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時の契りと異世界統一  作者: 椿
第5章:魔道具技師と蜘蛛の洞窟
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 カァンカァンと鉄を打つ音やカタッカタッと機で布を織る音等が響くヒースの街。大きな道を挟み魔道具や魔武器を扱う店がズラッと並んでいる。

 「此処がヒース。並んでいる店は魔術に関する道具の店が殆どだね。」

 「ヒースは魔道具や魔武器の製造に必要な資源が豊富に採れる地域なの。だから、魔道具開発の街として発展したって訳よ!」

 きょろきょろと周囲の店を見廻しながら歩く結稀に、クレアが何故かフフンと胸を張って答える。

 「クレア達が欲しがっている魔石が手に入ると良いね。」

 クロノスがくすりと微笑みながら語り掛けると、双子が楽しそうにこくりと頷いた。そうして、暫く賑やかにお喋りしながらヒースの街の中を歩く結稀達だったが ―


 バァァンッ!!


 斜め前にある建物の扉が、柄の悪い雰囲気の数人の男と一緒に勢い良く吹っ飛んだ。

 「てめぇ・・・こっちが下手に出てりゃ良い気になりやがって・・・。調子に乗んなよ、この糞餓鬼っ!?」

 男達は悶絶しながら入口の方をギロリと睨み付ける。すると彼等が鋭い視線を向ける方から、眼鏡を掛けた青年が現れた。

 「何度来ても無駄だ。君達みたいな野蛮な荒くれ者に、僕の可愛い魔道具達は絶対渡さないよ。」

 眼鏡の青年は敵意の籠った鋭い視線で倒れる男達を見下ろし低く冷たい声で言い放つ。男はゆっくり立ち上がると、青年に向かって力一杯拳を振り上げる。しかし次の瞬間、青年の後ろから超高速でゴロゴロッと転がって来た白い物体に勢い良く腹部をタックルされ、再び吹き飛ばされてしまう。

 「御主人様ヲ傷付ケル事ハ、許シマセン。」

 転がって来た白い球体は、青年の前に庇う様に立つと、男達に向けて機械的な声音で一言語る。

 「舐めた態度とりやがって・・・ぶっ殺してやるっ!!」

 怒りで顔を真っ赤にした男は、片手を荒々しくバンッと地面に着ける。すると土で出来た大きな人形達が沢山出現し、青年と白い球体に向かって一斉に襲い掛かろうとした。

 2人が危ない!

 結稀は大鎌を出現させると、土人形達に向かって勢い良く駆け出した。そして瞬時に接近すると、土人形達を目にも留まらぬ速さでスパァンッと全て斬り裂いたのだった。

 「なっ・・・何者だてめぇっ!!」

 突然の乱入者に男達は目を見開いて困惑の表情を浮かべる。クロノス達も駆け寄り結稀達から威圧の籠った目を向けられ、男達は後退りしながらたじろぐ。

 「ちぃっ。今回はこれで勘弁してやるけどなぁ・・・次は唯じゃおかねぇからなっ!!」

 男は捨て台詞を吐くと、仲間を連れて脱兎の如く逃げて行った。男達が去って行くのを見届けた結稀は、眼鏡の青年に怪我が無いか問い掛けようとしたのだが ―

 「ねぇっ!!その大鎌、時の魔力が込められているのかい?珍しい魔武器だね。どんな造りになっているんだい?どうやって出現させてるの?僕にもじっくり見せておくれよ!!」

 青年が結稀にズイズイッと詰め寄り怒涛の勢いで(まく)し立てる様に問い掛ける。目をキラキラさせながら鼻息を荒くしてグイグイ迫る青年に、結稀はどう対応して良いか分からず言葉も出せずに居た。

 「気を付けろ、結稀!!此奴変態だっ!!」

 興奮した様子の青年に危険を感じたアーシェは素早く結稀を彼から引き離す。アーシェがウ゛ゥ゛ーッと凄まじい剣幕で威嚇するが、青年はそんな彼の事はこれっぽっちも気に留めず結稀に向かって「ちょっとで良いからぁ~。お願いだよぉ~。」と両手を合わせ只管(ひたすら)訴えかけている。

