第6話 レベルアップ
翌朝。
俺はいつもより少し早く家を出て、冒険者ギルドへ向かっていた。
昨日は色々なことがあった。
スキルの確認に、ステータスの成長。そして、これからどの方向性で強くなるか。
考えたいことは山ほどあるが、考えているだけでは強くなれない。
ギルドに到着し、改札を通ろうとしていると。
「駿くん!」
聞き覚えのある声がした。
振り返ると、そこには佐々木夏希が立っていた。
昨日と変わらない明るい笑顔。
……いや、昨日よりも少しだけ気合いが入っているように見える。
「おはよう、佐々木さん」
「おはよう! ねえ、昨日の約束、覚えてるよね?」
「え、約束?」
「えっ、忘れたの!?」
夏希が目を見開いた。
「昨日、今日一緒にダンジョンに行くって言ったじゃん!」
「ああ……」
そういえば、そんな話になっていた気がする。
ただ、俺としては、あれはまだ相談の段階だったつもりなのだが。
「すみません、昨日色々あって忘れてた。確かに話はしたけど」
「したよね?」
「……したな」
「じゃあ決まり!」
夏希は満足そうに頷いた。
この子、思っていたより強引だな。
「一応、確認しておきたいんだけど。佐々木さんは今日は何をするつもりなんだ?」
「駿くんの戦い方を見たい!」
「俺の?」
「うん! 駿くんって、最近すごく頑張ってるでしょ? どんどん強くなってるし、冒険者としても活躍してるって聞いたから!」
「誰から聞いたんだよ……」
「色々!」
色々って何だ。
気になるが、問い詰めても素直に答えてくれそうにない。
「それに、私も強くなりたいんだ」
そう言った佐々木の表情は、先ほどまでとは少し違っていた。真剣な眼差しをしていた。
「……分かった。ただし、今日一緒に行くからって、すぐに仲間にするわけじゃないぞ」
「えーっ!」
「俺にも考える時間が必要なんだよ。お互いの戦い方も分かってないだろ?」
「むぅ……。じゃあ、今日一日でいっぱい知ってもらう!あと!佐々木さんとか距離遠い!夏希って呼んで!」
「強引すぎるぞ……流石に会ったばかりだと、緊張するし無理だ」
結局、押し切られる形で一緒にダンジョンへ向かうことになった。
ただし、今日は俺自身の訓練を優先する。
そこだけは譲るつもりがなかった。
ダンジョンの三階層。
俺たちは、見慣れた疎らに光っている通路を歩いていた。
「駿くん、今日はどんな訓練をするの?」
「基本はスキルの熟練度上げだな」
「熟練度?」
「スキルは使っていけばレベルが上がるだろ? だから、できるだけ色々な状況で使っておきたいんだ」
もちろん、ただ使えばいいというわけでもない。
今の俺に必要なのは、実戦で使える技術を身につけること。
スキルのレベルが上がっても、使いこなせなければ意味がない。
そんなことを考えていると、通路の先にスライムが二匹現れた。
「いたな」
俺は腰の剣に手をかける。
「夏希さん、悪いけど、少し離れて見ていてくれ」
「えっ、私も戦わないの?」
「今日はまず、俺の戦い方を見るんだろ?夏希さんが戦うのは、次の機会だよ」
「……分かった」
少し不満そうではあったが、夏希は素直に後ろへ下がった。
俺は剣を抜き、二匹のスライムへ向き直る。
最初に距離を詰めてきた一匹を、剣の腹で受け流した。
そのまま踏み込まず、相手の動きを観察する。
スライムの体が伸びる。
攻撃の軌道を見極め、半歩だけ横へずれた。
攻撃が空を切る。
そこへ剣を振り下ろす――寸前で止めた。
狙いは討伐ではない。
攻撃を受け流し、避け、距離を調整する。
その繰り返しで、戦闘中に必要な動きを体へ覚え込ませていく。
もちろん、いつまでも遊んでいるわけにはいかない。
