第7話 夏希の才能とステータス
何話か書き溜めしているので、基本的には1日、1、2話投稿しようと思います!
出し切ったらゆっくり1日1話か2日で1話出そうと思うので良ければ見てってください。
ポップスライムを倒した余韻が残る中、俺は隣を歩く夏希に声をかけた。
「まずは、夏希さんのステータスを見せてもらいたい。それから、どんなスキルを持っているのか、何が足りないのかを一緒に考えようと思ってる」
「なるほどね。確かに、私も自分の実力がどれくらいなのか、ちゃんと把握できてるわけじゃないし」
「レベルを上げるだけじゃなくて、スキルを鍛える。そうしなければ、同じレベルでも雲泥の差になってしまう」
「じゃあ、明日はスキルの修行になるってこと?」
「ああ。今の実力を確認して、それから何を鍛えるべきか決めよう」
夏希は少し考えたあと、納得したように頷いた。
「分かった。じゃあ、明日もよろしくね」
「ああ、無理はしないで少しずつやっていこう」
そう約束して、俺たちはそれぞれの帰路についた。
明日からは夏希も本格的に鍛えていく。
『お前もまだひよっこなのに鍛えるなんて傲慢だぞ?』
「良いんだよ、お前の声は聞こえないんだから」
『まぁ、人に教えて気が付くこともあるし良いんじゃねぇの?せんせー』
「……」
ただ、その前に片付けておかなければならないことがある。
この揶揄ってくる傲慢をぶちのめす事じゃない。
家族との話だ。
家に帰ると、両親はすでに帰宅していた。
「ただいま」
「おかえり、駿。今日はどうだった?」
母さんがいつも通りに迎えてくれる。
俺は少し迷ったあと、リビングにいる父さんにも聞こえるように口を開いた。
「……今日、ダンジョンの五階層まで行ってきた」
「五階層? もうそこまで進んだのか?」
父さんがこちらを向いた。
中学校で教師をしている父さんは、普段から物事を順序立てて考える人だ。
俺が何かを言っても、根拠がなければ簡単には納得してくれない。
昔から、父さんに理屈を並べられると、俺は何も言い返せなくなってしまうことが多かった。
だから、今回も少し緊張していた。
それでも、今日は逃げたくなかった。
「……五階層のボスを倒したんだ」
「ボスを?」
俺は小さく頷き、ステータスを表示した。
空中に青白いホログラムが浮かび上がる。
そこには、今日の戦闘を経て成長した俺のステータスが表示されていた。
「レベルも上がったし、ステータスもかなり伸びた。スキルも成長してる」
父さんは黙ってホログラムに目を向けた。
表示された数字を一つずつ確認している。
その表情は、いつも授業で生徒の答案を確認しているときに似ていた。
「……確かに、一般的なレベル2の冒険者ステータスより高いな」
「実際に戦ってみて分かったこともある。レベルだけじゃなくて、スキルを鍛えることも大事なんだって」
父さんの目を見て話すのは、やっぱり苦手だ。
下に自然と目が行ってしまう。
『何下向いてんだ、お前はこの世界で最強になる為の土台を作ったんだぞ?自信を持て。前を見ろ』
「……」
そうだ。目の前に表示されているステータスは、俺が実際に戦って得た結果だった。
誰かに与えられたものじゃない。
自分で行動して、自分で手に入れたものだ。
「俺は、これからも探索者を続けたい」
声が少しだけ震えた。
それでも、今度は言葉を止めなかった。
「もちろん、危険なのは分かってる。今日だって、簡単に勝てたわけじゃない。でも、ちゃんと準備して、実力をつけていけば、戦えるようになると思うんだ」
「駿……」
「だから、何も考えずに突っ込むつもりはない。自分の実力を把握して、無理をしない範囲で少しずつ強くなっていく」
そこで、ようやく父さんの顔を見た。
「俺は、探索者としてやっていきたいんだ」
父さんはしばらく黙っていた。
やがて、表示されたステータスから目を離し、俺に向き直った。
「……お前が自分で考え、準備をしていることは分かった」
予想していた反論がすぐには返ってこなかった。
「ただし、ステータスが高くなったからといって、危険がなくなるわけじゃない。自分の能力を過信するな。勝てる相手かどうかを判断することも、探索者に必要な能力だ」