 「結稀・・・大鎌を見るまで、彼はずっと懇願してくると思うよ。」

 「うん・・・僕もそう思う。」

 必死に御願いしてくる青年に視線を向けながら、クロノスと結稀は苦笑しつつ言葉を交わす。結稀は青年の方へ歩み寄ると、大鎌をスッと差し出した。

 「あの・・・大鎌、見ても良いよ。どうぞ。」

 「本当っ!?やったぁ!!有難うっ!!」

 青年はパァッと顔を綻ばせると、大鎌を受け取り食い入る様に見つめ観察を始めたのだった。

 「見た事無いけど、かなり丈夫な素材だね。どうやら、君の時の魔力が具現化して形を成した物みたいだね・・・。」

 真剣な面持ちでぶつぶつと小さな声で独り言を呟きながら、青年は大鎌をじっくり調べていく。楽しそうに大鎌を観察する青年を、結稀達は静かに見守るのだった。



 「つい我を忘れちゃって御免ね。僕、魔道具や魔武器の事になると周りが見えなくなっちゃう(たち)でね。それにさっきは助けてくれて有難う。僕はハイネ・ツァーンラート。魔道具や魔武器を造るエンジニアだよ。こっちは自律型魔動ロボットのコロン。宜しくね。」

 大鎌を十分に観察し尽くした後ハイネは結稀達を工房に招くと、満足そうな笑顔を浮かべながら名乗る。紹介されたコロンも、嬉しそうにコロコロと結稀達の周りを転がった。

 「“コロン”って響きが可愛くて素敵な名前だね。」

 結稀がにこっと微笑んで優しく撫でると、コロンは照れながら結稀に少しすりすりした。

 「この子は丸くてコロコロ転がるのが好きだから、“コロン”って名前にしたんだ。」

 コロンを抱き上げ名の由来を語るハイネの言葉に、アーシェは誰にも聞こえない小さな声で「そのまんまだな。」と呟くのだった。そんな風に話をしていると、結稀はふと1つ気になっていた事を問い掛けた。

 「ところで、さっきの人達とはどうして揉めてたの?」

 「奴等は此処ら辺で活動してるハンターなんだけど・・・周囲の人に乱暴するわ、略奪行為もするわのどうしようもない連中でね。僕の造る魔道具や魔武器を寄こせってしつこく言ってくるのを断固拒否してたら工房内で暴れようとしたんだ。だから吹っ飛ばして返り討ちにしてたって訳。あんな奴等に、僕の大事な魔道具達を指1本でも触らせてたまるかってんだ!!」

 男達に対する怒りを込め拳をギュッと握るハイネ。その姿に、結稀は彼の魔武器・魔道具に対する深い愛を感じたのだった。

 「そういえば、君達はヒースには何をしに?」

 ふと思い立った様に問い掛けるハイネに、クレアが「実はね!」と元気良く口を開く。

 「私達は魔力を高める魔石を手に入れる為にこの街に来たの!!」

 「私達、魔術を極める為にどうしてもその魔石が欲しいんです!!」

 クレアとミリアが目をキラリと輝かせながら語る言葉に、ハイネは「魔石か・・・」と小さく呟く。そして一瞬間を置いた後、彼は双子の方へ視線を向けた。

 「魔石のある場所なら、知ってるよ。丁度僕も足りない素材を調達しに行こうと思ってたし、良かったら連れてっ行ってあげるよ。」

 思いがけないハイネの提案に、クレアとミリアは「良いのっ!?」と驚きと喜びをその表情に滲ませ反応する。

 「うん。僕の魔法を使えば、魔石の採れる洞窟に直ぐ行けるよ。」

 ハイネがこくりと頷きそう語ると、双子は「やった!!じゃあ皆でその洞窟に行きましょう!!」とやる気満々な様子を見せる。

 「ハイネ、案内御願い出来るかな?」

 「勿論。善は急げだ。早速行こう!!」

 結稀がハイネに頼むと、彼はニッと笑みを浮かべ片手を前に翳す。すると彼の前に空間の穴が現れる。

 「さぁ。あれを(くぐ)れば洞窟だよ。」

 ハイネは結稀達の方に振り返り一言述べると、真っ直ぐ空間の穴の方へ入って行った。結稀達は互いに目配せをすると、彼の後を追い魔石を求めて空間の穴の中へ飛び込んで行ったのだった。



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