二匹の動きが重なった瞬間、俺は一匹の体を蹴って距離を取り、もう一匹の攻撃を避けた。
そして、剣を構え直す。
「……よし」
十分に動きを確認したところで、俺はスライムたちから距離を取った。
スライムたちは敵意を見せながらも、追撃をためらっている。
俺はそのまま後退し、戦闘を切り上げた。
「倒さないんだ?」
夏希が不思議そうに尋ねる。
「スライムは訓練が目的だからな。倒すつもりはないよ」
「そっか、スキルの熟練度?上げが目的って言ってたもんね」
「そういうこと」
実戦では、勝つことが大事だ。
こういう地道な積み重ねが、いずれ自分を助けてくれるはずだ。
身体の動きは少しずつ馴染んできている。
「じゃあ、先へ進もうか」
「うん!」
俺たちは三階層の奥へと歩き始めた。
三階層の通路を進みながら、俺はさらにスライムとの戦闘を繰り返した。
攻撃を受け流す。
間合いを調整する。
相手の動きを見てから避ける。
そして、必要なときには投擲で牽制する。
ひとつひとつの動きを意識しながら、できるだけ無駄のない動きを探していく。
夏希は少し離れた場所から、その様子をじっと見ていた。
「駿くんって、思ったより慎重なんだね」
「思ったより、は余計だろ」
「あはは、ごめんごめん。でも、もっと勢いで戦う人なのかと思ってた」
「勢いだけでどうにかなるなら苦労しないよ」
俺は剣を鞘に戻しながら答えた。
「あはは、そうだよね、私難しいことわからないからなぁ、そういう事教えてくれる先生が居たらいいのに……チラッ」
「……」
しばらくして、俺たちは三階層のゲートを発見した。
「やっと見つけた、次のゲート……」
「やっぱり、階層が進む事に、どんどん移動距離が伸びてるんだねぇ」
「確かにな、体感30分くらい伸びてる気がするな」
そんな会話をしながら俺は扉に手を当てる。
一瞬の浮遊感の後。
その先に広がっていたのは、通路だった。
「よし。四階層だ」
「なんだか、少し緊張するね」
「無理はするなよ。危なくなったら、すぐに戻る」
「うん。分かってる」
俺たちは四階層へ足を踏み入れた。
四階層でも、基本的な方針は変えなかった。
出現したスライムを相手に、俺は攻撃の受け流しや回避を繰り返す。
三階層よりも動きが速い個体もいるが、だからこそ訓練になる。
ただし、無茶はしない。
相手の動きに対応できないと判断したら、距離を取って仕切り直す。
スキルを鍛えるために怪我をしてしまっては、本末転倒だからな。
やがて、俺たちは四階層の奥へたどり着いた。
そこには、三階層と同じく壁に埋め込まれるようにゲートがあった。
ただし、こちらの扉は先ほどのものよりも大きく、赤みがかった色をしていた。
「……この先が五階層…ボス部屋か」
「うん。ここから先は、少し気をつけたほうがよさそうだね」
夏希の表情が引き締まった。
俺も剣の柄を握り直す。
五階層には、これまでの階層とは違う危険が待っている。
だが、だからといって引き返すつもりはない。
俺はゲートに手を触れる。
浮遊感とともに、向こう側の空間が姿を現す。
そこは、これまでの通路と違い、広い部屋だった。
そして、その中央には――。
「……なんだ、あれ」
巨大な塊が鎮座していた。
半透明の体。
丸みを帯びた輪郭。
そして、その内部には、いくつもの小さな塊が浮かんでいるように見える。
普通のスライムとは明らかに違う。
俺が警戒していると、その巨大な塊がゆっくりと動き始めた。
「駿くん……あれ、ボスだよね?」
「たぶんな」
俺は剣を抜いた。
ここまで来た以上、戦ってみたい。危険だと判断したら戻ればいい。
「夏希。ここからは少し離れていてくれ」
