2
空間の穴を抜けると、ごつごつした岩や木々に囲まれた自然豊かな場所に着いた。そして前方に視線を向けると、お目当ての洞窟が其処にあった。
「あの洞窟の奥に、高品質の魔石があるんだ。案内してあげるから付いて来て。」
軽く手招きしながら洞窟の方へすたすたと歩くハイネ。結稀達はそんな彼の後に付いて洞窟の中へと入る。暗い洞窟の中へ入る時、ハイネが「コロン、灯りを頼む。」と一言声を掛けると、コロンはその目を光らせ洞窟内を明るく照らす。洞窟の中を歩いていると、赤や青や黒等様々な色の石が所々に点在しているのが目に入る。
「色々な種類の石があるんだね。キラキラ光って綺麗。」
「この洞窟の大地から濃い魔力が染み出して色んな魔石が作られるんだ。この魔石は頑丈で硬いから武器や防具とか造る時によく使うんだ。それからこっちのは ― 」
手際良く魔石を採集しながら、ハイネは楽しそうに魔石について解説していく。
「この洞窟、モンスターとかは出ないんですか?今の所近くに見当たりませんけど・・・。」
ミリアがきょろきょろと辺りを見廻しながら少し不安気に問い掛ける。
「いつもはリザードとかスライムとか低級のモンスターがちょこちょこ出て来るんだけど・・・今日は妙に静かだな。洞窟内で何かあったかな?」
ハイネは不思議そうに首を傾げながら、奥へと進んで行く。慣れた様子で洞窟の中を歩くハイネの後を付いて行く結稀達だったが ―
『きゃあっ!?』
クレアとミリアの体に突如白い糸が絡み付き上へ引っ張り上げられてしまう。
「クレアッ!?ミリアッ!?」
結稀は大鎌を出現させ2人に絡まる糸をスパァンッと斬り裂いた。糸から解放された双子は、上空から地面に落ちドサッと尻餅をついてしまう。結稀達が糸が出た方に視線を向けると、天井をカサカサと巨大な蜘蛛が這うのが目に入った。
「あれは・・・ギガスパイダーか。」
「この前来た時は居なかったけど・・・短期間の間に此処のモンスター達を制圧して縄張りにしちゃったみたいだね。」
キッと蜘蛛を睨みながら呟かれたアーシェの言葉に、ハイネが落ち着いた様子で答える。警戒を強め身構える結稀達を取り囲む様に、ギガスパイダー達がうじゃうじゃ現れじりじりと彼女達に迫って行く。手前に居たギガスパイダー達は獲物を捕獲しようと結稀達に向かって蜘蛛の糸を放つ。一斉に放たれた糸を、結稀・クロノス・アーシェの3人が素早く斬り裂く。糸を斬られた蜘蛛達はカタカタと足音を立てながら結稀達に強い殺意を向ける。襲い掛かって来るギガスパイダー達に向けて、双子が水と雷の波動を放つ。ハイネも空間の穴から銃を取り出し魔力を込め一度に何十発もの弾丸を放つ。双子の波動とハイネの弾丸は周囲のギガスパイダー達を蹴散らしていくが、四方八方からまた新たなギガスパイダー達がカサカサと音を立て現れる。
「次から次に沸いてきて、限りが無いね。」
剣を振るいながら、クロノスが眉尻を下げ苦笑する。皆でギガスパイダー達を蹴散らし進んで行くが、行く手を阻む様に新たなギガスパイダー達が襲い掛かって来る。
「この道を進んで行く程に蜘蛛が多くなってる・・・。この先に、何かあるのかもしれない。」
結稀は進行方向を真剣な面持ちで見つめ一言語ると、大鎌をぐっと構える。そして鎌を大きくブゥンッと振り、目の前の蜘蛛達を一掃する。開かれた道を進もうと結稀達が駆け出したその時 ―
「ギャアアアアッ!!!」
突然洞窟全体に届く様な大きな悲鳴が響き渡った。その鬼気迫る絶叫に、一同の緊張が一気に跳ね上がる。
「この先だっ!行こうっ!!」
結稀はギガスパイダー達を斬り伏せながら、悲鳴が聞こえた方へ一直線に走り出す。そんな彼女の後を、クロノス達も急いで追い掛ける。この洞窟内で一体何が起こっているのか ― それを確かめる為、結稀達は群がる蜘蛛達を払い除け只管突き進むのだった。




