表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ジン(第一部終わり)  作者: 桃巴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/46

ジン23

 王都ギルド『本部』に戻ったジンは、一階でランジらと会った。


「ジン!」


 ランジが嬉しそうに駆け寄る。


「今日から復帰なんだぜ。滞っている依頼を捌いていく」


 ランジが壁いっぱいに貼り出された依頼を見上げた。


「そっか、頑張れよ」

「ジンもな」


 ジンとランジは拳を突き合わせる。

 ランジのパーティーらとも、軽くハイタッチしてジンは二階へと向かった。


 二階に上がると、今日もコンシェルジュは不在。

 依頼を捌いているのだろう。

 ザナギ以外のサブマスも不在の札が部屋の前にかかっている。


 ジンはザナギの部屋をノックした。


「ジンです!」

『入ってくれ』


 部屋に入ると、ザナギが書類の山と格闘している。

 

「『本部』俺しかいねえから、書類処理が全フリなんだぜ」


 口も手も動かしながら、ザナギが言った。


「記録水晶に映像撮ってきました」

「やり方わかるよな? 机に映像台座をセットしてくれ」


「了解です」


 状況からして、今日はジンがザナギの補佐をすることになりそうだ。

 ジンは映像台座を机に置き、記録水晶をネックレスから外してセットした。

 花弁に合図を送ると、映像が流れるはず。


「流しますよ?」

「ちょっと、待て……」


 ザナギがキリのいいところまで、書類の処理を終わらせる。


「いいぞ、流せ」


 ジンは花弁に合図を送って映像を流しはじめた。

 ザナギがその映像を確認している間に、ジンは机の上の書類を整理する。


 自分が見た映像を再確認する必要はないから。


 グッチャグチャの書類をカテゴリー分けし、処理済みのものをサイドテーブルへ、次の行き先別に分類し並べた。

 了承不可書類や不備のある書類、問題のある書類なども確認をし、付箋を貼っていく。

 ギルドマスターに育てられたジンは、そういう補佐作業もお手の物。


「……ジン」


 ザナギが呟く。

 ジンは反応して、映像を見た。


 こん棒を引き抜き、三玉が片方の崑具に装填されている映像だ。

 そこから、虹色物体が階層を作りダンジョン化する映像へと繋がる。動きが収まって、カッツと話す場面からルラ村村長と村民らと話す場面も。


「ルララルーの聖女か……」


 ザナギがまた呟いた。

 何か、思案している表情だ。


 ジンは映像が終わったのを確認し、花弁に合図を送り停止させる。記録水晶を映像台座から外して、ネックレスにセットした。


「これ、どこに置きますか?」


 ジンは記録水晶ネックレスと映像台座をザナギに向ける。


「あ? ああ、そこのマジックアイテム専用の棚にしまってくれ」

「はい、了解です」


 棚を開けてそれらを置き、ザナギの方へ戻る。


「ザナギさん、ダンジョン認可されますよね?」

「ん? まあ、ダンジョン開きが終わればな。ところで、ジン……」


 ザナギの視線はジンの腰、こん棒へと移る。

 ジンはこん棒を引き抜き、ザナギに見せた。


「王都の便利(マジックアイテム)屋で、崑具を譲ってもらい装填しました。鎮守の大木からも、この三玉を贈られて」

「のようだな。『朝露』に続いて『三玉』か。で、効果は? お前はこん棒と喋っているから、お前の発言だけでは判断がしきれない」


 流石、サブマスのザナギだ。

 ジンの独り言を読んでいる。


『じじい、ザナギさんにも隠すのか?』と念じる。


(サブマスは気づいているじゃろうて)


「お察しの通りです」


 ザナギがフッと鼻で笑う。


「明言しないあたりが、ジンらしいな。まあ、確信が持てるまではそのスタンスでいい」


 ジンはペコッと頷く。


「じゃあ、ジン、今日は俺のパシリよろしくな」

「了解です」


 ジンは、早速処理済み書類を持って補佐作業を始めたのだった。




 一週間が経った。

 芳しくない状況が続いていた。

 王都ギルド『本部』は対応に苦慮している。

 なんの対応か?

 もちろん、ルララルーのダンジョンである。

 ルララルーの渓谷に着地し、階層ができダンジョン化したにもかかわらず、入り口が一向に破られないわけ。


「名の知れた勇者パーティーの攻撃であっても、うんともすんとも、らしい」


 今日も今日とて、バレンスがジンの住まいで喋っている。このところ、毎朝の日課になっている。


「もうさ、勇者らは躍起になってるらしい。入り口以外を突き破ろうとしたり、ダンジョンがはまっている渓谷の両側を削って落としちまえって策戦も出てるらしい」


 ジンは眉間にしわを寄せた。

 村民たちは大丈夫だろうか? と。

 村で、勇者パーティーらが身勝手なことをしなければいいけれど、とも。


「ダンジョンからの突起物攻撃は?」

「いっさいなし。ただただ破れないってさ」


 バレンスがグビグビと目覚めのドリンクを飲み干した。


「ジンも飲めよ」


 回復ドリンク屋からジンの分も買ってきているバレンスである。

 そうじゃなきゃ、家に入れたりはしない。

 ジンは目覚めのドリンクを手に取り立ち上がる。


「もう、出るぞ」

「了解」


 ジンは目覚めのドリンクを飲みながら、家を出た。

 バレンスは東関門へ。

 ジンはギルドへ……行かず、同じく東関門へ。

 右手の甲、勇者の証、飛龍紋が疼いている。

 神龍が外に出たがっているようだ。


「ジンも東関門に?」

「ああ、ちょっと空中散歩に」




第二感想いただきありがとうござります。

励みになりました。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