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工房に戻ると、ハイネは作業場に入りガチャガチャと作業を始めた。結稀達は作業を始める前にハイネが用意してくれた紅茶とクッキーを飲んだり食べたりしながら、まったりとしていた。
「美味しい!特にこの紅茶は絶品だよ!!ハイネは紅茶を淹れるのがとても上手なんだね。」
紅茶をすすっと飲みながら、結稀はほっこり幸せそうな笑顔で語る。
「深みがあって、ほっとする味の紅茶だね。それに香りもとても良い。」
結稀の言葉を受け、クロノスも楽しそうにゆっくり紅茶に口を付けながらその味を褒める。アーシェや双子も、顔を綻ばせながら美味しそうに無言で紅茶とクッキーを堪能している。
「御主人様ハヨリ美味シイ紅茶ノ淹レ方ヲ日頃カラ研究サレテイマス。御主人様ハ紅茶ガ大好キナノデ、茶葉ヤ淹レ方ニ深イ拘リヲ持ッテオイデナノデスヨ。」
結稀やクロノスが話していると、コロンがゆらゆらと揺れながら少し高めの嬉しそうな声で答える。皆にハイネの紅茶を喜んで貰えて、コロンは御満悦の様である。
「ねぇねぇっ!!皆、力作達が完成したよっ!!見ておくれよっ!!」
皆でのんびりティータイムを満喫していると、ハイネが興奮気味にバタバタとやって来た。
「力作達?」
「あぁ。君達に合わせて魔道具をそれぞれ造ってみたんだ。」
不思議そうに首を傾げ問い掛ける結稀に自信満々の笑みを浮かべて答えると、ハイネは彼女達の前に新しく造った魔道具達を広げていった。
「先ずこの指輪はクレアとミリアに!君達が欲しがってた魔力を高める魔石で造ったんだ。」
ハイネが双子に差し出したのは、可愛らしいデザインの指輪だった。
「わぁっ、可愛い!!これ、私達の為に造ってくれたの?」
クレアが問うと、ハイネは「あぁ。良かったら貰って欲しい。」と明るく答える。双子は嬉しそうに「有難う。」と御礼を言うと、早速指輪を嵌めてみた。
「凄い・・・魔力が内側から湧き上がって来るのを感じます!!」
驚きと感動の籠った声で語られたミリアの言葉に、ハイネは誇らしそうな表情を浮かべる。
「それと、この上着はアーシェに!」
「!?俺にもあるのか?」
ハイネから上着をパッと差し出されたアーシェは、驚きに少し目を見開きながらそれを受け取る。
「君の上着、解れがあったり大分使い古されている様だったから用意したんだ。特殊な糸で織られた布で作ってあるから、かなり丈夫だよ。強力な攻撃や魔法も防ぐ事が出来る。それに、君の苦手な光属性への耐性を高めてくれる様に僕が特殊加工してあるから役に立つと思うよ。ちなみに、服のデザインは前と一緒にしてあるから。」
ハイネの説明を受け、アーシェは貰った上着に袖を通してみた。
「軽くてとても着心地が良い。感謝する、ハイネ。」
アーシェは腕を伸ばし上着をじっくり見つめた後、照れ臭そうにハイネから少し視線を逸らしながら一言礼を言った。
「この剣はクロノス用に造ってみたんだ。」
「私にまで、済まないね。」
ズイッと力強く渡された剣を受け取りながら、クロノスは申し訳無さそうに眉尻を下げる。
「この剣に君の時の魔力を込めると、剣の軌道が鋭い刃になる仕組みになってるんだ。色々応用も効くし、中々便利だと思うよ。」
自身が造った剣の性能について少し得意気に語るハイネ。そんな彼にクロノスは「凄いね。有難う、大切に使わせてもらうよ。」と優しく微笑みながら答える。
「結稀には、このブレスレットを。」
続いてハイネは、結稀に銀色の綺麗なブレスレットを差し出した。
「え!?僕も貰っちゃって良いの?」
ブレスレットを差し出され困惑する結稀に、ハイネは「勿論!」とはっきり答える。その一言を受け、結稀は「じゃあ・・・有難く頂くね。」と言っておずおずと受け取った。
「魔力を込めてみて。」
結稀が左手首にブレスレットを装着すると、ハイネがウキウキした様子で語り掛ける。結稀が彼に言われた通りにブレスレットに魔力を込めると、ブレスレットは小さなナイフの形へと変形し彼女の顔の前まで浮き上がっった。
「わぁっ!?ブレスレットがナイフになった!?」
「ナイフは君の思考に合わせて動かす方向や数、形なんかも自由に設定出来るよ。君の時を操る能力で速度も調整出来るし、大鎌と合わせれば闘い方の幅も広がると思うよ。」
ハイネの説明を受け結稀がナイフに念じてみると、ナイフは彼女の思い描いた通りにくるくると回転した。自分の思った通りにナイフが動くという不思議な感覚に感動し、結稀は「おぉ!?」と小さく歓声を上げたのだった。
「ねぇ。君達は此処を出た後どうするの?」
ハイネは明るい笑みからフッと真剣な面持ちへと表情を変え問い掛ける。結稀は彼に王都リーデンでギルドを新設しようとしている事を打ち明けた。
「へぇ!新しいギルドか・・・面白そうだね。僕も混ぜておくれよ。技師として、役に立ってみせるよ!!」
目を輝かせやる気に満ち溢れた様子で語り掛けるハイネ。コロンも彼の足下をゴロゴロ転がりながら「私モ連レテ行ッテ下サイ。」と繰り返し言っている。そんな2人の様子を受け、結稀はちらりとクロノス達へと視線を向け彼等の様子を窺ってみる。反対する者は居ない様で、皆「一緒に来ても構わないよ。」と目で答える。
「じゃあ、僕達と一緒に行こう。改めて宜しくね、ハイネ、コロン。」
結稀が2人に向かって歓迎の意を込め笑い掛けると、彼等も「宜しく!」と元気良く答える。そして2人は「早速旅の準備をしてくるよ!」と作業場の方へピュッと駆けて行った。2人が準備に向かったのを見送った後、結稀達もゆっくりと旅支度を始める。こうして、結稀達にまた頼もしい仲間が加わったのであった。