「……うん」
「そして、必ず無事に帰ってこい。親としては、それが一番大事なんだ」
厳しい口調だった。
けれど、そこにあったのは俺を否定する気持ちではなく、心配する気持ちだった。
「分かった。無茶はしない。ちゃんと考えて行動するよ」
「ならいい」
父さんは短く答えた。
全面的に賛成してくれたわけではない。
それでも、自分の意思を伝えることはできた。
それだけで、少しだけ胸のつかえが取れた気がした。
「私は、駿が自分で決めたことなら応援したいなぁ」
母さんが柔らかく微笑んだ。
「もちろん、心配はするけどね。でも、ちゃんと無理しないで頑張るつもりなんでしょう?」
「……うん」
「だったら、無事に帰ってくること。それだけは約束してねぇ」
「分かった。約束する」
母さんの言葉に頷く。
父さんも母さんも、俺のことを心配してくれている。
それは分かっていた。
ただ、今までは、その心配に対して自分の意思をうまく伝えられなかった。
今日は違った。
まだ少し怖いけれど、自分の言葉で話すことができた。
それだけでも、俺にとっては大きな一歩だった。
翌朝。
俺はいつもより少し早く起き、身支度を整えた。
今日から夏希と一緒に修行を始める。
そのことを考えると、自然と気持ちが引き締まった。
リビングに向かうと、両親が朝食を取っていた。
「おはよう」
「おはよう、駿。今日は早いな」
「うん。今日は夏希って子とダンジョンに行くんだ」
「なるほど、女の子か?駿もそんな歳なのか」
「そういうのじゃないって」
『嘘つけ、あんな可愛い子ワンチャン狙いしてるだろ』
(うるさいぞ)
俺は朝食を済ませ、荷物を確認する。
忘れ物は無さそうだ。
「それじゃ、行ってくる」
「気をつけてな」
「いってらっしゃい。無理しないでね」
「うん。行ってきます」
今度は、ためらわずに言えた。
扉を開け、外へ出る。
昨日までとは少し違う気持ちで、俺はダンジョンへと向かった。
待ち合わせ場所に着くと、夏希はすでに来ていた。
「おはよう、駿!」
「おはよう。早いな」
「そっちこそ!で、今日は何から始めるの?」
「まずはダンジョンに入って、夏希さんのステータスを確認させてほしい。それから、実際に動いているところを見て、何を鍛えるか決めたいんだ」
「分かった!じゃあ、よろしく」
俺たちはダンジョンへと入った。
安全を確保できる場所まで進み、周囲に注意を払いながら立ち止まる。
「じゃあ、ステータスを見せてもらってもいいか?」
「うん」
夏希がステータスを表示すると、俺の目の前に半透明のホログラムが浮かび上がった。
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佐々木 夏希 Lv:3 次のLvまでExp10
見習い冒険者
HP :32/32
MP :27/27
筋力 :9
耐久 :8
魔防 :13
敏捷 :8
器用 :11
知力 :9
魅力 :15
幸運 :7
固有スキル
【未来テープ】Lv1
戦闘系スキル
【回避】Lv1
魔法系スキル
無し
耐性系スキル
無し
生産系スキル
無し
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「レベルは3か。ステータスは平均的だな。レベル固有スキル意外にスキルがあるのは」
「うん。でも、スキルは【回避】しかないんだよね」
「固有スキルの【未来テープ】もあるだろ?未来を見たって言ってたが、どんな能力なんだ?」
「それが、まだよく分からないんだ。今のところ、はっきりした使い方も分かってなくて」
夏希少し困った顔をして照れくさそうに答えた。
「そっか。なら、今は使えるようになっているスキルを鍛えながら、少しずつ調べていくしかないな」
レベル3という数字だけを見れば、俺よりも高いくらいだ。
けれど、ステータスの内訳はかなり違っていた。
筋力や敏捷はそれほど高くない一方で、魔防や魅力は目を引く数値になっている。
「魔法防御が高いんだな。それに、魅力も」
「そうなの? 自分の数字を見ても、どれくらいすごいのかよく分からないんだよね。私の可愛さからすると、魔法に対してかなり強いってことなんじゃない?」
