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「ねぇ見てみて、クロノス、アーシェ!お魚採れたよっ!!」
透明な水を跳ねながら、結稀が大きな魚を掲げ嬉しそうに2人に語り掛ける。山道の途中にある大きな湖。結稀はこの透き通る綺麗な湖で、生まれて初めての魚捕りに挑戦していた。
「でかいな!こっちも捕れたぞ。」
アーシェは目にも留まらぬ手捌きで次々に魚を上空へ跳ね上げながら、結稀の方へ振り向く。彼の両手は途端に大量の魚で一杯になる。
「ははっ、2人共大漁だね。薪も用意出来たし、そろそろ準備して焼いていこうか。」
火を焼べながら笑顔で語り掛けるクロノスに、2人はこくりと頷き湖から上がる。2人はクロノスの傍に腰掛けると、一緒に調理を始める。
「あっ、そうだアーシェ。そろそろ血が必要なんじゃない?」
串に刺した魚を焼きながら、結稀はふと思い出した様にアーシェに語り掛ける。そして彼女は小さなナイフで左手の平をシュッと斬り裂き血を出すと、アーシェにスッと差し出した。
「・・・いつも痛い思いをさせて済まない。」
眉尻を下げ申し訳無さそうに語るアーシェに、結稀はにっこり笑い掛けながら「こんなの全然痛くないよ。気にしないで。」と答える。アーシェは「有難う、結稀。戴きます。」と小さく述べ、彼女の手を取りその手の中に溜まる血をこくりと飲む。そうして結稀に血を分けて貰っていたアーシェだったが ―
「その娘から離れなさいっ!!」
突如傍の森から金髪の少女が飛び出して来て、雷を纏った蹴りをアーシェに向けて仕掛けてきた。アーシェは少女の蹴りを片腕で受け止めると、強く少女を突き飛ばし数歩後ろへ下がった。アーシェと金髪の少女が攻防を繰り広げている間に、森の方からもう1人金髪の少女とそっくりな顔立ちの青い髪の少女が現れ結稀の前に庇う様に立つ。
「もう大丈夫ですよ。私達が貴女を助けますから!!」
「え!?助けるって誰から?」
青い髪の少女の言葉に結稀が困惑していると、少女は前に手を翳し水の弾丸をアーシェに向けて放った。アーシェは黒い刃で水の弾丸をパァンと弾き、乱入者の2人の少女に鋭い視線を向ける。
「お前達は何者だ?何故攻撃してくる?」
警戒と威圧を強め問い掛けるアーシェ。金髪の少女は彼の威圧にも臆する事無くキッと彼を睨み返す。
「私達は通りすがりの魔術師よ!あんたがあの女の子を襲っているのを偶然見かけて助けに来たのよ!!」
金髪の少女はグッと大地を踏み締め腕を組むと、アーシェに向かって力強い大きな声で答える。
「は?誰が、誰を襲ったって?」
予想外の答えに、アーシェは片方の眉をくいっと上げ間の抜けた声を出してしまう。
「惚けても無駄よ!!この目でしっかり見たんだからっ!!」
金髪の少女は両手に雷の剣を出現させ、アーシェに向けてブゥンッと勢い良く振るった。アーシェも少女を迎え撃とうと黒い刃を作り出し構える。2人の刃が交わろうとしたその直前 ―
「2人共、ストップ!!」
結稀の大きな声が湖に響き渡り、アーシェと少女の動きが彼女の時を操る力によって一度ピタリと止まる。
「あの、僕を心配してくれたのは有難いんだけど・・・僕は襲われてなんかないよ。アーシェは僕の仲間で、血を分けてあげてただけなんだ。誤解させて御免ね。」
2人の誤解を解こうと、結稀は簡潔に説明する。結稀の言葉に、2人はゆっくりと視線を彼女の方へ向ける。
「嘘!?襲われてたんじゃなかったの!?」
「私達の早とちりだったんですか!?」
2人は目を見開いて驚きながら、構えていた雷の刃と水の弾丸を解除する。何とか誤解が解けて結稀がほっと安堵の息を吐いていると ―
ぐうぅぅぅ~~~~~~
2人の少女の御腹から大きな音が鳴ったと思ったら、2人はふらりとその場に倒れてしまった。
「だっ、大丈夫?」
3人が少女達の傍に近寄ると、2人は小さな声で呟いた。
「お・・・御腹空いた・・・。」
「もう、力が入りません・・・。」
そんな彼女達の小さな呟きに、眉尻を下げる3人なのだった。




