第五十四話:発見!ダーク・グレイスの本拠地!
シャイニングスターズの三人が帰還した翌日。
豪は一睡もしていなかった。
徹夜でデータを解析し続けた結果——。
「……見つけました」
豪がモニターを見つめながら静かに言った。
「本当か!!」
光が飛び起きた。ソファで仮眠を取っていたはずだが、その声で一瞬で覚醒した。
「はい。シャイニングスターズの三人が脱出した地点、それ以前の部下の移動ルート、そしてセキュリティカメラの死角を重ね合わせると……」
豪が地図を広げた。
ネオ渋谷の地下区画の地図。その一角に、赤いマーカーで印がつけられていた。
「ネオ渋谷地下三区——旧研究施設跡地。表向きは廃棄物管理センターとして登録されていますが、十三年前から稼働停止していることになっています」
「十三年前……ダーク・グレイスが感情を失ったのが十一年前だから、その二年前には既にそこを使っていたのか」
「ええ。もしかしたら……かつての研究所そのものかもしれません」
光は地図を睨んだ。
「行くぞ」
「はい。ただし——全員集合してからです」
「わかった。すぐに呼べ」
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その日の午後三時。
白銀タワーの前に、全員が集まった。
光、豪、ロボ美。
黄金 輝と愛。
シャイニングスターズの三人。
そして——柄杓を持った椿。
「よし! 勢揃いだ!」
光が全員を見渡した。
「……社長、顔が輝いていますが」
「もちろんだ! こういう場面こそ、俺の輝きが必要だ!」
「戦略的な輝きを求めています、オーラ的なものではなく」
「そこは同じだ!!」
豪はため息をついた。
「全員で確認します」
豪が地図を広げ、全員に見せた。
「目標地点はここ。ネオ渋谷地下三区の旧研究施設。地下二階建て、と推測されます。ダーク・グレイスと部下が複数いるはず。目的は——」
豪はここで一度、ロボ美を見た。
「ダーク・グレイスとの対話。そして、ロボ美ちゃんへの脅威を取り除くこと」
「戦闘は?」
黄金 輝が静かに問う。
「できるだけ避けます。ただし、部下に関しては対応が必要になるかもしれない」
「了解」
「椿さん、後方支援をお願いできますか」
「任せなさい。この柄杓が火吹くときは、いつでも呼んでちょうだい」
「……火は吹かないでください」
「比喩よ、比喩」
「社長方」
豪が光と黄金 輝を見た。
「二つだけお願いがあります」
「なんだ」
「一つ目。突入の際は私の指示に従ってください」
「…………わかった」(光)
「……まあいい」(黄金 輝)
「二つ目。中に入ったら『俺の輝きで』という言葉を禁止します」
「「な、なんだってー!?」」
「禁止です」
「「…………」」
二人がしぶしぶ頷いた。
「ありがとうございます」
豪が全員を見渡した。
「出発します」
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旧研究施設の外壁前。
地下に続く重い扉が、建物の脇に見えた。
全員が揃って、その前に立つ。
「……ここか」
光が低く言った。
「ええ。間違いありません」
豪が静かに頷く。
「ロボ美ちゃん」
光がロボ美に向いた。
「怖いか?」
「……少し」
「そうだな」
「でも……行きます」
ロボ美の目が、真っすぐ前を向いた。
「ダーク・グレイスさんと、ちゃんと話したいです」
「……わかった」
光はロボ美の頭にポンと手を置いた。
「俺がいる。豪もいる。黄金もいる。シャイニングスターズもいる。椿さんもいる」
「……はい」
「お前は一人じゃない」
ロボ美の胸の中で、感情回路がじんと温かくなった。
「……はい!!」
「よし!」
光が振り返り、全員を見渡した。
「行くぞ! 愛と輝きの——」
「作戦名は事前に決めました」
豪が静かに言った。
「ドタバタ突撃大作戦ですね。覚えています」
「……そうだな。じゃあ——」
光は扉の前に立った。
「ドタバタでいい。輝けなくてもいい。ただ——」
光の目が、静かに燃えていた。
「仲間と、ロボ美ちゃんを守る。それだけだ」
誰も何も言わなかった。
でも——全員の目に、力が宿っていた。
「…………社長」
豪が珍しく、光の背中を見つめて小さく呟いた。
「今日は、いつもより良いことを言っていますね」
「うるさい!!照れるだろう!!」
「失礼しました」
「ロボ美ちゃん笑ってないよな!?」
「…えへへ」
「笑ってるじゃないか!!!」
黄金 輝が鼻で笑った。
「相変わらずだな、光」
「うるさい!!黄金も笑ってる!!」
ホットピンクが小さく微笑む。ハニーイエローが「頑張ろ!」と言う。アイスブルーが無言で親指を立てる。椿が柄杓を構える。
「……行きます」
豪が扉に手をかけた。
重い金属の音を立てて、扉がゆっくりと開いた。
その先には、暗い廊下が続いていた。
そして——その奥のどこかに、ダーク・グレイスが待っているはずだった。
光は一歩、踏み込んだ。
仲間たちが、後に続いた。