えっへん、と効果音が出るのではないかると思うポーズを取りそう言った。
「まぁ確かに、夏希さんくらい可愛くてこの数値なら、そうかもね。一般的な数値と比べてみないと、どこが優れているのか分かりにくいけど」
ステータスを上げるためにも、先ずは使えるスキルを増やして伸ばしていくべきだ。
「とりあえず、今の夏希さんなら【回避】を活かしながら、剣を使えるような接近戦スタイルが良さそうだな?俺と被る部分はあるけど俺はそのうち前中衛になろうと思うからな」
「剣かぁ。使ってはいるけど、本格的に練習したことはないんだよね」
「だったら、ちょうどいい。まずは素振りから始めよう」
「やっぱり、そこからなんだ」
夏希は少し苦笑した。
「地味だと思うか?」
「ううん。必要なのは分かるよ。でも、素振りだけで本当に強くなれるのかなって」
「素振りだけで全部が身につくわけじゃない。けど、剣を思い通りに扱えなければ、実戦でも苦労するはずだ」
「なるほどね。じゃあ、まずは基本を身につけて、そのあと実戦で試してみよう!」
「ああ、そうしよう」
方針が決まった。
「よし。それじゃあ、今日から三日間、しっかり鍛えていこう」
「うん。よろしくね、駿」
修行初日。
俺たちは安全を確保できる場所を選び、まずは剣の素振りから始めた。
目標は初級剣術の獲得。
適度に休憩を挟みながら、正しい動きを身につけることを優先する。
「まずは剣を構えて、ゆっくり振り下ろしてみてくれ」
「こう?」
夏希が剣を振る。
剣先は少しぶれていたものの、構えそのものは様になっている気がする。
『悪くないが、剣先がブレブレだ、振り下ろす時に下ろした先を見てない、力で振り下ろすんじゃなくて遠心力を使うんだ。肩の力を抜かせて前を向かせろ』
俺の修行の時はそこまでしっかり説明されてたか?と思いつつ言われた指摘を夏希に伝える。
「悪くないな。でも、振り終わったときに肩に力が入りすぎてる。もう少し自然に構え直せるように意識して、相手がいる位置をしっかり見つめて振ろう」
「力を抜く、相手を見る、か……」
夏希は剣を構え直した。
今度は、振り終わった後の姿勢まで意識している。
最初の数回はぎこちなかったが、繰り返すうちに少しずつ動きが安定していった。
「どうだ?」
「うーん……。さっきよりは振りやすくなった気がする」
「それなら、その感覚を忘れないようにしよう」
俺も自分の経験を思い出し傲慢の声も聞きながら、気づいたことを伝えていく。
とはいえ、俺のやり方が夏希にもそのまま通用するとは限らない。
夏希がやりにくそうにしているときは、別の方法も試してみる。
「私は、こっちの方が振りやすいかも?」
夏希が自分で構えを変えた。
「確かに、その方が体の軸がぶれてないように見えるな」
「でしょ?」
「じゃあ、しばらくそれで試してみよう。ただし、振り終わった後にすぐ次の動きに移れるかも確認してくれ」
『何先生面してんだお前』
(うるさい)
「分かった!」
夏希は再び剣を振り始めた。
俺が教えたことをそのまま真似するのではなく、自分に合ったやり方を探している。
それは、いい傾向だと思った。
俺たちは休憩を挟みながら、素振りを続けた。
同じ動作の繰り返しではあるが、少しずつ違いが見えてくる。
剣先のぶれが減り、振り終わった後の姿勢も安定してきた。
やがて、夏希の視界にステータスの通知が現れた。
「……あっ!」
「どうした?」
「スキルが増えた!」
俺は夏希のステータスを確認した。
そこには、新しいスキルが表示されていた。
NEW【初級剣術】Lv1
「たった一日で習得するなんてな」
「やった……! 本当にスキルになるんだね」
夏希は嬉しそうに、自分の剣を見つめていた。
「これで、少しは剣士らしくなったかな?」
「少なくとも、最初よりは成長してるよ」
「よろしい!40点の返しです」
「赤点ギリギリじゃない?」
そんなやり取りをしながらも、俺たちは練習を続けた。
初級剣術を習得できたからといって、すぐに剣を使いこなせるわけじゃない。
スキルを得たことで、ここからさらに技術を磨いていく必要がある。
