1
暗く長い廊下を息を切らしながら走る3人の人間。恐怖と焦りで歪んだ彼等の顔を、幽かに灯る蝋燭がぼんやりと照らす。
「出口は何処だよっ!」
3人組の1人が、苦し気に顔を顰めながらぽつりと呟く。そんな全速力で走り続ける彼等の視界の先に、やがて古い大きな扉が現れる。
「よし。取り敢えずあそこに逃げ込もうぜ!!」
先頭の男が後ろの仲間の方へ振り返り声を掛けたのだが―
「!?」
一緒に逃げていた筈の2人の姿が、忽然と消えてしまったのである。今の今まで直ぐ傍に居たのに・・・彼等は一体何処へ行ってしまったのか・・・。
まさか・・・二人共、奴等に殺られてしまったのか!?
男の顔を冷や汗がつぅ、と伝う。兎に角安全な場所に避難しようと、彼は目の前の扉を開いた。
扉を開けた先は、薄暗い不気味な部屋だった。出口や窓、もしくは隠れられる場所は無いか、恐る恐る中に入り探し始める男だったが―
「お待ちしておりました。」
目の前に突然、執事服姿の男が現れた。何者か問おうと口を開きかけた男だったが、足元から伸びてきた堅く長い木の根の様な物に縛り上げられ体の自由を奪われてしまう。
「貴方の命、この屋敷の糧として頂戴します。」
執事は淡々とした口調で一言述べると、片手を前に出しグッと力を込めた。その瞬間、縛られていた男は抗う事も出来ず絶命し、ぐったりと倒れ込んだ。
「全ては、あのお方の為に・・・。」
静かに囁かれた執事の言葉は、誰にも聞かれる事無くこの仄暗い古びた屋敷の闇の中に呑み込まれたのだった。




