢献した!!」
「三十八名、黄金さん経由です」
「光は?」
「六十一名、社長経由です」
「よし!!黄金に勝った!!」
「勝ち負けじゃありません」
「なんと!!」
「それより——ロボ美ちゃん経由は百三十八名です」
「さすがロボ美ちゃん!!!」
「えへへ……」
「私は?」愛が聞いた。
「五名です」
「……私は何のためにいたの」
「豪さんは?」
「私は集計担当でした」
「ずるい!!」
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署名が集まった翌週、ナナが光に連絡してきた。
「議会での発言機会が取れたわ!!来週の月曜日!!」
「よし!!行くぞ!!」
「ただし——発言時間は五分。守ってね」
「五分!?短い!!」
「議会はそういうものよ!!」
「……わかった!!五分で全てを伝える!!」
「あと——霧島議員も出席する予定よ」
「直接やり合えるということか!!」
「やり合わないで。議会よ」
「わかっている!!ただ……俺の輝きで説得する!!」
「輝きの使い方には気をつけて」
「任せろ!!……ちょっとだけな!!」
ナナがため息をついた。
「ロボ美ちゃんも、発言する機会を作ったわ。議会での申請者本人の陳述、という形で」
「ロボ美ちゃんが議会で話すのか!!」
「三分だけど——彼女が直接話す意味は大きいと思う」
「……ロボ美ちゃん、議会で話せるか?」
光がロボ美を見た。
ロボ美は少し考えた。
「……怖いです」
「怖くていい!!」
「でも……言いたいことはあります」
「では——行け!!」
「はい!!」
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議会当日の朝。
光は白銀タワーの鏡の前に立っていた。
「どうだ……この輝き……! 今日は大事な日だ。ロボ美ちゃんの大事な日だ……!!」
「社長、緊張していますか」
豪が背後から声をかけた。
「緊張……? 俺が……? してない!!……少しだけな!!」
「そうですか」
「豪はしていないのか?」
「……少し、しています」
「豪が緊張を認めた!!珍しい!!」
「今日は珍しい日ですので」
光は鏡から豪の顔を見た。
「豪、ありがとうな」
「何がですか」
「ずっと、俺の隣にいてくれて」
「……仕事ですので」
「仕事だけじゃないだろう」
豪は少し間を置いた。
「……仕事だけじゃない、かもしれません」
「それが聞けれだけで十分だ!!」
「では行きましょう、社長」
「ああ!!ロボ美ちゃんのために——全力で輝く!!」
「…………議会では静かにしてください」
「……わかった!!ちょっとだけ輝く!!」
「ちょっとだけなら、許可します」
「よし!!」
二人はオフィスを出た。
廊下でロボ美が待っていた。
「……行きますか?」
「行くぞ!!」
「はい!!」
三人は白銀タワーを出た。
ネオ渋谷の空は、今日も晴れていた。