そのことを夏希も理解しているようだった。
二日目。
この日は、回避の練習を中心に行うことにした。
夏希には、すでに【回避】Lv1がある。
ならば、そのスキルを活かしながら、攻撃を避けた後の動きまで身につけたい。
「夏希、今日は回避の練習だ。まずは相手の動きを見て、攻撃が来る方向を予測してみよう」
「攻撃が来てから避けるんじゃなくて?」
「それだと、反応が遅れることがあるからな。相手の動きを見て、次に何をしてくるか考えるんだ」
「なるほど……。やってみるね」
俺たちは普通のスライムを相手に、攻撃を避ける練習を始めた。
最初は、攻撃が来てから大きく動いて避けていた。
それでも攻撃には当たらなかったが、避けた後に体勢が崩れてしまうことが多い。
『避けすぎだ、半身ずらせば避けれる。相手の間合いをしっかり見させろ。次への攻撃が繋がらない』
「今のは避けられたけど、その後すぐ反撃出来なかったな」
「うん。避けることに集中しすぎて、次のことまで考えられなかった」
「じゃあ、次は避けた後、反撃する意識してみよう。それと、間合いをしっかり意識して避けよう、スライムは精々バレーボールサイズ、大袈裟に避けなくても1歩ズレるだけで良いんだ」
「分かった」
再び、スライムが攻撃してくる。
夏希は相手の動きを観察し、必要な分だけ体を動かした。
大きく飛び退くのではなく、攻撃が当たらない位置へと移動する。
そして、体勢を崩さずに剣を構え直した。
「おっ、今のはよかったな」
「本当?」
「ああ。避けた後も、ちゃんと次の動きにつなげられていた」
「そっか……。逃げるように避けるんじゃなくて、攻撃が当たらない位置に移動するって考えればいいんだね」
「そういうことだ」
夏希は納得したように頷いた。
夏希の【回避】は、すでにスキルとして習得している。
俺が教えるのは、スキルを戦闘の中でどう活かすかという部分だ。
そして、それは俺にとっても勉強になる。
「ねえ、駿」
「ん?」
「回避した後って、必ず反撃しなきゃいけないのかな?」
「いや、そんなことはないと思うけど……」
「相手の攻撃が強かったら、反撃するより距離を取った方がいいこともあるよね?」
『言い返されてるじゃねぇか、だっせぇな』
(お前なぁ……)
俺は少し考えた。
「……確かに、そうだな」
攻撃を避けた後、反撃することばかり考えていた。
けれど、相手の強さや間合い、状況によっては、無理に攻撃する必要はない。
まずは安全な位置を確保することが大切な場合もある。
「夏希の言う通りだ。避けた後にどう動くかは、相手や状況によって変えた方がいいな」
「よかった。私も、まだ戦ったことがない相手ばかりだから、実際にどうなるかは分からないけどね」
「それでも、そうやって考えることは大事だと思う」
俺たちは互いに頷いた。
修行というと、俺が一方的に教えるような形を想像していた。
けれど、実際には違う。
夏希の考えを聞くことで、俺自身も戦い方を見直すことができる。
それは、仲間として一緒に成長していくということなのかもしれない。
三日目。
この日は、受け流しの練習を中心に行うことにした。
回避だけではなく、相手の攻撃をそらす技術も身につける事で、かなり攻めやすくなるだろう。
「今日は、相手の攻撃を受け流す練習だ」
「受け止めるんじゃなくて、攻撃の方向を変えるんだよね?」
「ああ。力で真正面から止めようとすると、体勢を崩すことがある。だから、相手の動きに合わせて軌道をずらすんだ」
「分かった。やってみる」
夏希は剣を構えた。
スライムが攻撃してくる。
夏希は剣を合わせようとしたが、タイミングが合わず、剣の腹にスライムがぶつかる。
「うわっ……難しいね、これ」
「最初はそんなものだよ。相手の動きを見て、どこに剣を当てれば受け流せるか考えないといけないからな」
「剣を出すのが遅かったのかな?」
「いや、剣は間に合っていた。角度の問題だな」
「なるほど……角度が大切なんだね」
夏希はもう一度、剣を構えた。
今度は、スライムの動きをよく観察している。
どの方向から攻撃が来るのかを見極め、剣の角度も、それに合わせて何度も調整する。