「えっ?」
「俺の戦い方を見てほしいって話だっただろ?俺が戦うところを見ていてくれ」
「でも、危なくなったら……」
「そのときは自分で判断する。だから、今は手を出さないでほしい」
夏希は不安そうに俺を見つめたあと、小さく頷いた。
「……分かった。ちゃんと見てるから」
「頼む」
俺は巨大なスライムへ向き直った。
最初に動いたのは、巨大なスライムだった。
体の一部が大きく盛り上がり、勢いよくこちらへ伸びてくる。
「っ!」
俺は横へ飛び、攻撃を避けた。
伸びてきた体が床を叩く。
衝撃で床の埃が舞い上がった。
……重い。
見た目以上に、攻撃の威力がある。
俺は距離を取りながら、相手の動きを観察した。
巨大なスライムの体が波打つ。
次の瞬間、その一部が分離した。
「分裂するのか!?」
分離した塊は、床へ落ちると同時に形を変え、小さなスライムへと姿を変えた。
一匹ではない。
二匹、三匹と、次々に増えていく。
俺は舌打ちした。
数で押してくるタイプか。
なら、まずは増えた個体を減らす。
俺は小さなスライムへ接近し、剣で攻撃を受け流しながら、一匹ずつ動きを封じていった。
だが、そこで妙なことが起きた。
倒したはずの小さなスライムが、溶けるように崩れていき、その液状の体が床を這い、巨大なスライムへと吸い寄せられていった。
「……まさか」
巨大なスライムの体が、再び膨らむ。
減ったはずの体積が、元に戻っている。
ただ分裂した個体を倒しているだけでは、いつまで経っても終わらない。
「面倒な能力だな……!」
俺は距離を取り、次の動きに備えた。
巨大なスライムが再び体を盛り上げる。
今度は、こちらへ向かって何かを飛ばしてきた。
反射的に身をひねる。
飛来した液体が、俺の横を通り過ぎて床へ落ちた。
ジュッ、と嫌な音がした。
『おい!強酸だぞ!避けろ!』
「……!」
液体が落ちた床が、じわじわと溶けていく。
ただの体当たりだけではない。
遠距離からの攻撃まで持っているのか。
しかも、酸が床を溶かしたことで、刺激臭のある煙が立ち上っている。
この煙も厄介だ。
吸い込み続ければ、呼吸に影響が出るかもしれない。
俺は口元を押さえながら、煙の薄い場所へ移動した。
攻撃を避けるだけでは駄目だ。
足場にも気を配り、酸の飛んでくる方向を見極めなければならない。
さらに、分裂した個体が周囲から迫ってくる。
正面の巨大なスライム。
足元を狙う小さなスライム。
そして、少しずつ広がる酸と煙。
思っていた以上に厄介な相手だった。
だがこういう相手だからこそ、訓練になる。
俺は剣を握り直した。
相手を倒すことだけを考えるな。
まずは攻撃を見極める。
巨大なスライムが体を伸ばす。
俺は攻撃の軌道を見て、紙一重で横へずれた。
そのまま一歩踏み込み、剣を振るう。
斬撃が体の表面を切り裂いた。
だが、手応えは浅い。
傷口が、すぐに塞がり始める。
「再生能力まであるのかよ……!」
分裂に、酸攻撃、そして再生。
どれだけ厄介な能力を持っているんだ。
俺は一度距離を取り、呼吸を整えた。
無闇に攻撃しても、回復されてしまう。
なら、回復する暇を与えないように攻めるしかない。
俺は小石を取り出し、巨大なスライムへ投げつけた。
石が体表に当たる。
大したダメージにはならない。
だが、一瞬だけ体の動きが乱れた。
その隙を見逃さず、俺は踏み込んだ。
剣を振るい、傷をつける。
すぐに離れ、酸攻撃を避ける。
再び投擲で動きを牽制し、反撃の機会をうかがう。
攻撃して、避けて、距離を取る。
それを何度も繰り返した。
少しずつ、相手の動きが読めるようになってきた。
体が大きく波打つときは、分裂か体当たり。
表面の一部が盛り上がったときは、酸攻撃。
そして、分裂した個体が本体へ戻るときには、一瞬だけ本体の動きが鈍る。
完全に見切れたわけではない。
それでも、戦い始めたときよりは確実に対応できるようになっていた。
「よし……!」
『上手く避けるじゃねぇか、やるな』
俺は攻撃を受け流し、身体強化で一気に踏み込んだ。
狙いは、本体の中央。
剣を振り抜く。
深く斬り裂かれた体が、大きく揺れた。
すかさず距離を取る。
反撃の酸が飛んでくるが、軌道を読んで回避した。
床に落ちた酸が煙を上げる。
だが、俺はすでにその場から離れている。
今ならいける。
俺は残った小石を投げつけた。
巨大なスライムの動きが乱れる。
その隙に、俺はもう一度踏み込んだ。
今度は、剣を振るうだけではない。
体当たりを避けながら、相手の懐へ入り込む。
そして、全力で斬りつけた。
巨大なスライムの体が大きく歪む。
表面に無数の亀裂が走り、分裂しかけていた小さな塊も動きを止めた。
やがて、巨大な体が崩れ落ちる。
床へ広がった液状の体が、しばらく震えていたが、その動きも、ゆっくりと止まっていった。
「……倒した、のか?」
俺は剣を構えたまま、しばらく様子を見た。
再び動き出す気配はない。
ようやく、戦闘が終わったらしい。
最後には、巨大なスライムの体が光の粒となって消えていく。
そして、あとには2つの小さな魔石が残されていた。
「……これが魔石か」
俺は剣を鞘に戻し、足元に落ちていた魔石を拾い上げた。
手のひらに収まるほどの大きさで、半透明の石の中には、淡い光が揺らめいている。
これが魔物を倒した証になるわけか。
俺は魔石をポケットに入れ、ようやく一息ついた。
『レベルが上がりました』
頭の中に、無機質な声が響いた。
『レベルが上がりました』
流石はボス戦と言ったところか、一発でレベルアップだ。
『ステータスが上昇しました』
スキルの訓練だけでは得られない、はっきりとした成長。
これがボスを倒した報酬なのか。
俺は剣を鞘に戻し、ステータスを確認した。
レベルが上がっただけではない。
数値も平均より大きく伸びている。
さらに、戦闘中に使い続けたスキルにも変化があった。
今日の訓練は、無駄ではなかったらしい。
俺はひとつひとつの項目を確認していった。
─────────────────────
萩野 駿 Lv:1 ➤ Lv:2 次のLvまでExp9
見習い冒険者
HP:88/88
MP:63/63
筋力:10 ➤ 22(+12)
耐久:10 ➤ 22 (+12)
魔防:13 ➤ 30(+17)
敏捷:10 ➤ 22(+12)
器用:9 ➤ 21(+12)
知力:9 ➤ 21(+12)
魅力:6 ➤ 18(+12)
幸運:10 ➤ 22(+12)
固有スキル
【独り言】
戦闘系スキル
【初級剣術】Lv3
【投擲】Lv2 ➤ Lv3
【逃走】Lv1
NEW【回避】Lv1
魔法系スキル
【魔力感知】Lv2
【魔力操作】Lv1
【身体強化】Lv1 ➤ Lv2
耐性系スキル
【打撃耐性】Lv1 ➤ Lv2
生産系スキル
なし
─────────────────────
「……かなり上がったな」
特に目を引くのは、ステータスの上昇だ。
多少被弾してたと思ったが、レベルアップの際、HPとMPが全回復する仕様らしい。
スキルの熟練度を上げるだけでは、ここまでの成長は得られない。
やはり、強敵を倒すことには意味がある。
もちろん、強敵と戦えば必ず勝てるわけではない。
今回だって、分裂や酸攻撃への対応を間違えていれば、危険な状況になっていたはずだ。
だからこそ、普段の訓練が重要になる。
俺はステータスを閉じ、ようやく後ろを振り返った。
「夏希さん、お待たせ」
「……すごい」
夏希は、目を丸くして俺を見ていた。
「本当に、すごいよ。あんなに強い相手に、ひとりで勝っちゃうなんて……」
「いや、かなり苦戦したぞ。あの酸も分裂も厄介だったし」
「それでも、最後までちゃんと対応してた」
夏希はそう言って、少しだけ笑った。
「やっぱり、駿くんはすごい冒険者になるんだね」
その言葉に、俺は眉をひそめた。
「……どうして、そこまで言い切れるんだ?」
「え?」
「俺がすごい冒険者になるって、どうしてそこまで信じてるんだ?」
夏希は、すぐには答えなかった。
さっきまでの明るい表情が、ほんの少しだけ変わる。
まるで、何かを決めたような顔だった。
「……だって、知ってるから」
「何を?」
「駿くんが、すごい冒険者になること」
「だから、どうして?」
俺が問い返すと、夏希は一度だけ息を吸った。
「私の固有スキル、【未来テープ】っていうんだ」
「未来……テープ?」
「うん。私は、未来を見ることができるの」
思わず、言葉を失った。
未来を見る。
そんなことが、本当にできるのか?
だが、固有スキルなら、俺の【独り言】と同じように、普通のスキルとは違う能力なのかもしれない。
「未来って……どのくらい先まで見えるんだ?」
「いつでも好きな未来を見られるわけじゃないよ。詳しいことは、まだうまく説明できないけど……」
夏希は少し困ったように笑った。
「でも、駿くんがすごい冒険者になる未来を、私は知ってる」
「……それで、俺と一緒に冒険したいのか?」
「うん!もちろん!」
返事だけは、迷いがなかった。
なるほど。
夏希が俺に声をかけてきた理由は、ようやく分かった。
未来を見る能力があるのなら、話を聞く余地はあるだろう。
ただし、それだけで彼女を信用していいのかは、別の話だ。
未来が見えるという能力がどこまで正確なのか。
何が見えて、何が見えないのか。
そもそも、未来は変えられるのか。
確認したいことはいくらでもある。
それに、俺自身、まだ一人前の冒険者とは言い難い。
「夏希さん、俺と一緒に冒険したいっていう気持ちは分かった。でも、すぐに仲間になるって決めることはできない」
夏希の表情が、少しだけ曇った。
「……そっか」
「別に、断ってるわけじゃない。まずは、お互いの戦い方を知っておきたいんだ」
俺は、夏希の目を見て続けた。
「今日、俺の戦い方は見てもらった。次は、夏希さんが戦うところを見せてほしいんだ」
「私の?」
「ああ。どう動くのか、どんなスキルを使うのか。それを見たうえで、一緒に行動できるか考えたい。良かったら明日なんてどうだ?」
夏希はしばらく考え込んでいたが、やがて顔を上げた。
「……分かった!明日朝10時頃はどうかな?」
「あぁ、それでいいよ」
その答えを聞いて、夏希はいつもの明るい笑顔を浮かべる。
「次は私の番だね!駿くん、ちゃんと見ててよ!!」
「もちろん。その代わり、危ないと思ったら無理はするなよ」
「うん!」
元気な返事が返ってきた。
……本当に、調子のいい子だ。
けれど、未来を見る能力があるというのなら、彼女には彼女なりの考えがあるのだろう。
今すぐにすべてを聞き出す必要はない。
まずは、実際に戦っている姿を見る。
それから、判断すればいい。
俺は五階層の奥を一度だけ振り返った。
強敵を倒したことで、確かな成長を得ることができた。
けれど、まだまだ先は長い。
自分の力を磨きながら、少しずつ周囲との関係も築いていこう。
焦る必要はない。
俺はそう考えながら、夏希と一緒にダンジョンを後にした。




