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時の契りと異世界統一  作者: 椿
第3章:迷宮 ― ダンジョン ―
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 「アーシェ!クロノス!何処~?・・・ん~、返事が聞こえない。2人から大分離れた所に飛ばされちゃったみたい。」

 きょろきょろと辺りを見廻し様子を窺う結稀。しかし付近に2人の気配は全く感じられず、完全に孤立状態となっている。結稀は2人を捜す為、気配を探りながらダンジョンの中を歩き始めた。すると進み始めた彼女の前に、ゾンビの群れと硬い土の体を持つ大きなゴーレムの集団が立ちはだかる。

 「悪いけど・・・先に進ませて貰うよ。」

 結稀は大鎌を構えキッと一度魔物達に鋭い視線を向けると、ダッと力強く駆け出した。結稀は時の流れを操作し凄まじい速度でゾンビやゴーレム達に接近し斬り裂いていった。次々と襲い掛かる魔物達を蹴散らし前へ進んで行く結稀。そんな彼女に、今度はダンジョンのトラップの斬撃が様々な方向から襲い掛かって来る。結稀は斬撃をひらりと(かわ)したり、大鎌で弾いたりしながら走る速度を更に速めていく。暫く走り続けた結稀だったが、大きな扉の前に辿り着きふと立ち止まる。

 他の扉と明らかに違う。大きいし、造りも頑丈で凝ってる。・・・もしかしたら、この部屋にダンジョンの出口があったりして。

 結稀は扉に手を掛け、ゆっくりと開いた。扉の奥には広々とした空間があり、その中にうねうねと長く硬い体節を持つ大百足が沢山(うごめ)いていた。そしてその更に奥には黒い鱗と9つの長い首を持った大蛇ヒドラが居て此方をじとりと睨んでいた。

 ・・・此処のダンジョンのボスかな。僕1人だけど・・・まぁ、何とかなるか。

 結稀はふっと息を吐き一呼吸間を置いた後、部屋の中のヒドラへと向かって一直線に駆け抜けて行く。硬い体を巻き付けたり、叩き付けようとしてくる大百足達を斬り裂いたり、躱したりしながら結稀は更に加速していく。そしてヒドラの目の前まで接近し、大鎌をブンッと大きく振り首を幾つか斬り落とした結稀だったが ―

 「う゛っ・・・!?」

 斬り裂いた時にヒドラの体液が腕に少しかかり、その毒によって皮膚が紅く(ただ)れてしまう。その毒は体内を巡って行き、彼女の全身を激しい痛みが襲う。更に斬り落とされた首をあっと言う間に再生させたヒドラは、毒で一瞬動きを止めた結稀にその鋭い牙を突き立てようと襲い掛かった。結稀は時を止めヒドラから距離を取ると、毒に侵された己の時を抜き取り回復した。

 体内の毒に、高い再生能力・・・少々厄介だけど、この蛇を倒せばダンジョンを出られるかもしれない。

 結稀はブゥンッと振り下ろされる蛇の尾を躱しながら、大鎌をギュッと握り直す。そして再びヒドラに接近すると、もう一度首の1つを斬り裂いた。そして再生しようとするヒドラの体の時を止め、更に二度、三度とヒドラを斬り裂いていく。時の流れを操作し自身の動きを加速させながら凄まじい速さで1つ、また1つと首を斬り落としていく。次々と繰り出されていく結稀の斬撃を、ヒドラは成す術無く全身に喰らい続け、傷を再生出来ずに深いダメージを負っていく。

 「はぁぁっ!!」

 結稀は力を込め、スパァンッとヒドラの最後の首を切断する。止めの一撃を受けたヒドラは「ギャアアアッ!!」と耳を劈く様な断末魔の声を上げた後、息絶えて消滅したのだった。ヒドラに止めを刺した結稀が着地すると、周りに残っていた多数の大百足達が彼女に向かって一斉に飛び掛かっていった。結稀が大百足達を撃退する為大鎌を振ろうとしたその時 ―


 ズドォォンッ


 白く光り輝く斬撃が放たれ、結稀の周りに居た大百足達を斬り裂き一網打尽にしたのだった。結稀が斬撃の放たれた方に振り向くと、其処には大きな剣を握っている金色の髪の騎士が立っていた。その後ろに沢山の騎士達が控えている。

 「助けてくれて、有難う御座います。」

 「あぁ、君に怪我が無くて何よりだ。」

 結稀がぺこりと頭を下げ御礼を言うと、騎士は爽やかな笑顔を浮かべ答えた。そして彼はその後少し不思議そうに首を傾げた。

 「それより、何故君はこの様な所に1人で?」

 「実は仲間と逸れちゃって・・・。銀髪の男性と黒髪の少年なんですけど・・・見かけませんでしたか?」

 結稀の問い掛けに、騎士は済まなさそうに眉尻を下げ「いや・・・申し訳無いが、君の御仲間とは会っていないな。」と答えた。

 ・・・二人共、何処に居るんだろう?

 逸れた2人の事が気に掛かり表情を曇らせる結稀。そんな彼女に追い討ちを掛ける様に、大百足やゾンビ、ゴーレムまで押し寄せ、結稀や騎士達を取り囲む。モンスター達と闘おうと皆が武器を構えた時 ―

 上からある気配を感知し、結稀はパッと天井を見上げる。すると天井が黒い刃にスパッと斬られドォォンッという重い大きな音を立て落ちてきた。そしてその落ちてきた天井と共に現れたよく見知った姿を目にし、結稀の顔にはパァッと明るい笑顔が浮かんだのだった。



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