もちろん、毎回うまくいくわけではない。
タイミングがずれることもあれば、剣の角度が悪く、攻撃をそらせないこともある。
それでも、夏希は失敗するたびに原因を考え、次の動きに活かしていた。
「……今の、ちゃんと受け流せた気がする!」
「ああ、今のはよかったと思う。」
「やった!」
夏希が嬉しそうに笑う。
その表情を見て、俺も自然と笑みがこぼれた。
三日間の修行で、夏希は少しずつ変わってきている。
剣を振る動作だけではない。
自分で考え、俺が教えた以上に学んで成長している。剣単体のなら俺より優秀かもしれない。
今回の修行で得られたものは大きい。想像以上で俺自身引いているくらいだ。
三日間の修行を終え、俺たちは最後にこれまでの動きを確認することにした。
素振りで身につけた剣の扱い。
【回避】を活かした身のこなし。
そして、少しずつ形になってきた受け流し。
それぞれを組み合わせ、実戦を想定して動いてみる。
修行を終えた夏希のステータスを確認した。
空中に浮かぶホログラムには、三日間の努力を示す変化が記録されていた。
─────────────────────
佐々木 夏希 Lv:3 次のLvまでExp10
見習い冒険者
HP :32/32
MP :27/27
筋力 :9
耐久 :8
魔防 :13
敏捷 :8
器用 :11
知力 :9
魅力 :15
幸運 :7
固有スキル
【未来テープ】
戦闘系スキル
【回避】Lv1➤3
NEW【初級剣術】Lv2
NEW【受け流し】Lv1
魔法系スキル
無し
耐性系スキル
無し
生産系スキル
無し
─────────────────────
「おお……! スキルのレベルが上がってる!」
夏希が目を輝かせた。
「ああ。【回避】はLv3、【初級剣術】もLv2か。三日間の練習が、ちゃんと成果になったな」
「それに、【受け流し】も覚えられたよ!」
「これなら、戦い方の選択肢も増えそうだな」
もちろん、スキルのレベルが上がったからといって、すぐに強敵と渡り合えるわけじゃない。
それでも、三日前とは違う。確かに、大きく前進している。
「次は、実際の戦闘でどこまでできるか確かめよう」
「うん」
夏希は剣を握り直した。
三日間の修行は、ここで終わりだ。
次に待っているのは、実戦。
5階層、ポップスライムとの戦いに向けて歩き出した。
「夏希、準備はいいか?」
「うん。いつでもいいよ」
スライムが近づいてくる。
夏希は相手の動きを観察し、攻撃の気配を察すると、落ち着いて体を動かした。
攻撃をかわし、体勢を整える。
そして、剣を振るう。
初日と比べ、明らか動きが違っていた。
「回避した後に、ちゃんと次の動作へつなげられていた。そこは大きな進歩だと思う」
「えへへ。三日間、頑張ったからね」
夏希は照れくさそうに笑った。
もちろん、まだ完璧ではない。
受け流しは成功することもあれば失敗することもあるし、相手の動きによっては回避に専念した方がいい場面もある。
それでも、夏希は自分に何ができて、何がまだできないのかを少しずつ理解し始めていた。
「……これなら、次はポップスライムに挑戦できるかもしれないな」
俺がそう言うと、夏希は真剣な顔で頷いた。
「うん。でも、まだ油断はできないよね」
「ああ。普通のスライムとボスじゃ、強さも動きも違うはずだ。今回の修行で身につけたことが、そのまま通用するとは限らない」
「それでも、試してみたい。ここまで練習してきたんだもん」
「そうだな。だったら、次は実戦で確かめよう」
俺たちは互いに顔を見合わせた。
俺一人が強くなるだけじゃない。
仲間と一緒に強くなっていく。
それもまた、探索者として歩んでいくために必要なことなのだろう。
「よし。5階層、ボスの元に向かおうか」
「うん!やっちゃうよー!」
夏希の言葉に、俺は力強く頷いた。
次の戦いは、これまでの修行の成果を試す場になる。
そして、俺たちが本当の意味で仲間として戦うための、一歩になるはずだ。
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自分なりに楽しく書いていこうと思います!




