3
結稀達と別れたクレアとミリアは、軽快な足取りで長閑な道を進んで行くのだった。
「とても面白い人達だったわね。また旅の途中で結稀達に会えると良いわね。」
「はい。また皆でお喋りに花を咲かせたいですね。」
笑い合いながら一歩一歩進んで行く2人。暫く歩き続けていたクレアとミリアだったが、2人はぴたりと足を止めてしまう。
「クレア・・・どっちに行けば良いのでしょう?」
ミリアは目の前の2つの道を交互に見ながら、困った様に眉尻を下げる。1つの道は前方に真っ直ぐ伸びた道。もう1つは、囲まれた柵に一カ所空いている隙間から森の方へと入って行く道である。
「こっちに行きましょう!!」
クレアは森の方の道をビシッと指差しながら、ミリアの手を引きズンズンと力強く歩を進めていく。2人は生い茂る木々を掻き分け森の奥へと入って行く。
ガサガサッ
前方から聞こえた物音にピクッと反応し歩を止めるクレアとミリア。警戒する2人の目の前にぬるりと現れたのは、数匹のスライムだった。
「スライムなんか、私の電撃でやっつけてやるわ!!」
クレアは魔法で作り出した2本の短刀を両手に構え、更に両足にも雷の刃を出現させ、スライムに向けて走り出した。彼女はスライムの目の前まで距離を詰めると、雷の刃でスライム達に斬撃を喰らわせる。雷の刃を受けやっつけられたかに見えたスライム達だったが ―
「!?」
スライムはクレアの雷の魔力を吸収し、斬られた体はそれぞれ再生し、スライムの数が何倍にも増えたのである。クレアは雷の刃を解除し、今度は己の中の雷の魔力を集中させる。ミリアも己の頭上に大きな水の塊を出現させる。クレアとミリアは同時に雷と水の弾丸を沢山のスライム達に向けて放つ。しかし2人が放った魔術の弾丸も全てスライムの体内に吸収されてしまう。
「ミリア!こうなったら、最大火力の合わせ技でいくわよ!!」
「はいっ!!」
ミリアは周りを取り囲むスライム達を巨大な水の渦に呑み込ませその中に閉じ込める。クレアはその水の渦に向けて全力を込めた強烈な電撃魔法を放つ。彼女の雷はドォォンッという低く響く音を伴い水の渦とぶつかり鋭く光る閃光となって水の魔法と融合する。しかし水と雷の凄まじい威力の合わせ技もスライムには効かず、その数は更に増加していった。莫大な数のスライム達は2人へと一斉に飛び掛かり彼女達の体に次々と絡み付いていく。
「きゃあっ!」
「このっ・・・離れなさいよ!!」
2人は纏わり付き体の自由を奪っていくスライム達を払い除けようとそれぞれ水の魔力と雷の魔力をスライムへ向けて放つが、スライムは離れようとせず触れた部分から大量の魔力を吸い取っていく。
「くっ・・・。」
何とか体を動かし絡み付くスライムから逃れようとする2人だったが、ぴくりとも動かない。身動きの取れない2人に、スライム達が次から次へと纏わり付き彼女達を飲み込んでいく。
「ミ・・・リア・・・」
「クレ・・・ア・・・」
互いに手を伸ばそうとする2人を、スライム達が阻む。窮地に抗おうとする2人だったが、容赦無く押し寄せ纏わり付いて来るスライム達の群れに、成す術無く呑み込まれていくのだった。




